医療機器の導入、リースと購入どちらが良い?

医療経営・診療所経営 2022/12/19

「医療機器を導入する際、リースで導入するか、購入するかどっちがいいのだろう…」このようにお悩みの開業医の先生方は多いです。

なぜ、このようにお悩みの方が多いのでしょうか。

それは医療機器のリースと購入にはそれぞれ一長一短があるからです。

そこで今回は医療機器の導入時におけるリース・購入のメリット・デメリットを解説します。本記事は次の方におすすめです。

  • 医療機器を購入するかリースにするか迷っている
  • 医療機器を購入・リースで導入する際のメリット・デメリットについて知りたい
  • 医療機器のリース会社を比較して検討したい

医療機器を導入を検討している方で、リースにすべきか購入にすべきか悩んでいる方は参考にしてみてください。

医療機器をリースで導入するメリット

医療機器をリースで導入するメリットは4つあります。それぞれ詳しく解説しましょう。

初期費用が安い

大型の医療機器になると初期費用が数千万円かかる場合があります。

特に新規開業時では多くの出費が必要でしょう。

大きな費用が発生する場合でも、リースであれば月々の支払いに分散できるため、初期費用が抑えられるのです。

事務処理をリース会社が行ってくれる

リース契約で発生する固定資産税の申告や計算、納付などの事務処理は全てリース会社が対応します。そのため煩わしい事務作業が発生せず、スムーズに契約ができるのです。

審査がいらない

金融機関で借り入れを行う場合、審査が必要になります。

また物的担保が必要になるため、手間がかかるでしょう。

一方でリースの場合は審査が必要ありません。また物的担保も必要ないため、手間なく契約が進められるのです。

新機種に変えやすい

医療機器を新機種に更新する場合、旧機種の廃棄料がかかります。医療機器の廃棄は、産業廃棄物処理の資格をもった業者でしか廃棄ができず、廃棄を業者に依頼する場合は廃棄料がかかるのです。

一方でリースの場合は、リースアップ時に契約を解除するだけで問題ありません。旧機種の回収はリース会社が行い、リース会社から廃棄業者に廃棄依頼されるため、廃棄料もかからないのです。そのため簡単に新機種に変えやすいと言えるでしょう。

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医療機器をリースで導入するデメリット

医療機器をリースで導入するメリットが多数ある中で、デメリットも存在します。それぞれ詳しく解説しましょう。

総額が割高

医療機器をリースで導入する場合、リース手数料が発生します。

そのため借り入れより割高になり、トータルで発生する費用が高額になるのです。

途中で解約できない

リース契約の場合、途中で解約ができません。正しくは契約期間外に解約した場合、違約金の支払いが必要となる場合があります。

医療機器をリースで導入する際は、数年は変えられないことを踏まえ、十分に検討しておく必要があるでしょう。

仕様を変えられない

医療機器をリースで導入する場合は、医療機器一式全てをリースで契約します。

そのため、仕様が決まった状態で契約が開始されるのです。

オプションを途中から導入しようとしても、オプション品はリース扱いにならないため、扱いにくくなる可能性があります。

医療機器をリースで導入する場合は、あらかじめ仕様を吟味し、過不足ないように選択しましょう。

医療機器を購入するメリット

医療機器を購入する際には、リースとは違ったメリットがあります。ここでは2つ解説しましょう。

総額を抑えられる

医療機器をリースで契約する場合、リース手数料が発生し、総額が増えます。

一方で購入する場合は、手数料は発生しません。導入時に一括で支払えば、それ以後に費用はかからないのです。

手持ちの資金に余裕がある場合は、リースではなく購入するといいでしょう。

特別償却制度を受けられる

出典:令和3年度 税制改正の概要

特別償却制度では、500万円以上の医療機器における取得価額の12%が特別償却できます。

また30万円以上のソフトウェアや備品、器具における取得価額の15%が特別償却できるのです。

本制度が適用される医療機器は、厚生労働省によって定められています。気になる方は確認してください。

また本制度が適用される対象は、2023年3月31日までに取得したものになっているため、検討する方は早めの手続きが必要です。

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医療機器を購入するデメリット

医療機器を購入する場合のデメリットについて解説します。

医療機器の購入を検討する際は、メリット・デメリットを踏まえて決断しましょう。

初期費用が大きい

医療機器をリースで導入する場合は支出を月払いできるため、出費が分散でき、初期費用が抑えられます。

一方で購入する場合は、大きな初期費用が発生する場合があるでしょう。

特にCTやMRIなどの画像診断装置の場合、機種によっては数千万円の費用がかかる場合があります。

購入する場合は、事前に事業計画を立て、計画的に購入する必要があるでしょう。

新機種に変えにくい

リースで医療機器を導入した場合、リースアップ時に契約を解除するだけで問題ありません。旧機種の回収はリース会社が行い、リース会社から廃棄業者に廃棄依頼されるため、廃棄料もかからないのです。そのため簡単に新機種に変えやすいと言えるでしょう。

一方で購入した医療機器を新機種に更新する場合、旧機種の廃棄料がかかります

医療機器の廃棄は、産業廃棄物処理の資格をもった業者でしか廃棄ができず、廃棄を業者に依頼する場合は廃棄料がかかるのです。業者とのやりとりなどで手間がかかるため、簡単には新機種へ更新できません。

事務処理が難しい

リースで医療機器を導入する場合、減価償却費用や損害保険料、償却資産税などの会計処理をリース会社が対応してくれます。そのため、会計処理の手間がかかりません。

一方で購入の場合、全て自身で会計処理しなければならないため、手間がかかるのです。

クリニック専任の税理士がいる場合は問題ありませんが、自身で対応する場合は時間と労力がかかるため、注意が必要です。

リースか購入かを決めるポイント

リースか購入かを決める際のポイントをまとめました。

医療機器を導入する際に、どちらの形態を選ぶか迷う場合は、ぜひ参考にしてみてください。

耐用年数が長ければ購入

耐用年数が長く、10年以上使用するものであれば購入の方が安く済む可能性があるため、購入することをおすすめします。

たとえばCTやMRIなどの大型医療機器などは、10年以上使用するケースが一般的です。

こういった医療機器の場合は、リースよりも購入の方が向いています。

アップデートの頻度が高ければリース

たとえば新機種が頻繁に出る医療機器であれば、買い替えが必要なケースが出てきます。

この場合はリースの方が向いている場合があるでしょう。

特に最新の医療機器で診療を行う方針のクリニックでは、アップデート頻度が高い機種はリースの方が向いている場合があります。新しい医療機器を導入し、先端技術を用いて診療することで、患者さんに質の高い医療が提供できる可能性が高まるからです。

アップデート頻度は、ネットで収集したり、医療機器メーカーに聞いたりして情報を集めるといいでしょう。

リースを行っている会社

リースを行っている会社はさまざまです。今回は代表的なリース会社を5つご紹介します。リース会社選びの際に活用してください。

リコーリース

通常のリース事業に加え、クリニックの新規開業支援、医療機器以外の往診車や検診車などのリース契約が可能です。

またクリニック経営サポートや集金代行事業なども幅広くサポートしています。

https://www.r-lease.co.jp/business/lease_finance/lease/

シャープファイナンス

通常のリース事業に加え、クリニックの新規開業支援や融資などを積極的に行っています。

医療経営ジャーナル誌「ドクターズフォーシーズンズ」では、医療機関経営に関するノウハウについて有益な情報を発信しています。

https://www.f-sfc.co.jp/product/finance/

オリックス・レンテック

30社以上の医療機器メーカーと協業し、さまざまな医療機器のレンタルを行っています。

また中古機器の販売も並行して行っています。

通常のレンタルから、長期間(12ヶ月以上)を想定したレンタルプランまで、レンタルサービスに特化した事業展開を行っている会社です。

https://www.orixrentec.jp/med/index.html

芙蓉総合リース株式会社

医療機関の経営サポートなどを総合的に支援しています。

中古医療機器の回収や買取などにも力を入れている会社です。

https://www.fgl.co.jp/

株式会社日医リース

通常のリース事業に加え、クリニックの新規開業支援に注力しています。

事業計画の立案や診療圏調査、医療機器の選定や広告事業を含め、クリニックの開業支援をトータルサポートしている会社です。

https://www.nichii-lease.com/practitioner/program/

リース・購入はキャッシュフローを基に検討を

医療機器を導入する際は、大きな費用がかかるケースが往々にしてあります。そのため、リースで導入するか購入するかは判断が難しい場合があるでしょう。

医療機器のリース・購入には一長一短があります。自院の経営状況などを踏まえ、将来を見据えて長期的なスパンで検討する必要があるでしょう。

判断する際に大事なことは、自院のキャッシュフローを基に検討することです。自院の収入と支出のバランスを加味し、医療機器の使用期間やメンテナンス期間、税金面や保険料などを考える必要があります。

クリニックや医院の開業であれば、0から構築していく「新規開業」ではなく、既存のクリニックや医院を引き継ぐ「承継開業」という方法もあります。

エムステージマネジメントソリューションズのコンサルタントは医療経営士の資格を保持しているため、経営に関するアドバイスなどのサポートも行います。また、「事業計画書の作成」や「資金調達コンサルティング及び金融機関等との融資交渉」なども開業支援の業務内です。

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