クリニックや医院の医業承継(継承)とは?種類や流れを解説

お役立ち 2021/11/16

クリニックや医院の承継は親子間で行われることが最も多いですが、医師・病院経営者の高齢化や後継者不足などの問題もあり、第三者への医業承継も増加傾向にあります。
医業継承の種類とともに、第三者承継はどのような流れで行われるのかについて詳しくご説明していきます。

「医業承継」とは

医業承継‗記事画像

クリニックや医院を承継(継承)する「医業承継」とは、すでに運営しているクリニックや医院を受け継いで運営していくことを言います。医業版のM&Aと言えば分かりやすいのではないでしょうか。

医業継承を行う上での譲渡側のメリットは、自分のタイミングで退くことができ第2の人生を始められたり、通院患者や勤務するスタッフを承継先でそのまま継続雇用できたり、譲渡益をもらうことができたりすることです。

一方、承継側のメリットとしては、1番は建物や土地、設備、備品にかかるコストを抑えることができること、そのほか勤務するスタッフをそのまま雇用し続けることができるため採用にかかるコストや期間が抑えられたり、通院患者も引き継げるので事業の見通しも立てやすくなったりすることが挙げられます。

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クリニックや医院における医業承継の種類

クリニックや医院の医業継承の種類は、承継させる相手によって大きく以下の3つに分けられます。それぞれ手続きの内容なども異なるので、注意して行いましょう。

親族承継

クリニックや医院の承継で1番多いのがこの親族承継で、引退する院長の職を医師の資格を持つ息子や娘、甥、姪、孫などの親族に引き継がせる方法です。

中でも、個人のクリニックや医院を親子間で相続する場合には、「生前の医業承継」と「相続の医業承継」に分けられます。

生前の医業承継

譲る側の親がまだ生きているうちに行う承継方法で、貸付や売却ではなく贈与として行われる場合が多いです。

相続の医業承継

譲り手である親が亡くなってしまってからの承継方法で、相続の財産として承継します。

第三者承継

近年増えてきている第三者への承継方法で、譲渡側と承継側どちらもまずは相手を探さなければなりません。医業分野に詳しい、承継の仲介会社や専門家などに依頼すると良いでしょう。

医院やクリニックを売却または貸付する金銭的なやりとりが発生するので、譲渡側なら自分の支払って欲しい金額を、承継側ならいくらぐらいまでの金額なら払えるのかを、あらかじめ考えておくようにしましょう。

医療法人の承継

承継する側のクリニックや医院が医療法人だった場合でも、法人化していない個人のクリニックや医院の場合とそれほど手続きに違いはありません。

注意が必要なのは、譲渡する側のクリニックや医院が医療法人の場合です。経営者の交代という形で医業継承が行われますが、2018(平成19)年4月以前に設立された医療法人は、出資者が保有する出資持分の承継手続きも行う必要があります。

2018(平成19)年以降に設立された医療法人に関しては、出資持分がなくなり拠出型となっているため、行わなくて構いません*

* 出典:厚生労働省『医療法の改正

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クリニックや医院の承継の流れ

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親族間の承継ではなく、第三者や医療法人にクリニックや医院を医業承継する際の流れを、項目ごとに詳しく解説していきます。

①承継時期や金額感など、条件を整理

譲渡側と承継側ともに、承継する時期や金額感などの条件を整理しておきましょう。売り手側は、クリニックや医院の財産(現金、預金、建物、土地など)を算出してみてください。

買い手側は開業したいクリニックの場所や診療コンセプトなどを考えておくと、スムーズにマッチングが図りやすいです。

②医業承継の専門家に相談

承継の手続きは煩雑ですし医業であれば法律などの専門知識が必要になってくるので、コンサルタントなどの専門家や仲介会社などを入れて手続きを進めることをおすすめします。

譲渡側も承継側も自分で相手先を見つけるのは困難ですし、専門機関であれば豊富に案件を持っていることも多いので、条件などを比較して相手を選ぶことができます。

③承継相手の選定・交渉

承継候補をいくつかピックアップしたら、相手側の情報の精査や現地視察を行い、承継条件について金額感などの交渉を行いましょう。承継側が譲渡側に対して承継する意思を示す、「意向証明書(ROI)」を提出する場合もあります。

④基本合意書締結する

承継条件の交渉が終わったら、最終契約まで進むというお互いの意思表示のために、双方が合意した内容を記した「基本合意書(MOU)」を締結します。

ただし、この基本合意書の締結は意向証明書とともに必須ではなく、「最終合意書」のような法的拘束力は持っていません。

⑤買収監査を実施する

基本合意書を締結した後に、「買収監査(デューデリジェンス)」を行います。クリニックや医院に承継する上で何かリスクが無いか、財務情報が適正であるかなどの調査をすることです。

承継するクリニックや医院の規模が小さい場合には、省略する場合もあります。

⑥最終交渉・最終契約の締結

買収監査の結果から判明したリスクやクリニックや医院の状況を踏まえて、最終的な条件の交渉を行います。

基本合意書にお互いが合意した内容を盛り込み、「最終契約書」を締結します。この最終契約書は法的拘束力を持つため、一方的な契約の破棄などは行えません。

⑦承認・引き継ぎ

最終契約を結んだらお互いが承継を承認したことになるため、クリニックや医院の引継ぎの準備に入っていきます。

経営権の引継ぎだけでなく、通院患者や先生や看護師などのスタッフにも説明する必要があるため、引継ぎ期間はある程度の日数を見込んでおいた方がいいでしょう。

⑧承継を実行し対価を支払ってもらう

最終契約書に記載されている承継実行日に承継予定のクリニックや医院の資産を承継し、承継する側は譲渡側に譲渡対価を支払います。

この承継手続きが済んだからすぐに開業できるというわけではなく、保健所への提出や地方厚生局への申請など行政上の手続きも忘れずに行ってください。

まとめ

今回は、クリニックや医院の医業継承の種類や、医業承継の流れについてご紹介しました。医業承継には、譲渡側と承継側の双方に多くのメリットがあるということが分かっていただけたかと思います。

クリニックや医院の第三者承継や承継先を探されている方は、豊富なデータベースを持つ医業承継の専門家や仲介会社に、ぜひ一度相談してみることをお勧めします。

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