2022年オンライン診療の診療報酬改定の概要

目次
2022年に要件が緩和されたことで取り入れやすくなったといえるオンライン診療。
本記事では、オンライン診療に関して変更されたポイントと、病院やクリニックでの導入方方法を紹介します。
オンライン診療に関する2022年の変更点

2022年、初診からオンラインが可能になった
2022年、厚生労働省は『オンライン診療の適切な実施に関する指針』において、これまで記載されていた「日常的に通院または訪問による対面診療が可能な患者を対象」という距離要件や、「オンライン診療の実施割合が1割以下」という実施割合の要件を撤廃。
「オンライン診療のみで治療が完結することもあり得る」と明記され、その可否は個別に判断すべきとされました。
また、初診からのオンライン診療は「かかりつけの医師」が行うのが原則です。しかし、以下の要件を満たす場合には、かかりつけ医以外の医師でも可能としています。
- 医学的情報が十分に把握でき、患者の症状と合わせて医師が可能と判断した場合
- それ以外の場合であって、「診療前相談」を行う場合*
オンライン診療の初診料・再診料を設定
2022年4月から、通常診療での「情報通信機器を用いた診療」として、オンライン治療に初診料・再診料が組み込まれました。
保険点数はこれまでのオンライン診療「1回あたり214点」(対面初診料の約70%)から、オンライン診療の「初診料251点」(対面初診料の約87%)まで引き上げられています。なお、オンライン診療の再診料は、対面診療と同じ73点となりました*。
*厚生労働省『オンライン診療の適切な実施に関する指針』
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病院やクリニックにおけるオンライン診療の導入方法

※出典:厚生労働省『電話・オンラインによる診療がますます便利になります』
オンライン診療導入に必要なもの
オンライン診療は、情報通信機器を通したリアルタイムの診療が必要とされています。診療を開始するにあたり、以下のものを準備しなければなりません。
- インターネット環境
- インターネット通信が可能なパソコンやタブレット、スマートフォンなどの通信機器
- オンライン診療サービス(アプリケーション)
※使用する機器やサービスによって、ウェブカメラやマイクが必要なケースもあります。
オンライン診療導入における主な5つのステップ
オンライン診療を病院やクリニックに導入するためには、以下のような準備が必要になります。
STEP1.オンライン診療サービス(アプリケーション)への申し込み
オンライン診療サービス(アプリケーション)はいくつかあるので、それぞれの特徴をもとに選定し、申し込みます。その後、パソコンにオンライン診療サービス(アプリケーション)をセットアップしておきましょう。
STEP2.厚生局に届出
保険診療が適用されるように、厚生局に施設基準の届出を行います。
STEP3.オンライン診療の対象となる患者を選定
本人の疾患・症状・生活などを考慮して、オンライン診療の実施が適切と思われる患者を選びます。
STEP4.患者とオンライン診療計画書について合意する
オンライン診療計画書を作成し、対象患者と合意の上、内容をカルテに添付します。
なお、これまで処方されたことのある慢性疾患の治療薬は、かかりつけ医などがオンライン診療が適切であると判断した場合に限り、診療計画の作成がなくてもオンライン診療での処方は可能です。
STEP5.対象患者へのオンライン診療サービス(アプリケーション)の案内
対象患者に、クリニックで導入したオンライン診療サービス(アプリケーション)のURLを伝えます。
患者はアプリケーションをスマートフォンまたはパソコンなどの機器にダウンロードし、登録およびアプリ内でクリニックと連携させます。
実際のオンライン診療の流れ
ここでは、一般的なオンライン診療の流れを確認して、当日はスムーズに診療を開始しましょう。
①診療予約し、事前問診を入力
患者がオンライン診療サービス(アプリケーション)内で診療の予約をし、診療時までに事前問診を入力しておきます。
②オンライン診療を実施
予約時間になったら、医師が患者に発信します。患者が応答することで、オンライン診療が開始されます。
③患者が料金を決済する
オンライン診療が終了したら、患者はオンライン診療サービス(アプリケーション)内で決済に進みます。来院予定がある場合には、次回の来院時に合算請求も可能です。
④薬の処方
患者が薬の配送を希望する場合には、電話やオンラインによる服薬指導を受け、その後自宅に薬が届きます。
薬局に薬を受け取りに行く場合には、患者の自宅に処方箋を送り、薬局でその処方箋を提示して薬を受け取ります。
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オンライン診療の注意点

オンライン診療に適した疾患と適さない疾患
オンライン診療が馴染む疾患とそうでないものに分かれます。
例えば、花粉症や高血圧の治療等はオンライン診療に馴染むことが考えられます。
一方で、外科的な処置が必要な疾患や、レントゲン撮影が不可欠な治療であれば、オンライン診療は馴染まないともいえます。
これらの疾患に必要な検査や診断は医療機関でしかできないため、従来の対面受診が適しているといわれています。
オンライン診療では処方できない薬がある
例として、向精神薬などの薬はオンライン診療では処方できません。
さらに、紹介状などがなく患者の情報を医療機関が把握できない場合には、以下の薬の処方も制限されます。
- 抗悪性腫瘍剤
- 免疫抑制剤
- 不整脈用剤
- 抗てんかん剤
- 血液凝固阻止剤
- ジギタリス製剤
- テオフィリン製剤
- カリウム製剤(注射薬に限る)
- 精神神経用剤
- 糖尿病用剤
- 膵臓ホルモン剤
- 抗HIV薬などの高リスク薬**
**一般社団法人日本医学会連合『⽇本医学会連合 オンライン診療の初診に関する提⾔』
症状悪化の見逃しリスクを回避するために
オンライン診療は映像や音声でしか患者の情報を得られないため、身体のわずかな変化や全身の状態まで確認することができません。
重症化の兆候を見逃すリスクがあるため、慢性疾患であっても定期的に対面診療も併用することが望ましいとされています。
まとめ
初診料や再診料が設定され、要件もさらに緩和されたことで、今後ますます多くの病院やクリニックで導入されていくことが予想されるオンライン診療。この機会に、ぜひあなたの病院やクリニックでの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
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