しっかりした収支改善計画で、借金返済の不安を解消。北関東・内科クリニックの承継事例

【売り手側】Sクリニック 院長Tさん（72） ：　院長が病気で亡くなりそうだが、後継者がいないため譲渡を希望

今回譲渡を希望されたのは、北関東で内科やアレルギー科、整形外科、脳神経外科などのある医療法人のSクリニックを運営されている、60代の院長Tさんです。実は相談されたTさん自身が深刻な病気に侵され余命が短く、早急に引き継ぎたいとのこと。しかし、医師の資格を持つ息子さんはほかにやりたいことがあり跡を継ぐ気はないため、すぐに後継者を探さなければいけない状況でした。

その上病院は5年程前に豪華な造りの建物に建て替えたばかりで、1.5億円ほど借金がありました。病院の建物自体は資産価値として1億円あるのですが、借地の上に建てているため売りづらいのです。もし建物だけを売るとなると資産価値が相当目減りしてしまい、借金だけが残ってしまうことに。とはいえ、後継者がいない以上病院を運営して借金を返済していくこともできないため、無償で譲渡する代わりに借金の連帯保証ごと引き継いでもらえる方を探していました。

【買い手側】Aクリニック 院長Yさん（43） ：　関東から東北の間にある、条件の良い案件を希望

譲渡相手に決まったのは、都内のAクリニックで院長として勤務している40代のYさんです。Aさんは将来自分の病院を開業したいと考えていて、地元が東北だったため関東から東北の間にある条件が良い案件を探されていました。

実はこのYさんの前に、当初別の方と承継を進めていました。ただ、その方は借金の連帯保証人になることに難色を示しており、院長が亡くなった際に受け取れる保険金をもとに遺族に現在医療法人が持っている負債ごと建物を買い取ってもらい、その遺族に対して病院の運営利益から少しずつ負債分を返していきたいとの要望がありました。

その後、エムステージのコンサルタントがその場合の返済プランなどをシュミレーションしてみましたが、さまざまな手続きが必要になるため時間がかかることもあり、その方との承継は成立しませんでした。

成立の決め手は、連帯保証になる借金の返済計画の目途がついたこと

エムステージのコンサルタントが承継物件を探しているYさんにSクリニックを紹介すると、Yさんも「借金があるところは無理ですよ」と難色を示していました。

そこで、コンサルタントが収支改善レポートを作成。Sクリニックには院長が亡くなったら保険金として5,000万円が入ってくるため借金が1億円に減ること、経営が軌道に乗るまで遺族が現金で5,000万円を貸してくれることなどの条件があり、Yさんは1円も出資せずに開業できるというメリットをしっかりご説明いたしました。

そういったことからYさんはこのSクリニックを引き継いで開業しやっていけるというシュミレーションをすることができ、残念ながら承継成立前に院長Tさんは亡くなってしまいましたが、納得してこの案件を承継するとの意思を決めたのです。

仲介会社として、サポートしたポイント

承継が成立すれば、それでサポートは終わりではありません。Sクリニックの院長Tさんは亡くなってしまいましたが、Yさんはまだ勤務先の仕事があるためすぐに全てを引き継ぐことができませんでした。

そこで、エムステージのコンサルタントが実務の引き継ぎが完了するまでのプランを整理し、一旦はT院長の息子さんに院長になってもらい、週に数日Yさんに勤務してもらいながら引き継いでもらうことにしました。

まずは、引継ぎ期間の間に院内掲示板に掲出するなどして、Yさんが新しく院長になること通院患者に周知し、不安感を持たないように努めました。また、Yさんは毎日診療に来られないため、人員の確保が必要となりました。しかし、当社は医師人材サービスも展開する会社なので、Yさんが不在時の診察枠を「Smart Match」から派遣されたスポットアルバイトの医師たちで埋めることができ、安心して患者に通院を続けてもらうことができました。

このように、医療でさまざまなサービスを行っている当社であれば、承継に関するお悩みがあっても、それをサポートしていくさまざまなご提案をすることができるのです。