承継と継承の違いと正しい意味|事業承継の基本も解説

お役立ち 2022/09/26

「承継」と「継承」の意味の違いについてご存知でしょうか?今回はこの2つの言葉の意味を説明し、一般企業における事業承継とクリニックにおける医業承継の2つの視点で基本を解説していきます。

承継の種類や流れを紹介しますので、今後承継を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。
承継をするか迷っている方にも有益な情報となりますので、ぜひ取り入れていただき実践していきましょう。

「承継」と「継承」の違いと正しい意味

承継と継承の違いや正しい意味について解説します。

承継とは、先代から以下の事柄を引き継ぐことです。

  • 仕事
  • 事業
  • 役職やポジション
  • 思考や思想
  • 理念

一方で継承とは、先代から以下の事柄を引き継ぐことを指します。

  • 権利
  • 特権
  • 財産
  • 義務

この2つの言葉には明確な違いがあるのです。承継はより抽象的、継承はより具体的であるともいえます。

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「事業承継」と「事業継承」、正解はどっち?

では「事業を引き継ぐ」という場合、事業承継と事業継承のどちらが正しいでしょうか?

結論としては、どちらも正しいです。

ただし、補助金といった税制上では事業承継という言葉が使われるケースが多くなっています。
例えば「事業承継・引継ぎ補助金」が良い例でしょう。当補助金では、事業再編・事業統合を含む場合も受給対象となります。
このように、事業を引き継ぐ意味で事業承継と表現されるケースが多いのです。そのため、事業承継と表現するのが無難でしょう。

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事業承継で引き継がれるもの

事業継承で引き継がれるものは大きく分けて3つです。

人(経営権)の承継

人の承継とは、経営権を引き継ぐことを指します。

経営権を持つことで、経営に関する舵取りの権利が得られるのです。
具体的には以下の権利が挙げられるでしょう。

  • スタッフ採用などの人事権
  • 設備投資の決定権
  • マーケティング戦略の立案

スタッフを採用する際は必ず経営者が面談を行い、適性を判断する必要があります。また医業承継の場合は医療機器や設備などの投資も、費用対効果などを加味し、導入の可否を決断する必要があるでしょう。

さらには、マーケティング戦略の立案も重要です。集客効果の見込める広告を打ち出したり、業務効率向上が見込めるシステムを導入したりするなど、安定経営のためにさまざまな施策を展開する必要があるのです。

資産の承継

資産とは、主に以下の事柄を指します。

  • 資金
  • 事業用資産
  • 許認可

資金は運営資金のことです。承継の際は、数千万の費用が掛かるため、計画的に資金を調達しておく必要があります。事業用資産は、建物や設備全般が該当します。医業承継の場合は医療機器も含まれます。承継時は、これらをそのまま使用できるため、新たに設備投資や機器投資を行う必要はありません。

しかし、建物や医療機器が老朽化していると、建て直しや修理が必要になるケースがあります。承継前には必ず事業用資産について確認を行い、必要に応じて予め整備しておくのも良いでしょう。許認可は、事業形態にもよりますが、国や県から定められている要件があります。承継前に確認をし、認可を得ておきましょう。

知的資産の承継

知的資産とは、主に以下の事柄を指します。

  • 顧客
  • 人脈
  • 技術

上記だけでなく経営理念や会社の信用など多くの無形資産が引き継がれます。どれも経営においては重要なものであり、時間をかけて後継者にしっかり伝えていくことが必要です。

医業承継においては、先代から長きに渡り自院に通っている患者さんも継続して来院してもらえるような工夫が必要です。

人脈は、他院との繋がりを指します。特に近隣のクリニックは患者さんの紹介先にもなり得ます。

技術とは、ノウハウのことです。例えば、経営ノウハウが例として挙げられます。どんなに治療技術が高くても、経営ノウハウがなければクリニックは存続できません。継承者は、引き継ぐ前に経営ノウハウを学んでおく必要があるでしょう。

後継者の選択方法

後継者の選択方法には3つあります。それぞれの選択方法におけるメリット・デメリットを交えて解説しますので、参考にしてみてください。

親族内承継

現在の経営者から親族に承継する方法です。親族とは主に以下が挙げられるでしょう。

  • 兄弟や姉妹
  • 配偶者
  • 子供
  • 姪や甥

親族内承継のメリットは、後継者への引き継ぎ(育成)に注力できる点です。経営ノウハウや経営理念、クリニックであれば治療技術などを後継者に引き継ぐことで、承継後の経営がスムーズに進みやすくなるでしょう。

また、医業承継における親族内承継はよくあるケースであるため、院内スタッフや患者さんに受け入れられやすいというメリットもあります。スタッフや患者さんも抵抗なく承継後のクリニックに馴染めるでしょう。

一方のデメリットは親族内で後継者としてふさわしい人材がいない可能性がある点です。たとえば医業承継の場合、親族内に医師がいても、専門領域や治療方針が異なれば承継は成立しません。

親族内承継を行う際は上記の点に留意しましょう。

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従業員等への承継

従業員等への承継によるメリットは、経営者としての適性を見極めやすい点です。経験や知見、経営の資質など、総合的に適性判断しやすいでしょう。また、後継者の人間関係や顧客との関係性が良好な場合は、スムーズに引き継ぎやすいというメリットもあります。

デメリットは、後継者側に資産がない場合承継が難しくなるという点です。事業やクリニックの売却費用としては、数千万円が掛かります。費用面で特に問題がなく、後継者としての適性が備わっている場合は、問題ないでしょう。

第三者への承継(M&A等)

第三者への承継としては、M&Aです。M&Aとは「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略です。クリニックの場合、例えば後継者がいない医療法人Aを、医療法人Bが施設ごと買収するケースがあります。

メリットは、M&A専門業者を経由して後継者を探せるため、探す手間が省ける点です。もし専門業者を経由しない場合は、後継者探しに莫大な時間と労力が掛かってしまうでしょう。

デメリットは、M&A専門業者側で手数料が発生する点です。費用面に余裕がない場合はM&Aで後継者を探すのは難しいでしょう。

また従業員や、顧客(患者さん)の理解を得られない可能性がある点もデメリットの1つです。理解が得られない場合、従業員離れや顧客(患者)離れが起こる可能性があります。

M&Aで承継する場合は、自社・自院の状況を加味して判断しましょう。

事業承継の大まかな流れ

事業承継の流れは以下の通りです。

  • 現状把握
  • 後継者探し
  • 条件交渉
  • 経営計画を立てる
  • 事業承継計画書作成

まずは会社の状況(経営資源・経営リスク・経営者の所有資産/負債・後継者候補・事業承継時に発生されるであろう問題点とその解決策)を正しく把握する必要があります。

ここで後継者をM&Aで探すと決めた場合には、M&A仲介会社に相談して自社に合った承継先を探すとよいでしょう。

譲渡先が見つかったら、売却価格などの条件交渉を行います。専門家に頼りながら細かく決めていきましょう。

次に事業の方向性を定めていきます。問題解決と併せ中長期的目線で組織や設備などの経営計画を立てていきます。

そして事業承継計画書を作ります。経営理念や事業の方向性をまとめるとともに課題、後継者教育、社内への通知、税制等を具体的に検討しましょう。

医業承継の大まかな流れ

次に医業承継の場合の大まかな流れを解説します。

  • 開業場所・診療の方向性を決める
  • 承継の専門業者を探す
  • 専門業者と打ち合わせする
  • 専門業者と契約を結ぶ
  • 承継先を選ぶ
  • 承継先を内見する
  • 基本合意書を結ぶ
  • 買取監査を行う
  • 最終契約書を結ぶ
  • 承継を進める
  • クリニック開設届けを保健所へ提出する

まず、クリニックの開業場所・診療の方向性を決めます。開業する時期を含めてイメージを膨らませておくと、その後の専門業者との打ち合わせ等がスムーズに進むでしょう。

次に、大体の構想ができたら、医業承継の専門業者を探します。一番良いのは、お知り合いの先生に相談することです。医業承継を実際に行った方で、信頼できる先生がいる場合は、相談してみましょう。

承継の流れや業者の評判に関して、生の声が聞けるため、参考になります。

専門業者が選定できたら、実際に会って話を聞きましょう。こちらの開業のイメージを伝えれば、具体的なアドバイスや費用感を教えてくれるはずです。

対応の仕方や費用感等で問題なければ、契約書を結びましょう。結ぶべき契約書は、業務委託契約書と、秘密保持契約書の2点です。業務委託契約書を結ぶ前には、業者の業務内容や仲介手数料等の条件を確認しておきましょう。秘密保持契約書を結ぶ前には、個人情報漏洩がされないことが記されているかを確認しておくと良いです。

次に承継先を選定しましょう。専門業者から要望に沿った候補先を提示されます。その中から、開業場所や立地条件、診療圏調査の結果等が問題ないか否かを判断しましょう。

問題なければ、内見を行います。この工程が最も重要と言えます。見るべきポイントは、建物や設備が老朽化していないかという点です。もし内見せず、開業後に設備の欠陥が見つかった場合、修理費用が発生します。最悪の場合、修繕費用等で経営に負担がかかり、開業して間もない段階で閉業するリスクも発生するのです。内見の際は、設備投資の必要性があるかを判断するために、建物内をくまなくチェックしておきましょう。

内見が問題なく終わったら、スタッフや設備の引き継ぎ、承継時期などを打ち合わせます。承継条件が整ったら、承継先と承継元の双方で合意が取れた内容を契約書に記載し、基本合意書を結びましょう。

次に買取監査を実施します。買取監査では、財務情報を整理し、相手方に取引上のリスクがないかを調査します。

買取監査が終わったら、最終契約書を結ぶ流れとなります。契約書を結ぶ前に、承継条件を再度確認しておきましょう。

万が一条件に不一致があった場合は、承継条件を再度見直す必要があります。全ての条件において、双方が合意した上で最終契約書を結びましょう。

次に、承継を進める段階となります。契約書に基づき、承継先が承継元に対し契約金額を支払う形となります。

最後に、診療所開設届けを保健所へ提出して、一連の流れは終了です。

多くの診療所は保険診療を行うケースが多いため、地方厚生局に保険診療医療機関の申請を行うことになるでしょう。

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事業承継・医業承継を成功させるには

まずは、企業であれば経営方針や現在の状況を、診療所であれば開業場所や治療方針などを明確に定めておく必要があります。その上で、有能な専門業者を見つけることが重要です。

有能な専門業者を見つけるためには、知り合いから紹介してもらったり、専門業者のサイトを見て入念にリサーチをしたりする必要があるでしょう。

有能な専門業者を見つけた上で大事なのは、継承者が経営者に足る人材か否かを見極めることです。

継承者の適性を判断するためには、入念な打ち合わせを行い、専門業者を介して密な連携を行うことが必要でしょう。

まとめ

今回は、事業承継の意味や流れについて解説しました。事業承継のポイントは、人や資産、知的資産をスムーズに引き継ぐことです。

その際、親族内で承継するのかスタッフから承継するのか、もしくはM&Aで承継者を探すのかを熟考する必要があります。

親族内で承継するのか、第三者を承継者とするのか、という問いに正解はありません。自社自院の状況に最適な選択肢を選び、クリニック事業承継をスムーズに進めてください。

M&Aの専門家や仲介会社にぜひ一度相談してみることをお勧めします。

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