医療機関が知っておきたい「IT導入補助金2022」活用術

お役立ち 2022/09/22

昨今、医療機関においても、ITシステムを導入してスタッフの労働負担軽減を図るとともに、患者さんの利便性を向上させる業務改革が、強く求められるようになっています。

しかし、ITシステムは、導入に際して高額な費用が必要となることが難点です。その導入費用の一部を、国が補助してくれる制度が「IT導入補助金」です。

本記事では、医療機関がIT導入補助金を活用して、電子カルテなどのITシステムを導入するための概要を説明します。

IT導入補助金の概要

中小企業・小規模事業者の業務効率化、生産性向上、売上アップをサポートするために、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際、導入費用の一部を国が補助する制度が、「サービス等生産性向上IT導入支援事業」、通称「IT導入補助金」です。

IT導入補助金が対象とする「中小企業、小規模事業者」の中には、一定規模までの医療法人、社会福祉法人、個人経営医療機関(クリニック)も含まれます。

以下、制度の概要を確認していきます。

IT導入補助金には、5つの類型がある

応募枠には、5つの類型があり、それぞれ補助対象、補助率(導入金額のうち、どれくらいまで補助されるのか)、補助上限金額、などが異なります。

類型の違いを簡単に説明すると下記のようになります。

①通常枠(A類型、B類型)

下記の各類型以外の、一般的なITツール導入に適用される類型。

②デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)

主に、2023年10月からスタートするインボイス制度を見据えた会計システムなどの導入、更新に適用される類型。

③デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)

商店街で地域通貨を導入するなど、複数社で連携してデジタル化を推進する際に適用される類型。

④セキュリティ対策推進枠

独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」のサービス利用に適用される類型。

IT導入補助金には審査がある

IT導入補助金では、補助金の交付を受けるためには、そのITツールを導入しておこなう予定の事業内容についての審査があり、審査に通らなければ補助を受けられません。

厚生労働省が主催する「助成金」の場合、一般的には、条件に該当する医療機関が申請すれば、すべて助成が受けられますが、経済産業省主催の補助金は、助成金とは性格が異なります。

IT導入補助金は、IT導入補助事業者(ITベンダー)と一緒に交付申請する

IT導入補助金の交付申請にあたっては、ITツールを提供しているIT導入補助事業者(ITベンダー)と共同でおこないます(実質的には、ITベンダーが申請手続きをしてくれます)。企業や医療機関が、自分だけで申請することはできない仕組みである点に注意してください。

IT導入補助金の交付申請の大まかな流れ

申請の大まかな流れは、以下のようになります。

①導入したいITツールを検討、決定する
②IT導入補助事業者(ITベンダー)と共同で、申請書を作成し、交付申請する
③審査に通ったら、ITツールを導入(購入)する
④事業実施(ITツールの導入・運用)の報告をする
⑤補助金が交付される

ここで大切なポイントは、「③の審査に通ってからITツールを導入(購入)する」という点です。つまり、交付申請前に導入(購入)しているITツールについては、交付申請をすることはできません。

申請スケジュール

IT導入補助金の交付申請は、枠ごとに定められた一定の期間内におこなう必要があります。2022年度のスケジュールはIT導入補助金Webサイトで順次公開・更新されていますので最新のものをご確認ください。

IT導入補助金スケジュール

対象となる医療法人、その他要件

IT導入補助金を交付申請できる医療法人は、「常時使用する従業員の数が300人以下の者」とされています。

また、交付申請にあたっては、法人向けの行政サービス共通認証アカウントである、「gbizIDプライム」のアカウントを保有していること、および独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言が必要です。

申請に必要な書類

個人事業主が申請する場合には以下の書類が必要となります。注意点とあわせて確認しておきましょう。

①運転免許証(有効期限内のもの)または運転経歴証明書または住民票(3ヶ月以内に発行されているもの)

免許証の裏面に変更履歴が記載されている場合は、裏面の提出も必要です。

②所得税の納税証明書(その1納税額等証明用またはその2所得金額用)

申請時点で取得できる直近分のもの、かつ税務署で発行されているものに限ります。

電子納税証明書の場合は交付請求時に発行されたPDF形式のフォーマットのみ有効である点に注意しましょう。

③所得税確定申告書B

税務署が受領した直近分のもの、かつ税務署が受領したことがわかるものに限ります。

法人が申請する場合には履歴事項全部証明書(3ヶ月以内に発行されているもの)、法人税の納税証明書(その1またはその2)が必要となります。

詳しくはサービス等生産性向上IT導入支援事業事務局の交付申請の手引きを確認しましょう。

参照:交付申請の手引き

どんなITツールが補助の対象となるのか

「IT導入補助金の交付申請の大まかな流れ」でも説明したように、IT導入補助金を利用するには、最初に導入したいITツールを選定しなければなりません。

ここで注意したいのが、IT導入補助金で補助の対象となるITツールは、「労働生産性の向上に資するITツール」と定義されていますが、そのようなツールならなんでも補助の対象となるわけではないことです。

IT導入補助金の運営事務局が事前に審査して、登録されているツールのみが対象となります。

登録ITツールの概要

登録されているITツールの概要については、応募枠ごとの「公募要領」と「交付申請の手引き」で確認できます。

▶IT導入補助金補助対象について

登録されるITツールは、プロセス(機能のようなものです)という考え方で分類されており、業種に共通する「業種共通業務プロセス」(たとえば、会計、マーケティング、など)と、各業種ごとの「業種固有プロセス」とに大別されています。

医療業の業務固有プロセスとしては下記が掲載されています(通常枠)。

電子薬歴
訪問診療・訪問薬剤管理(計画書・スケジュール・報告書作成、記録)
診療管理(症状・処置・処方・経過・カルテ記録等)
医療デジタル画像管理・閲覧・3Dデータ生成
オンライン診療システム
入院情報管理(病棟・病床管理)、NST支援(食事・栄養管理)
対象者状態管理(顔認証画像解析、入退室管理、センサーによる睡眠、脈拍、呼吸等の健康状態管理)、見守りシステム
ME機器管理生体検査等管理(生体検査、健康診断等)
看護必要度分析、病院経営分析(DPCデータ分析)等

つまりレセコンや電子カルテの導入、事務業務のRPAツール(自動化ロボット)の導入もIT導入補助金の対象となります。

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登録ITツールの検索

上記の「公募要領」の記載では、どんな種類のITツールが対象になるのかという概要しかわかりません。

一方、IT導入補助金の公式Webサイトには、検索ページも用意されています。

IT導入支援事業者・ITツール検索

ただし、こちらは、使いたいツール(ベンダー、製品名)がわかっていて、それがIT導入補助金に登録されているかどうかを調べるために使うものです。導入したいシステム、製品がすでに決まっている場合は、上記ページで該当製品が登録されているかどうかを調べてみましょう。

IT導入補助金の活用検討は、ITツールの決定から

IT導入補助金の利用にあたっては、交付申請前に導入ITツールを決定しなければならないこと、また、IT導入補助事業者(ITベンダー)と共同で、申請書を作成し、交付申請する必要があることから、実際には、自院の状況に応じて以下のように進めます。

(1)すでに付き合いのあるITベンダーなどがいて、相談できる

これまでに付き合いのあるITベンダーやITコンサルタントなどがいて、そのITベンダー等からIT導入補助金の提案を受けている、あるいは、相談できるという場合は、自院がどのようなITシステムを導入すべきか相談し、決定していきます。

(2)付き合いのあるITベンダーは特にいない

付き合いのあるITベンダーは特にいない場合は、以下のようにわかれます。

①導入したいITツールが決まっている

自院に導入したいITツールが決まっているのであれば、そのツールを提供しているベンダーに問い合わせて、IT導入補助金の登録ツールになっているかを確認し、登録ツールになっていれば、申請して導入したい旨を伝えましょう。担当者がサポートしてくれます。

② 導入したいITツールが決まっていない。

「そもそもうちの病院は、どんなITツールを使うと、業務が効率化できるのだろうか?」といった検討からはじめたい場合は、過去のIT導入補助金における医療機関の活用事例を確認してみるといいでしょう。これは、IT導入補助金のWebサイトに掲載されています。

「IT導入補助金Webサイト 業種別 お悩み解決ITツール機能 医療」

「ITツール活用者の話」

こういった事例をヒントに、自院でのITツール導入の検討をしてみましょう。また、中小企業基盤整備機構の運営する「よろず支援拠点」などの公的なサポート窓口では、無料でITツール導入の相談に乗ってくれます。

まとめ

IT化の必要性を感じていながら、導入費用の問題で二の足を踏んでいた医療機関経営者も多いのではないでしょうか。

少子高齢化の進展により、医療スタッフの求人難は今後も続くでしょう。医療機関においても、業務効率化のため、また患者さんから選ばれる病院になるため、IT化の推進は欠かせません。ぜひIT導入補助金を活用し、IT化の推進を図ってください。

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