病院長と勤務医の年収|公立、医療法人など開設者別比較

最新情報 2022/01/20

2021(令和3)年11月末に厚生労働省から発表された、『第23回医療経済実態調査』*。
先日公開した以下のニュースでは2020(令和2)年の病院や診療所の経営面から数字を見ていきましたが、今回は病院や診療所で働く院長や医師の給与面に焦点を当てて調査しました。

一般病院の病院長の年収は、医療法人の3,110万957円(前年比1.7%減)がトップ

▼一般病院病院長の年収額の開設者別比較

※出典:厚生労働省『第23回医療経済実態調査』

2020(令和2)年の開設者別一般病院の病院長年収では、医療法人が3,110万957円と前年より1.7%減少ながら最も高く、次いで公的が2,241万2,669円(前年比1.0%減)、公立が2,153万5,517円(前年比2.8%減)、社会保険関係法人が1,962万6,330円(前年比0.5%減)、国立が1,876万2,235円(前年比0.8%減)の順でした(その他、法人その他は除く)。

開設者別の病院長年収格差は毎回の調査でも顕著ですが、今回もトップの医療法人と国立では約1,234万円もの差が見られました。

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一般病院の医師年収でも医療法人が最も高く、1,506万2,173円(前年比0.3%減)

▼一般病院の医師の年収額の開設者別比較

※出典:厚生労働省『第23回医療経済実態調査』

つづいて、2020(令和2)年の開設者別一般病院の医師年収を見ていきましょう。ここでも、その他を除き医療法人が最高額で、前年より0.3%減少ながら1,506万2,173円でした。次いで公立が1,472万6,005円(前年比2.4%減)、社会保険関係法人が1,427万6,248円(前年比1.2%増)、公的が1,384万1,103円(前年比0.2%減)、国立が1,323万9,799円(前年比1.6%減)となりました。

開設者別の年収格差は病院長よりは少ないものの医師でも見られ、最も高い医療法人と最も低い国立の差は約182万円でした。

一般診療所の病院長年収は、有床・無床合わせて医療法人が2,729万9,869円(前年比1.9%減)がトップ

▼一般診療所の病院長の年収額の開設者別比較

※出典:厚生労働省『第23回医療経済実態調査』

一方、一般診療所の年収ではどうだったのでしょうか。

開設者別一般診療所の病院長年収でも、入院診療収益有り(有床)・入院診療収益無し(無床)を合わせた中から、医療法人が2,729万9,869円と前年より1.9%減少しつつも最高額でした。

また、有床と無床の病院長年収を比較すると、有床は2,982万38円と前年より5.9%減少していたのに対し、無床は2,708万5,359円と前年より1.5%の減少に留まり、有床の方が金額は多かったもののより昨年のコロナ禍での影響を受けたと言えるでしょう。

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一般診療所の医師年収では、有床、無床の合計で医療法人が1,078万9,621円(前年比0.1%減)がトップ

▼一般診療所の医師年収額 の開設者別比較

※出典:厚生労働省『第23回医療経済実態調査』

一般診療所の医師年収でも、医療法人が有床・無床合わせて最も高かった(その他を除く)ものの、ここだけ前年より0.1%減少していました。

有床と無床で医師の年収も比較してみると、その他を除く個人が1,253万4,545円と最も高かったものの、前年比での減少幅も19.1%と最も高く2割近くとなっていました。

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ほぼ全ての医師の年収が、前年度に比べ減少

今回の『第23回医療実態調査』によると、病院や診療所に関わらず病院長を含めほぼ全ての医師の2020(令和2)年度の年収が減少していたことが分かります(社会保険関係法人の一般病院・個人経営の一般診療所に勤務する医師の年収のみ増加)*。

このようなことから、2021(令和3)年12月に日本医師会が診療報酬の増額を訴えていたのでしょう。

医師の年収面だけでなく医療機関の経営面を見ても、コロナ補助金を除く損益差額率は大きく悪化しており、コロナ補助金を含んだ損益差額率で見ても、一般病院ではほぼプラスマイナスゼロ、一般診療所では2019(令和元)年よりも縮小という厳しい結果*でした。

*厚生労働省『第23回医療実経済態調査』

2022年度診療報酬改定率は、本体はプラス0.43%ながら合計マイナス0.94%という厳しい結果に

いろいろな方面からの意見があった中、政府と厚生労働省は昨年末2022(令和4)年度の診療報酬改定の改定率を決定しました。結果は、診療報酬本体をプラス0.43%(国費+300億円程度)、薬価をマイナス1.35%(国費-1,600億円程度)、材料価格をマイナス0.02%(国費20億円程度)。

診療報酬本体の引き上げは2008(平成20)年度から8回連続ですが、診療報酬本体の0.43%から薬価や材料費等のマイナス1.37%を合わせると、合計はマイナス0.94%となりました。

また、診療報酬本体の0.43%の内訳は、看護職員の処遇改善のための特例的な対応がプラス0.20%、不妊治療の保険適用のための特例的な対応がプラス0.20%、リフィル処方箋の導入・活用促進による効率化がマイナス0.10%、小児の感染防止対策に係る加算措置(医科分)の期限到来がマイナス0.10%で、これら以外がプラス0.23%となっています***。

***厚生労働省『診療報酬改定について』

まとめ

それらを含めて考えると、確かに社会保障費の増加問題は日本社会において待ったなしの情勢ではあるのですが、今回の改定は医師の報酬からみるとは厳しいものであったと言えます。今後は、コロナなどの外部要因にも対応しながら、医師もより業務の生産性向上や医業承継を含めた経営効率化などを、今まで以上に考えていかなければなくなることでしょう。

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