【2024年最新】美容医療の市場規模の推移を公開!開業で成功するためのポイントも解説
目次
美容医療の開業を検討している方や美容外科の医師を目指そうと思っている方にとって、今後の美容医療業界の市場規模は気になるところでしょう。
そこで本記事では最新の市場調査データなどをもとに、美容医療の現状から将来性について詳しく解説します。
また、最適な開業方法や開業後に失敗しないためのポイントも解説していますので、ぜひ最後までチェックしてください。
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【2024年最新】美容医療業界の市場規模の推移
美容医療業界は世界的にも日本国内においても、これまで着実に成長を遂げている業界です。
コロナによって一時的に減少した背景はあるものの、その後は2024年現在まで市場規模は拡大しています。
ここでは世界と日本、それぞれの美容医療業界の市場規模を、具体的なデータとともに紹介します。
世界の美容医療の市場推移
世界規模で美容医療市場を見た場合、2023年時点で576億7,000万米ドルもの市場規模があると評価されています。
また今後、2032年にかけて816億6,000万米ドルまで成長すると予測されています。
データ引用:美容整形市場規模|Fortune Business Insights
市場が成長している背景には、健康的な見た目を保ちたいという人々が増加しているのはもちろんのこと、「痛くない美容処置」を求める患者の需要増加に伴い、美容技術や機器が発達してきていることも関係しているとされています。
上記の理由から、世界的にも美容医療の市場規模はまだまだ拡大傾向にあると考えられるでしょう。
日本の美容医療の市場推移
データを見ると、日本における美容医療の市場規模も拡大傾向が見られます。
出典:美容医療市場に関する調査を実施(2024年)矢野経済研究所
2020年には新型コロナウイルス感染症の影響で多少落ち込んだものの、その後は再び大きく伸びています。
美容医療の業界がコロナ後に大きく伸びている背景には、2つの要因が考えられます。
1つ目はマスク生活が長引いたことで、目元周りの施術需要が増加したことです。
2つ目は人との接触が少なくなった期間を利用して、シミやたるみを改善しようと美容医療を受ける方々が増えたことです。
一方で病院をはじめとした医療機関の経営状況を見てみると、コロナ禍以降に増加した赤字がそのまま続いている傾向にあります。
このような厳しい現状のなかでも美容医療の市場規模は拡大していることから、需要が高いといえるでしょう。
今後も美容医療業界は市場規模の推移が拡大する見込み
コロナ禍があったにも関わらず成長してきた美容医療業界は、下記の理由から今後も拡大していくことが見込まれます。
- 皮膚疾患の有病率が増加している
- 男性も美容医療に対して興味が強くなってきている
- ジェンダーレスなどの多様性が一般的になってきている
それぞれ解説していきましょう。
皮膚疾患の有病率が増加している
美容医療業界の市場規模拡大を後押しする要因として、世界的に皮膚疾患が増加傾向にあることが挙げられます。
世界保健機関(WHO)は2023年時点で、推定18億人もの方が何らかの皮膚疾患の影響を受けていると報告しています。
Overall, skin conditions are estimated to affect 1.8 billion people at any point in time.(全体として、皮膚疾患はいつでも世界中で推定18億人に影響を与えているとされています。) |
また、英国皮膚財団の調査によると、イギリス人の70%近くが自信に影響を与えるほどの目に見える皮膚の状態や傷跡を持っているとのことです。
70%of British people have visible skin conditions or scars that affect their confidence(イギリスの人々の70%が、自信に影響を与える目に見える皮膚の状態や傷跡を持っています。) |
このような状況に対応するべく美容医療の技術の進歩や開発が進んでおり、今後も業界全体が成長していくと見込まれます。
1,023名の男性を対象に行われた調査によると、全体で74%もの男性が「美容に興味がある」と回答しています。(株式会社ファンくる(Fancrew Inc.)調べ)
出典元:メンズ美容についての意識調査|株式会社ファンくる(Fancrew Inc.)
また、男性が実際に受けた美容施術のなかで、もっとも割合が多かったのは「脱毛」です。
出典元:メンズ美容についての意識調査|株式会社ファンくる(Fancrew Inc.)
女性はもちろんのことですが、男性の美に対する興味や利用者が増加傾向にあることから、美容医療の需要は今後も高まっていくことでしょう。
ジェンダーレスなどの多様性が一般的になってきている
ジェンダーレスなど性に関する多様な考え方が普及してきていることも美容医療の分野に影響を与えると考えられます。
女性向けとされている施術を男性が受けたり、またその逆のケースも増えていくことが考えられるでしょう。
これは先ほど解説した男性の美容に対する興味が高まっていることとは別に、男性が「女性のように美しく(可愛らしく)生きたい」と思ったり女性が「男性らしく生きたい」と思ったりすることが、増えているということです。
ジェンダーレスのような多様性の広がりは、美容医療業界にも新たな需要をもたらしていくことが考えられます。
美容医療のなかでも美容外科の将来性が高い
美容医療のなかでも、特に美容外科の将来性が高いといえます。
その理由として、実際に美容外科の開業が増加していること、非外科的施術の需要が高まっていることが挙げられます。
美容外科市場が伸びているデータや需要が高まっている理由などを、詳しく解説していきましょう。
実際に美容外科の開業は増加傾向にある
厚生労働省が公開している美容外科の推移に関するデータを見てみると、2002年から2020年にかけて増加し続けています。
データ出典元:医療施設(静態・動態)調査・病院報告|厚生労働省
美容外科が増加している背景には社会的に美容の関心が高まってきていること、美容医療の技術や機器の進歩によって、診療を気軽に受けられるようになってきていることも考えられるでしょう。
また、美容外科は他の医療分野に比べると自由診療の割合も多く、収益性が高いことも開業増加の理由として考えられます。
特に非外科的施術の需要が高い
美容外科のなかでも、身体への痛みや負担が少ない「非外科的施術」の需要が特に高まっています。
TCB東京中央美容外科が行った調査によると、美容医療に興味を持っている男女のなかで「非外科的施術」にもっとも関心を抱いているという結果が出ました。
ボトックス注射やヒアルロン酸注入、レーザー治療などは痛みが少なく回復期間も短いため、日常生活への影響が少ないことから人気を集めています。
また美容医療のなかでも非外科的施術は比較的費用が低いことも、人気の理由として考えられます。
今後も「痛くない美容処置」を求める方々は増えることが予測されますので、非外科的施術の需要もさらに高まっていくことでしょう。
美容医療を新規開業する場合メリット・デメリット
美容医療の開業方法は「新規で開業する」または「医業承継(M&A)で開業する」の2つあります。
まずは「新規開業」のメリット・デメリットを紹介します。
開業を検討する際の参考にしてください。
新規開業のメリット
美容医療を新規開業した場合の主なメリットは、以下のとおりです。
- 開業する場所を自由に選べる
- 物件や用地などの選択肢の幅が広い
- 外装や内装を希望通り作り上げられる
- 取引先や人材などを自分で選定できる
- 電子カルテや医療機器なども自分の意向で導入できる
新規開業はクリニックや診療所のコンセプト(診療方針)を、自分のビジョンや理想に合わせて作れることが最大の魅力といえるでしょう。
理想を実現しながら患者の役に立つことができると、医師としてのやりがいも感じやすいです。
新規開業のデメリット
美容医療を新規開業した場合のデメリットは、以下のとおりです。
- 初期費用が高い
- 経営の黒字化まで数年かかる可能性がある
- 開業後に安定した収入が得られるかわからない
- 新規スタッフのオペレーションの教育などが必要
- 開業場所によっては競合との争いが激しい
新規開業は建物の建築や内装工事、高額な医療機器、システムの導入など多額の初期費用が必要です。
また、開業地域の選択やマーケティング戦略を考慮しなければ、想定よりも患者が来ないなどの問題が発生することも考えられます。
新規開業は理想に合うクリニックを開業できるものの、経営面は見通しがつきにくくリスクが高いといえるでしょう。新規開業に必要な準備やスケジュールなどは「クリニックの開業スケジュールと必要な準備を徹底解説」で解説しています。
美容医療を医院継承で開業する場合のメリット・デメリット
医院継承とは、既存のクリニックや診療所を引き継いで開業する方法のことです。
新規開業のデメリットだった部分がメリットになる一方で、医院継承ならではのデメリットもあります。
それらを理解したうえで、ご自身にとって最適な開業方法を選びましょう。
医院継承(M&A)のメリット
医院継承(M&A)で美容医療を開業する場合、以下のようなメリットがあります。
- 開業までの時間や手間が少ない
- 新規開業に比べると初期投資を抑えられる
- 既存のスタッフを継続して雇用できる
- 既存の患者を引き継げるため収支の見通しがある程度立てられる
- 専門家が地域のマーケティング調査もしたうえで提案してくれる
医院継承(M&A)の大きなメリットは、新規開業に比べてさまざまなリスクが軽減されることです。
既存の患者やスタッフを引き継ぐことができるため、開業直後の「患者が来るかわからない」という不安や、「開業直後のオペレーションが大変」という問題が少ないことは、大きな魅力といえるでしょう。
医院継承(M&A)デメリット
美容医療を医院継承(M&A)で開業する場合、次のようなデメリットを考慮しなければなりません。
- 既存のスタッフや取引先との関係構築が必要
- 経営方針や診療スタイルの変更が難しい
- すべて理想通りの案件が見つかるとは限らない
- 古い設備や医療機器の更新や建物の老朽化による修繕費用が必要な場合がある
既存スタッフや取引先は前経営者の方が信頼が厚いため、新しく関係を構築するには時間が必要な可能性もあります。
また、デザインや診療方針、開業場所などすべて理想通りの案件が見つかるとは限らず、診療圏調査を行った結果として、希望した地域ではない場所での開業になることもあります。
しかし、承継開業する際はプロのアドバイスを受けられるため、必ずしも「理想通りにはならない=デメリット」とは言い切れないでしょう。
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美容医療の開業を成功するために重要なポイント
美容医療の市場規模は拡大傾向にあり、実際に開業件数も増加しています。
しかし、開業件数の増加に伴い競争も激しくなっているため、開業には緻密な経営戦略や患者のニーズの理解が不可欠です。
そこで美容医療の開業後に重要なポイントを4つ紹介します。
- 施術実績や体験レポートを公開する
- 施術に必要な費用をわかりやすく明記する
- SNSや美容医療に関するアプリを活用する
- 強引な勧誘をしないようにスタッフの教育を徹底する
それぞれ詳しく解説していきましょう。
施術実績や体験レポートを公開する
男女ともに美容への興味や需要が高まってはいるものの、まだまだ美容医療に対して「抵抗がある」「怖い」というイメージを抱いている方々が多いのも現状です。
「興味はあるけれど、失敗などが怖い」という方々の不安を無くすためにも、施術実績や体験レポートなどの公開が重要です。
例えばホームページで施術内容とともにビフォーアフター画像が掲載されていれば、患者は自身の悩みが解決する未来を想像できるでしょう。
また、実際に施術を受けた患者の体験談を紹介することで、施術を受けるまでのプロセスや受けたあとの経過が具体的にイメージできるので、安心感が得られます。
信頼感を得るためにも、医師のプロフィールにも施術実績や専門分野などをしっかりと記載しましょう。
施術に必要な費用をわかりやすく明記する
美容医療を受けたいと思ってはいるものの、実際に施術を受けていない方々の大きな理由が「お金がない」というものです。
出典:【受けてみたい美容医療ランキング】女性500人アンケート調査|ウェブスターマーケティング株式会社
「美容医療は高くて利用できない」という悩みを少しでも解消するために、施術に必要な費用を明確かつわかりやすく提示することが重要です。
また、患者は「途中で追加の費用が発生するのではないか」という不安もあります。
施術内容の説明時に基本料金だけでなく、追加オプションが必要な場合の内容も丁寧に説明しましょう。
施術後のケアや薬剤なども含めた総額の提示があれば、患者は安心して利用できます。
また、分割払いやローンは経済的なハードルが下がるため、活用できる場合は積極的にアピールしましょう。
SNSや美容医療に関するアプリを活用する
美容医療の開業で成功するためには、情報発信に関するマーケティングも非常に重要です。
情報発信のプラットフォームとしておすすめなのは、SNSやアプリです。
16〜59歳の男女2,810人を対象に行われた「美容医療についての調査」によると、SNSや美容医療のアプリ・サービスを使った情報収集を行っている人も多いことがわかりました。
SNSやアプリを使った情報収集の背景には「実際に体験した本人からの情報が知りたい」という需要の高さが関係しているでしょう。
例えば美容医療のアプリでは実際に利用した患者による評価が見られるため、クリニックや診療所を選ぶ際の判断材料になります。
また、施術の予約などもアプリから行えるため、患者の利便性が向上するなどのメリットもあります。
これから美容医療を開業するのであれば、SNS運用やアプリの活用は必須といえるでしょう。
強引な勧誘をしないようにスタッフの教育を徹底する
美容医療を利用した患者と医院側がトラブルになるケースは、残念ながら非常に多い現状にあります。
国民生活センターに寄せられた美容医療に関する相談件数は、2023年に6,264件と過去最大になっています。
年度 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
相談件数 | 2,784件 | 3,798件 | 6,264件 |
美容医療の相談内容には、販売方法に関する相談事例も上がっています。
二重まぶた手術の相談に行き、当日中の手術を強く勧められて手術を受けたが、金額や仕上がりに納得がいかない。一部でよいので返金してほしい。 |
強引な勧誘や不誠実な対応によるトラブルはSNSなどで拡散される可能性も高く、失った信頼は取り戻せなくなるでしょう。
このような事態にならないためにも、また「勧誘されそうで怖い」「勧誘されたら断れない」という不安を無くすためにも、強引な勧誘をしないようにスタッフ教育の徹底が重要です。
美容医療の市場規模は2024年にどのくらいになる?
Fortune Business Insightsの「美容整形市場規模」によると、世界の市場規模では、2024年には597億7,000万米ドル*に達すると予測されています。
日本における市場規模は2023年時点で5,940億円になっており、過去の拡大傾向から見ても6,000億円を超えるのではないかと予測できます。
出典:美容医療市場に関する調査を実施(2024年)|矢野経済研究所
美容外科の医師は増加していますか?
美容外科の医師数は、年々増加しています。
厚生労働省が行っている調査を見てみると、2022年までに美容外科医師の人数は著しく増えています。
データ出典元:医師・歯科医師・薬剤師統計:結果の概要|厚生労働省
特に、ここ数年で美容外科医師の増加が高まっているのは、非外科的処置の需要増加も影響していると考えられます。
大きな手術を伴わない非外科的処置は、美容外科の参入のしやすさにも影響があるでしょう。
まとめ:美容医療は今後も需要が高く市場規模も拡大の見込み
美容医療の需要は今後も高まり、市場規模も拡大が見込まれます。
拡大する根拠としては、男性の需要増加や非外科的処置の人気上昇、医療技術の進歩による安全で効果的な治療が可能になっている点が挙げられます。
美容医療の将来性は高く、今後も開業をする美容外科医師も増えていくことでしょう。
しかし開業で失敗しないためにも地域のマーケティングなど、専門的な知識や戦略が欠かせません。
医院継承(M&A)を活用すれば開業費用を抑えられるだけでなく、専門家による開業前後のサポートが受けられるため、準備だけでなく開業後も安心して取り組むことが可能です。
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この記事の監修者
田中 宏典 <専門領域:医療経営>
株式会社エムステージマネジメントソリューションズ代表取締役。医療経営士1級。医業承継士。医療機器メーカー、楽天を経て株式会社エムステージ入社。医師紹介事業部の事業部長を経て現職。これまで、病院2件、診療所30件、介護施設2件の事業承継M&Aをサポートしてきた。エムステージグループ内のM&A戦略も推進している。