開業医が知るべき、患者が来ない理由と集患・増患対策
患者が少ないクリニックは立地が悪い、情報発信不足、医療知識や技術が不十分、次回予約がない、待ち時間が長い、コミュニケーション不足などが原因です。集患対策として、ホームページやSNSの充実、目立つ看板の設置、丁寧な対応が重要です。SEOやMEO対策を行い、患者にとってわかりやすい情報提供をすることがクリニックの認知度向上につながります。
本記事では、患者が少ないクリニックの特徴や対策方法を説明していきます。
患者が少ないクリニックの特徴
患者が少ないクリニックには次のような特徴が挙げられます。
- 立地が悪い
- ホームページがない・情報が少ない
- 医療知識・技術の不足
- 次回の予約をとっていない
- 待ち時間が長い
- 患者さんとのコミュニケーションができていない
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立地が悪い
クリニックへの来客は立地条件と大幅に関連性があります。患者さんがクリニックを探す手段として、通りがかりや口コミ、そのほかにネット検索が挙げられます。この中で口コミを活用するためには、ある程度患者が安定的に来院していることが必要です。そのため、患者さんが来ないとの悩みを持つクリニックにおいては、口コミ経由での来院はあまり見込めません。
それでは、クリニック開業において立地条件とは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。駅から近いなどのアクセスの良さだけでなく、同じエリアに数存在する競合を意識する必要があります。競合が多いとその分だけ患者さんが来る確率が減る傾向にあります。
また、目立たない場所にあるクリニックは競合が少なくても認知度が上がらず、患者が増えにくい傾向があります。物件を探しているときに、家賃が安い場所や空いているテナントなどはその分の理由があるのです。家賃だけで選んでしまうと、このような物件にあたりがちなので注意をする必要があります。実際に足をはこんで「見つけやすいか」どうかを確かめることが大切です。
ある程度家賃が高いところで開業して、最初の一定期間は看護師を雇わないなど違う部分でコスト削減をするのも1つの方法です。
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ホームページがない・情報が少ない
患者の多くは来院する前に、ホームページをチェックするなどクリニックに関する情報を検索します。そのため、ホームページがなかったり情報が少なかったりするクリニックは、ホームページが充実しているクリニックと比べるとどうしても魅力を伝えきれないといえるでしょう。
ホームページ以外にも、近年ではSNSを活用しているクリニックも多くなっています。クリニックの紹介だけでなく院内の様子や臨時の休診などをリアルタイムに紹介しているため、情報を提供していないクリニックとの差が広がっている傾向にあるのです。
医療知識・技術の不足
患者さんに来てもらうためには、医療知識や技術を常にアップデートするための努力が必要です。近年では、医療技術に関してもインターネットで調べることができるため、患者さんも勉強できる環境にあります。患者さんからの質問に答えられるように日々勉強していく必要があります。
次回の予約をとっていない
患者さんの治療がしっかり終わるまで見届けるためにも、次の来院日時の予約はしっかりとりたいところです。しかし、次の予約をとっていないケースは少なくありません。患者さんのためを思って予約をとらない場合もあるでしょうが、完治を見届けるためにも予約をとることで再診につながる可能性が高まる場合があります。
待ち時間が長い
待ち時間が長いクリニックは患者さんの評価が落ちる要因となります。ネット予約やWeb問診票や自動精算機を導入するなど、患者さんが待ち時間を減らせるような対策が必要です。雑誌を置いたりテレビを置いたり、待ち時間が気にならないような工夫もすると良いでしょう。
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患者さんとのコミュニケーション不足
患者さんは医師とのコミュニケーションを重要視することが一般的です。特に、長時間待ったのに診察が数分で終わった場合は何のためにクリニックに来たのかわからないといった感想になりやすいのです。治療とは直接関係のないことであったとしても、話を聞くことで患者さんの気持ちは変化します。他の患者さんの待ち時間が長くなるほど世間話をする必要はありませんが、患者さんにとっては医師とコミュニケーションをとることが、不安な気持ちを和らげたり安心を感じることにつながります。
集患・増患対策としてできること
集患・増患対策としてできることには次の方法が挙げられます。
- ホームページの作成・リニューアル
- SNSを活用する
- 口コミには真摯に向き合う
- 目立つ看板を立てる
- 患者さんとの接し方を丁寧にする
ホームページの作成・リニューアル
インターネットやスマートフォンが普及した現在において、ホームページの充実度は重要です。情報があまり記載されていないホームページや見にくいホームページ、長らく更新されていない状態であればホームページの見直しをすることが必要です。特にスマートフォンに対応していない状態であればリニューアルを検討すべきといえるでしょう。ホームページのリニューアルをするうえで次の点に注意をすることが効果的です。
- SEO対策
- MEO対策
SEO対策
ホームページのアクセスを増やすためには、SEO対策が重要です。SEO(Search Engine Optimization、サーチ・エンジン・オプティマイゼーション)対策とは、クリニックのホームページやブログなどがネット検索されたときに上位表示させるための対策です。検索結果に表示されている上位のサイトから確認することが一般的であり、上位にあればあるほどアクセスが増える傾向にあります。
競合と差をつけるためには情報量の多さ(ページ数、ページ内の文字数)や情報の鮮度(更新頻度)を意識すると良いでしょう。
また、ユーザーにとって読みやすいホームページであるか、適切にサイト内リンクを貼れているかもポイントです。
ページ内にリンクを張り巡らせることで、ユーザーが必要な情報をすぐに見つけることができるというメリットもあります。しかし、あまりにも多くのリンクを張ることは逆効果になるため、適度に張ることが大切です。
MEO対策
SEO対策以外に、MEO(Map Engine Optimization)を進めることも集客に効果的です。MEO対策とはGoogleマップの検索結果画面で上位表示させることであり、マップエンジンの最適化をおこないます。
例えばユーザーが「新宿 歯医者」と検索した際にGoogleマップの地図上において上位に表示させる対策です。ユーザーは一般的に上位に記載されているクリニックから確認していきます。次のページに行けばいくほど、だんだんとアクセスが減っていくのが一般的です。
MEOはSEOと異なり、地域のターゲットユーザーに直接アプローチが可能です。特定の地域と特定の業種を検索することをGoogleではローカル検索と呼びますが、検索結果に該当するクリニックの住所や画像、レビューなどと地図が検索結果画面に表示されます。
そのため、上位で表示されるとユーザーの目に留まりやすく来院してくれる可能性が高まるのです。
MEOで注意したいのは、良い口コミだけでなく悪い口コミも広まりやすいということです。中には悪意のある第三者が悪い口コミを書く場合もありますが、よほどの誹謗中傷でない限りGoogleに問い合わせても消すことは難しいのが現状です。悪い口コミが目立たないくらい良い口コミを増やしていくよう工夫する必要があります。
SNSを活用する
SNSを活用することで、多くの人にクリニックの存在を知ってもらうことができます。クリニックの情報や院内の様子、クリニックでできることなどを定期的に情報発信することにより、患者を増やせる可能性があります。
また、満足してもらった患者さんがリツイートなどをすることで拡散されることもあります。SNSの活用は費用がかからないことから、特に患者が集まらない段階のクリニックであれば活用したい方法です。
口コミには真摯に向き合う
中には厳しい内容の口コミを投稿する患者さんもいるでしょう。しかし、このような口コミに対して真摯に向き合うことで、クリニックをよりよくして患者さんが増えることにつながるケースがあります。誹謗中傷に対しては対応する必要はないですが、辛口な意見はクリニックをよくするためのきっかけとしてとらえるべきです。またネガティブな口コミに対しても真摯な姿勢で返信することで、患者さんとしっかり向き合っているクリニックだという印象を与えることができます。
目立つ看板を立てる
外観でクリニックがあるのかどうかわかりづらい場合は、患者さんにとって入りにくいクリニックであるといえます。このような状況であれば、クリニックがあることがわかるように目立つ看板を立てるようにしましょう。
ホームページやSNSなどで情報を見つけてクリニックまで来ても、場所がわからなければためらってしまう患者さんもいるでしょう。そのためにもクリニックの場所がわかるような看板は必要です。
看板にはクリニック名だけでなく診療科名も記載しておきましょう。
「内科」だけでも「消化器内科」「呼吸器内科」「循環器内科」など複数の診療科名があります。それぞれどのような症状にたいしても対応できるというアピールになります。
このようにクリニックの名称のみならず、診療科目についてもわかりやすくしておくことが大切です。
患者さんとの接し方を丁寧にする
施設や医療技術がしっかりとしていても、患者さんとの接し方が丁寧でなければ通院したいとは思ってもらえません。また、患者さんの多くは医師に話を聞いてもらうことで満足度が上がります。そのため、患者さんとの接し方には十分気を付けることが重要です。患者さんの立場にたった接し方を心かげるようにしましょう。
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まとめ
患者が少ないクリニックは次のような特徴が挙げられます。
- 立地が悪い
- ホームページがない・情報が少ない
- 医療知識・技術の不足
- 次回の予約をとっていない
- 待ち時間が長い
- 患者さんとのコミュニケーションができていない
これらに当てはまっていないかを一度振り返り、対策をしていくことが重要です。特に患者さんが来ない状態であれば、口コミで来院してもらうことを期待できません。通りがかりかネットで情報を調べた患者さんが対象になるため、これらの患者さんが来やすいような環境を作るようにしましょう。
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この記事の監修者
田中 宏典 <専門領域:医療経営>
株式会社エムステージマネジメントソリューションズ代表取締役。医療経営士1級。医業承継士。医療機器メーカー、楽天を経て株式会社エムステージ入社。医師紹介事業部の事業部長を経て現職。これまで、病院2件、診療所30件、介護施設2件の事業承継M&Aをサポートしてきた。エムステージグループ内のM&A戦略も推進している。