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クリニック開業希望者必見!コンサルタントの選び方と注意点

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クリニック開業支援コンサルタント|選び方と利用する際の注意点

クリニックを開業して成功させるためには、経営の知識やさまざまな手続きが必要です。医学的な専門知識や経験とは大きく異なるため、コンサルタントのサポートを受けながら開業準備を進めるケースが増えています。コンサルタントは無料と有料があり、主に経営戦略、事業計画、人材計画、広報戦略などをサポートします。経験や知識、相性やサポート体制などを考慮し状況に合わせて選ぶことが大切です。

本記事では、クリニック開業支援コンサルタントの種類や選び方、依頼時の注意点などについて解説します。

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病院・クリニック開業コンサルタント行う4つの支援

しっかりした医療を提供するだけで、クリニック運営の成功が約束されるわけではありません。開業前の段階から、経営戦略策定や立地選定、事業計画、人材計画、広報・マーケティング戦略など、経営全般に関わる要素をしっかり考え抜いておくことが、クリニックの成功には不可欠です。

しかし、院長になる医師が、最初からそれらの経営的な知識を持っていることは少ないでしょう。そのようなときは、開業を支援するコンサルタントの存在が役立ちます。

以下の4つは、開業支援コンサルタントがサポートしてくれる主要な要素です。ただし、すべてのコンサルタントが4要素のすべてをサポートしてくれるとは限りません。コンサルタントによっては、対象とする支援領域を限定していることもあります。

1.経営戦略

一言でいえば、「どのようなクリニックにしていきたいのか」というコンセプトを定め、その実現に向けての戦略立案をすることです。

診療科目、自由診療か保険診療か、どのような患者にどのような医療を提供していくのかなどの内容を、院長の医療理念に基づいて定めていきます。中でも、開業を検討している地域にどのくらいの医療需要(診療科ごとの患者数)が見込めるのかという「診療圏調査」と、それに基づいた開業地・建物選びは、非常に重要なプロセスになります。

2.事業計画

1で定めた立地や用意できる自己資金などをもとに、開業時にどれくらいの初期費用が必要か、銀行からいくら融資を受けるかなどの開業までの費用を想定します。

また、開業後に見込まれる患者数や診療単価、発生する費用、融資返済などを試算して、初年度から3~5年後程度までの年間売上、医業収益などをシミュレーションします。

クリニック開業時には、一般的に数千万円の銀行融資を受けますが、2024年に日銀の金融政策に変更があったことから、今後は銀行の融資金利も引き上げの方向となることはほぼ確実です。それを見越した事業計画や資金計画が求められます。

3.人材計画

クリニックで雇用する医師や看護師、検査技師、医療事務員などスタッフの募集および採用、教育などの計画を立てます。

近年、人材不足や働き方改革などの影響により、とくに比較的若い世代においては、待遇などに対する意識が以前とは大きく変わってきています。そのため、時代に即した採用や教育を計画することが求められます。

4.広報・マーケティング戦略

新規患者の多くは、インターネットでの検索をきっかけにクリニックを認知して来院します。そのため、集患においてホームページ作成やMEO(Map Engine Optimization:マップ検索エンジン最適化)対策は欠かせません。ただし、対象とする患者によっては従来型の折り込みチラシや公共交通広告、看板広告なども有効です。

さらには、近隣の医療機関や福祉施設との連携による相互送患なども必要になる場合あります。それらを含めて、広く広報・マーケティングの戦略を立案します。

開業支援コンサルタントの有料と無料の違い

クリニック開業支援を行うコンサルタントは、大きく分けて有料コンサルタントと無料コンサルタントがあります。

医療業界の一サービスとして提供される無料コンサルタント

無料のクリニック開業支援コンサルタントは、医薬品卸、調剤薬局、ドラッグストア、医療機器メーカー、あるいは士業やハウスメーカーなど、医療に関連する周辺業界の企業が、本業に伴うサービスの一環として提供するものです。

たとえば、調剤薬局であれば開業を支援し、開業後はいわゆる門前薬局として出店させてもらったり、自社で運営するメディカルモールに入居してもらったりする形で提携関係を結ぶことになります。医療機器メーカーであれば、機器を購入してもらいます。

その場合、開業支援をしたクリニックの経営が成功すれば、その調剤薬局や医療機器メーカーの本業のビジネスにもメリットがあります。税理士などの士業系コンサルタントの場合には、開業に携わったクリニックの経営が順調に進めば、顧問契約の継続で顧問料を得ることができます。そのため、無料でコンサルティングサービスを提供できるというわけです。

無料であっても、多くのクリニック開業を支援してきた経験を持つ担当者であれば、その経験値を活かしたさまざまな相談に乗ってくれるでしょう。

無料コンサルタントのメリット

無料コンサルティングのメリットは、いうまでもなく無料であることです。開業時には、不動産契約などで多くの費用がかかるため、少しでも費用を削減したい場合は大きな助けになります。

無料コンサルタントのデメリット

開業支援を専門としているわけではないので、有料コンサルタントとの比較においては、どうしてもすべての面で行き届いた支援が望めない場合もあります。また、担当者はコンサルタントとしてその会社に入社したわけではない場合が多く、知識や経験が不足している可能性もあります。

コンサルティング専業の優位性を持つ優良コンサルタント

有料のクリニック開業コンサルティングを行っているのは、経営コンサルティング会社、人材会社、M&A仲介会社、会計事務所などの士業などです。それらの中でも、医療業界に特化しているような企業が、開業支援コンサルティングも実施しているケースが多くあります。

経営面はもちろん、行政手続き関係や不動産・建築関係、採用、広告など、開業までに必要なすべてを任せられる点が大きな魅力です(分野を特化して有料コンサルティングを提供しているケースもあります)。

さらには、客観的な立場から、より高いレベルでの成功を目指すためのアドバイスも積極的に行ってくれます。開業準備期間中も病院での勤務が忙しい方や初めての開業に際して不安が多い方などには、とくに有料コンサルタントが適しているでしょう。

有料コンサルタントのメリット

契約内容にもよりますが、大半の部分を一任で依頼した場合でも、客観的に見て最適な手段を実施してくれます。また、開業後の経営についても長期的なアドバイスを受けることが可能なケースも多くあります。

有料コンサルタントのデメリット

有料コンサルティングサービスは、100万円から300万円程度が相場です。なにかと物入りになる開業時にこれだけの費用を支払う必要がある点は、デメリットといえるかもしれません。また、無料コンサルティングとさほど差が感じられないサービスであれば、無駄な費用だと感じられる可能性もあります。

クリニック開業支援コンサルタントに依頼する際の注意点

クリニック開業支援コンサルタントの利用を検討する際には、以下のような点に注意しましょう。

  1. 経験や知識
  2. 人間的な相性
  3. 柔軟なサポート

1. 経験や知識

コンサルタントを選ぶ際には、必ず面談を実施しましょう。コンサルタントのサービス範囲や方針を聞き、開業にあたって自分が必要とするサポートを得られるか、開業に対する経験や知見が豊富で安心して任せられそうかなどをよく確認するようにしてください。

たとえば、自分が美容整形外科で自由診療を中心とした経営をしていこうと考えているなら、同じように美容整形外科で自由診療を中心としたクリニックの開業支援経験がどれくらいあるのかなどを尋ねてみるとよいでしょう。

2. 人間的な相性

コンサルティング契約を結ぶのはコンサルティング会社などとですが、実際に自院のコンサルティングを担当してくれるのは、特定の担当者です。

コンサルティングは、頻繁にコミュニケーションを取りながら、長い期間をかけて進めるものです。そのため、担当となるコンサルタントとストレスなく開業準備を進めていける人間的な相性も、ポイントになります。

3. 柔軟なサポート

医療機器メーカーやハウスメーカーなどの無料コンサルタントの場合、開業予定のクリニックの経営内容までしっかり考慮されていないこともあります。そのため、経営に負担となる過大な費用のかかる建築や改修、医療機器のリースなどを勧められてしまった結果、開業してから赤字に陥ってしまうこともあります。

はじめは無料コンサルタントに依頼していても、開業後の経営もサポートしてもらいたいと考えるなら、有料コンサルタントに変更することも有効であるため、柔軟なサポート体制があると良いでしょう。

クリニックの開業支援コンサルタントは状況に合わせて選ぼう

今回は、クリニックの開業を支援してくれるコンサルタントの種類や選び方などをご紹介しました。
クリニックの開業には、ゼロからから「新規開業」をするだけではなく、既存のクリニックや医院を引き継ぐ「承継開業」という方法もあります。

エムステージマネジメントソリューションズのコンサルタントは医療経営士の資格を保持しているため、開業後の経営に関するアドバイスなどのサポートも行います。また、事業計画書の作成や資金調達コンサルティングおよび金融機関等との融資交渉なども含めて、安心してご依頼いただけます。

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この記事の監修者

田中 宏典 <専門領域:医療経営>

株式会社エムステージマネジメントソリューションズ代表取締役。医療経営士1級。医業承継士。医療機器メーカー、楽天を経て株式会社エムステージ入社。医師紹介事業部の事業部長を経て現職。これまで、病院2件、診療所30件、介護施設2件の事業承継M&Aをサポートしてきた。エムステージグループ内のM&A戦略も推進している。

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