【調査】開業しやすい診療科は?近年の動向や儲けやすさ、成功ポイント

将来開業を考えている方にとって、「開業しやすい診療科がどこなのか」は気になるところではないでしょうか。

本記事は、診療科別に見た動向や稼ぎやすさ、開業時のポイントなどをご紹介します。

開業しやすい診療科は?

歯科は「歯科医師免許」、麻酔科は「麻酔科標榜医」の資格を取得しなければなりませんが、それ以外の診療科目は「医師免許」があればどの科目でも標榜できます。

そのため、開業の難易度もその2科目以外は医師であれば特に変わらないと言えるでしょう。

次に、「開業後も毎月収益を上げていけるか」ということを考えると、集患がきちんと見込める診療科目であるかが重要になります。

よって、医療施設の数の多さや近年の増加数・減少数の多さなどから、ニーズや将来性を見込むことができ、開業して成功しやすい診療科を考えていきましょう。

標榜する医療施設の数が多い診療科

出典:政府統計の総合窓口e-Stat「医療施設調査 令和元年医療施設(動態)調査 全国編 」
  • 内科:6,705施設
  • リハビリテーション科:5,613施設
  • 整形外科:4,897施設
  • 外科:4,500施設
  • 消化器内科(胃腸内科):3,988施設
  • 循環器内科:3,958施設

標榜する医療施設の数が多い診療科は、それだけ患者からのニーズがあるというようにも考えられますが、競合が多く集患の際は差別化が必要となることも考慮しておきましょう。

近年増加数の多い診療科

厚生労働省の発表によれば、2020~2021年まで間で特に施設増加数が多かった診療科は次のようになっています。

  • 糖尿病内科(代謝内科):+42 施設
  • 腎臓内科:+28 施設
  • 救急科:+25 施設

現代人の生活習慣の変化や高齢者の増加に伴い、糖尿病内科や腎臓内科等のニーズが増えていると考えられます。

出典:厚生労働省「令和3(2021)年 医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況」

近年減少数している診療科

続いて減少数が大きかった診療科についてです。

これについても厚生労働省の同調査にて、2020~2021年の間における医療施設の減少数は以下のようになっています。

増加が進んでいる診療科に対し、元々の医療施設自体の多さや少子化などが背景にあることが考えられます。

  • 外科:-29施設
  • 小児科:-26 施設
  • 内科:-18 施設

出典:厚生労働省「令和3(2021)年 医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況」

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開業資金はいくら必要か

診療所の設立には多額の初期費用が必要です。

戸建てにするなら土地代として2500万円~、テナント開業であれば敷金や礼金、仲介手数料で400万円程度かかり、その上内装や医療機器、広告宣伝費などが必要です。

必要面積や内装費用、医療機器の購入費用については診療科によって大きく異なります。以下が目安となります。

診療科目必要面積内装費用医療機器の購入費用
内科35~50坪約3,000万円約2,000万円
小児科30~40坪約2,500万円約1,100万円
整形外科60~70坪約3,500万円約3,000万円
耳鼻科30~40坪約2,500万円約1,600万円
皮膚科25~35坪約2,000万円約1,400万円
眼科30~40坪約2,500万円約1,800万円
脳外科60~70坪約6,000万円約1億1,300万円
※こちらは、あくまで目安の費用です。ケースによって異なる場合もございます。

開業で成功しやすい「儲かる」診療科は?

開業して成功するには、収益が上がりやすいことも1つのポイント。ここでは、実際に利益を生んでいる診療科について見ていきましょう。

「儲ける」なら、勤務医より開業医

まず「開業は儲かるのか」ということを考えなければなりません。以下の関連記事にて、勤務医と開業医の平均年収を確認しておきましょう。

  • 勤務医の平均年収:約1,491万円
  • 開業医の平均年収:約2,374万円

開業医と勤務医との平均年収は、900万円ほどの差があります。

開業は初期費用やその後の借入金額の返済が経営に重くのしかかるとはいえ、その後収益の大きさが上回る中で長年運営していくことを考えると、やはり開業医の方が「儲かる」と言えるでしょう。

開業して儲かる診療科目

次に儲かる診療科目についてです。

厚生労働省の調査をもとに、一般診療所の医業・介護収益から費用を引いた損益差額より、医者の年収別に診療科をランキングしてみました。

  • 産婦人科:2,754万9000円
  • 眼科:1,459万1,000円
  • 皮膚科:1,276万3,000円
  • 内科:1,231万1,000円
  • 小児科:1,153万2,000円

出典:厚生労働省『第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告』

産婦人科は高齢出産の増加という社会背景もあり、不妊治療を診療に取り入れることで高収入を稼ぐこともできます。眼科は、医師1人でも手術を実施できる点や初診患者の割合が高い点などが、収益性の高さの要因として挙げられます。

【診療科別】成功する開業のポイント

医業承継サポート‗開業時のポイント

今まで取り上げてきた中から、いくつかの診療科の開業時のポイントをご紹介します。診療科目ごとでポイントは変わってくるので、開業前にチェックしておきましょう。

①内科の開業ポイント

診療圏が狭く、医療施設数も多いため、エリアマーケティングが重要になります。診療科目に近年増加率が高い「糖尿病内科」などの専門性を打ち出すか、「内科」「総合内科」として一般性を持たせるかは、診療圏のニーズによって決めましょう。もし専門性のある科目を取り入れると決めたとしても、多くの患者を取り込むために「内科」も必ず標榜するようにしてください。

②整形外科・リハビリテーション科の開業ポイント

運動機能のリハビリを必要とする高齢者が増え、通院患者は増えています。しかし、そのため「予約が取りづらい」「待ち時間が長い」などの運営課題のある医療施設が多いので、なるべく解消できるように努めましょう。また、最初から精密機器など設備費にお金をかけすぎないことも大切です。高齢の通院患者が多いので、バリアフリー設計が望ましいでしょう。

③産婦人科の開業ポイント

働きながら不妊治療に通う患者も多いので、通いやすい立地であることは重要なポイント。また、患者が女性となるため、女性に喜ばれるような清潔感があり居心地の良さを感じてもらえるような内装も心がけましょう。不妊治療を診療に取り入れる場合は、「一般不妊治療」か「高度不妊治療」かによって診療コンセプトが全く変わってくるため、開業前に検討することが重要です。

④眼科の開業ポイント

眼科は子どもから高齢者まで幅広い年齢層の患者をターゲットにできるため、ファミリー層が多く住んでいるような立地が望ましいでしょう。また、白内障の手術までを診療科目に含めるかどうかにより施設や設備が全く変わるため、開業前にしっかり検討しておくようにしてください。

⑤皮膚科の開業ポイント

まず、「一般的な皮膚科」にするのか「美容皮膚科」に特化するのかで、設備設計やターゲット層など開業の際の戦略が全く異なるので、最初にどちらにするのか決めてから戦略を練るようにしましょう。

収益化しやすい自由診療の「美容皮膚科」を診療で行う場合には、WEBマーケティングで集患を行う場合が多くなるため、駅に近いなどの立地は重要です。また、比較的高収入なセレブ層がターゲットになり得るので、施設内は高級感を演出するなどの配慮も必要になってきます。

まとめ

診療科別にトレンドや収益の上げやすさ、開業のポイントなどを解説いたしました。開業や診療科選びの参考にしていただければと思います。また、開業の際には、初期費用を安く抑えられる承継開業もおすすめです。

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