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クリニックのM&Aにおける「のれん」とは?営業権との違い・算出方法

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病院M&Aにおける「のれん」とは?営業権との違い・算出方法

クリニックのM&Aにおける「のれん」とは、買収価格と純資産の差額を指し、信頼やブランド力などの無形資産を表します。営業権とほぼ同義ですが、算出方法に違いがあります。のれん代は譲渡価格から純資産を引くことで算出され、3~5年の営業利益を基に調整項目を考慮します。医業承継においては、のれんの理解と算出には専門知識が不可欠です。

本記事では、のれんの意味や営業権との違い、のれん代の算出方法などを詳しくご紹介します。

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会計用語「のれん」とは?由来・営業権との違い

会計用語「のれん」の由来

のれんという言葉は、その名の通り飲食店等の店先にかかっている「暖簾(のれん)」が由来といわれており、貸借対照表における勘定科目のひとつです。

よって、のれんはそのお店の屋号をはじめとした象徴であると同時に、信用力やブランド力を表す看板ともいえます。

病院M&Aで使われる「のれん」という言葉も、病院・クリニックが積み重ねてきた信頼やブランド力、収益力などといった、目には見えない無形の資産を表しています。

病院M&Aにおけるのれんと営業権

のれんとは、会計基準で定義された用語であり、具体的には譲渡対象の病院・クリニックの時価(純資産)と実際の買収価格の差額です。

のれんと似た意味を持つ用語として、「営業権」があります。この2つはほぼ同じ意味を持ちますが、厳密にいうと譲渡価格の考え方において違いがあります。

のれん代の考え方と算出

のれん代は、建物など有形物の価値の他に、ブランド力やいわゆる「稼ぐ力(経済的能力)」を表したものであります。

また、のれん代は最終的な譲渡価格(M&A総額)から純資産を減算することで算出することができます。

まずは、譲渡対象の病院やクリニックの総合的な価値を評価し、譲渡価格を算出。その譲渡価格から譲渡対象の病院やクリニックの純資産を引くことによって、のれん代を算出することができます。

■のれん代=譲渡価格ー譲渡対象の純資産(時価)

営業権の考え方と算出

営業権は、譲渡対象の病院・クリニックの純資産に価値を加算するという考え方をします。

■営業権+譲渡対象の純資産=譲渡価格

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のれん代の算出時に考慮すべき調整項目

のれん代の算出時に考慮される調整項目

営業利益をベースにのれん代を計算する場合でも、損益計算書にある営業利益をそのまま使うことはあまりなく、実際には以下の調整項目が考慮されるのが一般的です。

  • 調整項目①:交際費や大規模修繕費など、経常的な収入や費用
  • 調整項目②:病院やクリニック経営以外のプライベートに関する費用
  • 調整項目③:役員・家族への報酬

また、のれんの算出時には3~5年間の営業利益をもとに算出されるケースが多いです。
たとえ営業利益の金額が同じ病院やクリニックであっても、上記の調整項目を加味した結果、のれん代算出の基礎となる正常収益力が異なる場合があります。

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まとめ

医療版M&Aである医業承継で使われるのれんについて、おおよそのイメージをつかんでいただけたのではないでしょうか。

のれん代の算出にはさまざまな要素が絡み合ってくるため、専門的な知識や経験が必要とされます。

エムステージマネジメントソリューションズは医業承継専門。弊社のコンサルタントに無料相談いただければ、貴院ののれん代の算出もサポートさせていただきます。

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この記事の監修者

田中 宏典 <専門領域:医療経営>

株式会社エムステージマネジメントソリューションズ代表取締役。医療経営士1級。医業承継士。医療機器メーカー、楽天を経て株式会社エムステージ入社。医師紹介事業部の事業部長を経て現職。これまで、病院2件、診療所30件、介護施設2件の事業承継M&Aをサポートしてきた。エムステージグループ内のM&A戦略も推進している。

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