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新専門医制度の「サブスペシャルティ領域」と研修方式

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新専門医制度のサブスペシャルティ領域と研修方式
新専門医制度のサブスペシャルティ領域と研修方式

新専門医制度は、医療の質向上と医師のキャリア形成を目的に2018年に導入されました。初期臨床研修後、医師は19の基本領域で専門医資格を取得し、その後3年かけて24のサブスペシャルティ領域の専門医資格を目指します。

制度の導入目的は、専門医の質を統一し、地域や診療科ごとの医師の偏在を解消するためです。新制度では、基本領域の検収と並行してサブスペシャルティ研修を行える連動研修がかのうで、サブスペシャルティは原則2領域まで取得可能です。

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新専門医制度の「サブスペシャルティ領域」

2018年4月より制定された新専門医制度は、医療の質向上や医師のキャリア形成支援を目的として作られた制度です。

初期臨床研修が終わった医師は、内科や小児科などの19領域(基本領域)の専攻医となり、3年間の研修後に専門医資格を取得します。

研修後より専門性を高めるために、24領域に及ぶサブスペシャルティ領域の専門医資格取得を目指していきます。取得には3年を要します。

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なぜ新専門医制度ができたのか

新専門医制度ができた理由は2つです

新専門医精度ができた理由1:専門医の格差を解消し医療品質の向上をはかる

従来の日本では学会ごとに専門医制度があり、学会が独自に筆記試験や口頭試問を行っていました。そのため学会ごとで試験内容が異なり、難易度もさまざまだったため、医師が持つ専門性や技量に差が生まれ始めたのです。

そこで専門医ごとの格差を解消し、患者さんに質の高い医療を提供するために作られたのが新専門医制度になります。

第三者機関である日本専門医機構が専門医の認定基準を定めることで、基準を満たした専門性や技量が必須になりました。新専門医制度ができたことで、専門性や技量にばらつきがなくなり、質が担保された医師の育成が可能になったのです。

新専門医精度ができた理由2:診療科や地域における医師の偏在をなくす

現在、日本の都市部では医師が多く、地方では医師が不足しています。

この医師不足を解消するために作られたのが新専門医制度です。

地域枠を設けて医師の研修プログラムを組んだり、診療科ごとで専攻医の募集人員を制限したりして、偏在対策がとられています。

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基本領域とサブスペシャルティ領域一覧

基本領域とサブスペシャルティ領域をまとめました。参考にしてみてください。

基本領域(19領域)※令和4年11月時点
内科
小児科
皮膚科
精神科
外科
整形外科
産婦人科
眼科
耳鼻咽喉科
泌尿器科
脳神経外科
放射線科
麻酔科
病理
臨床検査
救急科
形成外科
リハビリテーション科
総合診療
※参照:一般社団法人「日本専門医機構認定サブスペシャルティ領域一覧」
研修方式サブスペシャルティ領域(24領域)※令和4年11月時点
連動研修を行い得る領域(連動研修方式または通常研修方式)消化器内科
循環器内科
呼吸器内科
血液内科
内分泌代謝・糖尿病内科
脳神経内科
腎臓内科
膠原病・リウマチ内科
消化器外科
呼吸器外科
心臓血管外科
小児外科
乳腺外科
放射線診断
放射線治療
連動研修を行わない領域(通常研修方式)アレルギー
感染症
老年科
腫瘍内科
内分泌外科
少なくとも1つのサブスペ領域を修得した後に研修を行い得る領域(補完研修方式)肝臓内科
消化器内視鏡
内分泌代謝内科
糖尿病内科
※参照:一般社団法人「日本専門医機構認定サブスペシャルティ領域一覧」

サブスペシャルティ領域の専門医を取得するには

出典:厚生労働省「サブスペシャルティ領域の在り方に関するワーキンググループ報告書」

新専門医制度の「2階建て」構造では基本領域で3年研修を受け、基本領域専門医の資格をとらなければなりません。

基本領域専門医の資格取得後、3年の間、サブスペシャルティ領域の専門医資格取得に向けて専門知識を学んでいく必要があります。

また、取得した基本領域専門医資格に応じて選択できるサブスペシャルティ領域が異なります。

研修方式の違い

出典:厚生労働省「サブスペシャルティ領域の在り方に関するワーキンググループ報告書」

従来は基本領域で3年研修を受け、資格を取った後、サブスペシャルティ領域の資格取得に向けて研修が始まる流れが一般的でした。

一方で現在は「連動研修」により、基本領域の研修を受けながらサブスペシャルティ研修を連動して受けられる方式に変わっています。

この方式を採用することによって、短期間の資格取得が実現可能です。

また患者さんへの医療提供できる機会が増えるため、医療供給が手厚くできるようになります。

サブスペシャルティの取得は原則2領域まで

研修の質と領域の独立性を担保するために、サブスペシャルティの取得は原則2領域までとなっています。

主な取得条件は以下の通りです。

  • 関係するサブスペシャルティ領域専門研修カリキュラムにおいて共通部分が明確に存在すること
  • 関係するサブスペシャルティ領域と基本専門領域のすべてがその必要性を強く認識し、かつ協力して専門研修体制の構築とその管理を行うことに合意していること
  • 日本専門医機構が前記の必要性について、他の基本専門領域学会とサブスペシャルティ領域学会に諮問し、理解が得られること

※出典:サブスペシャルティ領域専門研修細則「5-2.複数のサブスペシャルティ領域の研修についての特例」

まとめ

今回は新専門医制度について解説しました。

新専門医制度は、医療の質向上や医師のキャリア形成支援を目的として作られた制度です。

新専門医制度では、基本領域で3年研修を受け、基本領域専門医の資格をとらなければなりません。その上で3年間、サブスペシャルティ領域の専門医資格取得に向けて専門知識を学んでいく必要があります。

現在は連動研修方式により、短期間の資格取得が実現可能です。

研修先をリサーチした上で、自身の目指す専門領域を決め、キャリアアップを図ってください。

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この記事の監修者

田中 宏典 <専門領域:医療経営>

株式会社エムステージマネジメントソリューションズ代表取締役。医療経営士1級。医業承継士。医療機器メーカー、楽天を経て株式会社エムステージ入社。医師紹介事業部の事業部長を経て現職。これまで、病院2件、診療所30件、介護施設2件の事業承継M&Aをサポートしてきた。エムステージグループ内のM&A戦略も推進している。

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