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医院継承の相場はどれくらい?コンサルタントが開業費用や譲渡価格について解説!

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医院継承の相場はどれくらい?コンサルタントが開業費用や譲渡価格について解説!

「継承で開業するといくら安くなるのか」「自院はいくらで譲渡できるのか」医院継承を考え始めた先生が最初に知りたいのは、譲渡価格の相場ではないでしょうか。

結論からいうと新規開業なら7,000万円前後かかるところ、承継開業は3,000万円前後に収まります。譲渡価格は1年分の営業利益に建物と医療機器の簿価を足した金額が目安で、規模によっても異なりますが一般的な相場は1,000万〜4,000万円です。

本記事では、エムステージマネジメントソリューションズで医院継承のコンサルティングを行う代表取締役の田中宏典が、開業費用の内訳から資金の調達先、譲渡価格の決まり方までまとめました。

医院継承の譲渡価格の相場

医院継承の相場の決まり方

医院継承時の譲渡価格は、1,000万〜4,000万円が目安です。譲渡価格の基本的な計算方法は「1年分の営業利益+承継できる建物や医療機器の簿価(時価)」です。

譲渡価格は診療科目やエリアよりも、利益や設備の価値のほうが大きく左右されます。建物や医療機器の評価には、譲渡時点の簿価または時価を使います。

利益が出ていないクリニックでも売却はできますが、買い手探しには時間がかかるので、譲渡を検討しているのであれば余裕をもって相談するのがおすすめです。

関連記事:診療所・病院の売却における譲渡価格の決め方

実際の価格の事例

私たちが扱った案件では、次の条件のクリニックが2,000万円で成約しました。

  • 建物と医療機器の簿価:1,000万円
  • 年間の営業利益:2,000万円

相場の計算式に当てはめると、営業利益2,000万円+簿価1,000万円で3,000万円です。実際の成約額は1,000万円下回り、買い手にとってはお買い得な案件でした。

値下げの理由は売り手側にあります。私たちに相談する前、この売り手は別のM&A仲介会社に依頼をしていました。ところが買い手が決まらないまま1年が過ぎます。

そこで私たちに依頼された際に、譲渡希望価格を下げて再募集をかけたところ、私たちが持っている全国の医師ネットワークからすぐに買い手が見つかりました。

売り手と買い手それぞれの事情で最終的な金額は動きますが、目安を知っておくことで譲渡価格の設定や交渉の材料になります。

医院継承と新規開業の相場の違い

開業費用の内訳

新規開業と承継開業では、開業費用に4,000万円ほどの差が出ます。新規開業は7,000万円前後、承継開業は3,000万円前後が目安です。

▶売却・買収を含めた医業承継(M&A)の考え方はこちら

▼新規開業と承継開業での開業費用の差異

項目新規開業承継開業
開業費用の相場7,000万円前後3,000万円前後
費用の差異内訳  
建物代2,500~4,000万円 
内装費2,000~5,000万円0円(施設をそのまま使用)
医療機器代1,000~5,000万円(新品で購入)200~500万円(中古で購入)
広告費約300万円(HPの新設、看板、チラシ)約50万円(HPの改修)
採用費約100万円(紹介・採用サイト)0円(スタッフも引き継ぐ)
のれん代0円1,000~3,000万円

※こちらは、あくまで目安の費用です。ケースによって異なる場合もございます。

承継開業はどの診療科目でも進められますが、精神科だけは注意しなければなりません。医師と患者の結びつきが強い傾向にあるため、前院長の引退と共に患者も離れる可能性が高いためです。

決算書の数字では「承継後に患者がどれだけ残るのか」というのはわかりません。特に精神科の場合は承継先を決める前に、患者層と前院長との関係をM&A仲介会社と一緒に確認しておきましょう。

関連記事:医院継承のDD(デューデリジェンス)とは?種類や調査内容、費用をわかりやすく解説

クリニックや医院の開業費用の考え方

クリニックや医院の開業費用は、どんな物件や医療機器を選んで開業するかによって、必要な開業資金は変わってきます。また、標榜する診療科目によっても、開業資金は異なります。

ここでは、おおよその開業にかかる費用の相場をご紹介するので、目安として参考にしてください。

▼開業にかかる費用の項目別相場

費用項目費用の相場費用の内容
土地・建物2,500万円~
内装・設備2,000~3,000万円天井や床、壁、装飾、照明、空調など
医療機器2,000~3,000万円電子カルテ、一般撮影装置、超音波診断装置、内視鏡、心電計、CRなど
什器・備品約200万円待合ソファ、診察机や椅子、休憩室用机や椅子、電話設備、レジスター、タイムカードなど
医師会入会金100~300万円費用は各医師会によって異なる
広告宣伝200~300万円チラシやリーフレット、HP、看板など
消耗品・予備約200万円診察券などの印刷物や筆記用具などの事務用品、医薬品など

※こちらは、あくまで目安の費用です。ケースによって異なる場合もございます。

上の表は、戸建ての場合の、開業費用の相場です。テナント開業をする場合には、土地・建物の費用の代わりに、保証金(敷金)や礼金、仲介手数料、初月の賃料などが必要になります。保証金(敷金)は家賃の6~12ヵ月分がであることが多く200~600万円程度、仲介手数料と礼金は家賃の2ヵ月分が多く60~100万円程度が相場となります。

また、テナントでの開業の場合には内装工事期間中も賃料がかかるため、およそ2ヵ月分の60~100万円程度が必要となることも考慮しておきましょう。

診療科目によって、必要な広さや設備、医療機器が異なるため、開業費用にはかなり差があります。診療科目別の土地や建物、医療機器の購入費用にかかる相場は、以下になります。

▼診療科目別の内装費用や医療機器の購入費用の相場

診療科目必要面積内装費用医療機器の購入費用医療機器の内容
内科35~50坪約3,000万円約2,000万円一般撮影装置やCR/PACS装置、超音波画像診断装置、電子内視鏡システムなど
小児科30~40坪約2,500万円約1,100万円一般撮影装置やCR/PACS装置、血球計数CRP測定装置、滅菌器など
整形外科60~70坪約3,500万円約3,000万円一般撮影装置やCR/PACS装置、骨密度測定装置(DXA式)、リハビリ機器など
耳鼻科30~40坪約2,500万円約1,600万円診療ユニットや電動椅子、ネブライザー、電子内視鏡システムなど
皮膚科25~35坪約2,000万円約1,400万円顕微鏡やCO2レーザー装置、Qスイッチレーザー装置、滅菌器など
眼科30~40坪約2,500万円約1,800万円眼底カメラや眼圧計、静的視野計、液晶視力表など
脳外科60~70坪約6,000万円約1億1,300万円一般撮影装置やMRI装置、CT装置、CR/PACS装置など

※こちらは、あくまで目安の費用です。ケースによって異なる場合もございます。

購入する医療機器の費用は、診療科目によって異なるだけではなく、どの程度の設備を整えるのかによっても変わってきます。また、医療機器は購入ではなくリースという方法もあるので、開業コンセプトや予算に合わせて考えましょう。

開業資金が足りない場合

開業資金が足りない場合は、金融機関からの借入で埋めます。このとき審査で見られるのが自己資金です。目安は開業資金の1〜2割で、開業費用が1億円なら1,000万〜2,000万円にあたります。

自己資金がなくても開業はできますが、金融機関の審査は厳しくなります。

ここでは開業資金の融資が受けられる機関を4つ、見ていきましょう。

クリニックや医院開業のための資金調達先①日本政策金融公庫

政府系の金融機関で、民間より低い金利で開業資金と運転資金を貸し付けています。開業時に使えるのは「新規開業・スタートアップ支援資金」です。

項目内容
対象新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の人
融資限度額7,200万円
返済期間(設備資金)20年以内(うち据置期間5年以内)
返済期間(運転資金)10年以内(うち据置期間5年以内)
担保・保証人創業期は原則として無担保・無保証人

出典:新規開業・スタートアップ支援資金|日本政策金融公庫

開業前、または開業後に税務申告を2期終えていない段階なら、原則として無担保・無保証人で借りられます。

あわせて金利が一律0.65%引き下げられ、雇用の拡大を図る場合の引き下げ幅は0.9%です。土地や建物を持っていない先生でも申し込めます。

出典:創業融資のご案内|日本政策金融公庫

クリニックや医院開業のための資金調達先②独立行政法人福祉医療機構

厚生労働省が所管する独立行政法人で、社会福祉施設と医療機関の整備に必要な資金を融資しています。融資額の上限は病院・診療所・病床の有無によって分かれます。

区分建築資金土地取得資金長期運転資金
病院7億2,000万円以内3億円以内1億円以内
有床診療所5億円以内3億円以内―
無床診療所・歯科診療所3億円以内3億円以内―

※新築資金の場合の上限。増改築資金では土地取得資金の扱いが変わります。 

出典:ご融資の種類(病院)|WAM ご融資の種類(診療所)|WAM

無床診療所と歯科診療所が新築資金を使えるのは、開設地が診療所不足地域の場合です。在宅療養支援診療所やかかりつけ医機能を有する診療所を新設する場合も対象になります。

クリニックや医院開業のための資金調達先③民間金融機関

メガバンクや地方銀行、信用組合などで、開業医ローンとして融資を受け付けています。

  • メガバンク:(例)借入金額最大5,000万円、融資期間最長10年、担保・保証人は不要など
  • 地方銀行 :(例)借入金額最大1億円、融資期間最長10年、個人の場合は担保・保証人は原則不要など
  • 信用組合 :(例)借入金額最大2億円、融資期間最長35年、要保証人。地元の医師会に入会予定、または入会済であることが要件など

クリニックや医院開業のための資金調達先④リース会社

医療機器を購入し医療機関に貸し出しを行うリース会社で、開業資金の融資も行っているところがあります。新規開業にあたって医療機器をリースしようと考えている方には、同じ会社を利用することで手間が省けることも。リースの発注と併せることによって、融資に対して融通が利くこともあります。

医院継承の相場はケースによるので専門家への相談が必須

譲渡価格も開業費用も、目安の金額がなければ話が始まりません。とはいえ実際の成約額は、相場から離れることもあります。

売り手側なら、本記事の事例のように希望価格を少し下げるだけで買い手が見つかります。買い手側が見るのは相場との差だけではありません。承継後の収益性も判断の軸になるため、承継先のデューデリジェンスが必要です。

私たちエムステージマネジメントソリューションズでは、譲渡を考える先生と承継開業を目指す先生の双方をサポートしています。

▶医院継承・医業承継(M&A)のご相談は、エムステージ医業承継サポートにお問い合わせください。

この記事の監修者

田中 宏典 <専門領域:医療経営>

株式会社エムステージマネジメントソリューションズ代表取締役。
医療経営士1級。医業承継士。
静岡県出身。幼少期をカリフォルニア州で過ごす。大学卒業後、医療機器メーカー、楽天を経て株式会社エムステージ入社。医師紹介事業部の事業部長を経て現職。
これまで、病院・診療所・介護施設等、累計70件以上の事業承継M&Aを支援。また、自社エムステージグループにおけるM&A戦略の推進にも従事している。
2025年3月にはプレジデント社より著書『“STORY”で学ぶ、M&A「医業承継」』を出版。医院承継の実務と現場知見をもとに、医療従事者・金融機関・支援機関等を対象とした講演・寄稿を多数行うとともに、ラジオ番組や各種メディアへの出演を通じた情報発信にも積極的に取り組んでいる。
医療機関の持続可能な経営と円滑な承継を支援する専門家として、幅広く活動している。
より詳しい実績は、メディア掲載・講演実績ページをご覧ください。

【免責事項】
本コラムは一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の取引や個別の状況に対する税務・法務・労務・行政手続き等の専門的なアドバイスを提供するものではありません。個別案件については必ず専門家にご相談ください。