オンコール待機中の医師はどう過ごす?オンコールの実態と負担

医療経営・診療所経営 2023/03/27

勤務医として働いていると、オンコール勤務を経験することがあるでしょう。

「オンコール待機の際、どのような体制で過ごすべきかわからない」という方や「実際に経験して、ストレスや緊張が強いことに驚いた」という方もいるのではないでしょうか。

この記事では、オンコール待機中どの程度自由が許されるか、オンコール体制の抱える問題について解説します。

是非最後まで読んで、オンコール待機の負担を少なくする方法を考えてみませんか。

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勤務医の88%はオンコールがある

勤務医として働く医師のうち、オンコールを含む働き方をしている医師は88%にも及びます。

つまり、ほとんどの医師はオンコールを担当していることになります。

※参照:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査

オンコールとは、「勤務時間外の救急患者や緊急手術、入院患者の急変に対し、病院から電話連絡を受けた場合に、院外にいてもできるだけ早く病院に駆けつけられる体制で待機すること」です。

勤務する病院や診療科で設定している制度で、オンコールの頻度や、待機中にどの程度出勤を要するか、電話対応で済むのか、などは病院や医師により様々です。

しかしオンコール体制に共通する事項として、夜間・休日も電話で呼び出される可能性がある、電話に常に注意を払っておく必要があるなど時間的、距離的、精神的拘束があります。

オンコール待機中の医師はどこまで自由に過ごせるのか

オンコール待機は具体的にどのような体制でいるべきなのでしょうか。

オンコール待機中の休日や夜間、どの程度自由に過ごせるのかを解説します。

勤務先の規定を確認

医療機関により、オンコール待機のルールは異なります。

例えば「30分以内に病院に到着できること」や「病院から〇キロ以内に在住」などのルールが決められています。

勤務先の規定を予め確認しておくことが重要です。

すぐ勤務できる状態でいること

オンコール中に共通する条件として、すぐ勤務できる体制でいること、電話対応できる状態にしておくことがあげられます。

外出や外食は可能ですが、映画鑑賞や、長い時間を要する美容院やマッサージの施術などは電話対応が難しいため適さないといえるでしょう。

また、飲酒をすると呼び出された後処置を行うのが難しくなるため、避けたほうが良いでしょう。

入浴や睡眠中も電話を近くに置く、電波の通らない場所に行かないようにするといった細かい配慮が必要になります。

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「オンコール問題」とは

オンコール制度は直接的な法的基準のない特殊な制度です。

法的な後ろ盾のない中で、医療従事者が医療体制を支えてきた制度といえます。

しかし、現在オンコール制度はさまざまな問題を抱えているため、それらについて解説します。

オンコール待機中は労働時間にあたるのか

オンコール待機を「労働時間」と呼べるかについて、さまざまな見解があります。

先述したように、オンコール待機中、場所や時間、行動において制約と拘束があります。

一方、呼び出されなければ学会の準備や論文の執筆、読書や仮眠などに時間を当てることもできます。このような時間を「労働時間」と呼べるのでしょうか。

法律上、「労働時間」とは「使用者の指揮命令下にある時間」です。

そのため、オンコール待機も労働義務のない時間に勤務先の指示で拘束を受けているのであれば、労働時間にあたるという見方もできます。

しかし一方、法解釈では実際に呼び出しがなければ自由な時間の過ごし方ができるとみなされてしまう例が多くみられます。

2013年の「県立奈良病院時間外不当訴訟」は、医師の宿直・オンコール待機の勤務時間に対して残業代などが支払われるのかどうかが争われた裁判です。この裁判で、オンコールは病院が指示したのではなく、医師が自発的に当番を決めていたとして、オンコール体制を労働時間と認めませんでした。

このように、オンコール待機が労働時間にあたるかどうかは、いまだグレーゾーンと言えます。

オンコールによる身体的・精神的負担

独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」より作成

オンコール体制は、医師に大きな身体的・精神的負担を与えます。

例えば、2012年、独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」では、オンコール回数が増加するとともに「仕事後のやる気喪失」「仕事からの解放感のなさ」「ヒヤリ・ハット体験がある」に該当すると答えた医師が多くなりました。

特に、オンコールが月10回以上の医師では、それぞれの質問に「ほとんどそうである」と回答した割合が42.6%、40.9%、21.7%となっています。

自由時間であっても待機である限り業務から完全に解放されるわけではなく、心身ともに負担の大きいものであると推測できます。

オンコールの少ない職場は?

オンコールの負担を最小にするには、どのような職場がよいのでしょうか?

診療科や勤務先でオンコールの数は違うのでしょうか?

独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」をもとに、オンコールの少ない職場がどのような職場なのかについて、解説します。

内科や精神科

日直や宿直回数は診療科によって異なります。

内科や精神科は、平均でみると宿直が少ない傾向です。しかし、担当する医師の数でひとりあたりの宿直の回数は異なるため、病院によって条件が異なります。

勤務先のオンコールの実態を把握したいのであれば、予め条件を確認したほうがよいでしょう。

反対に、オンコールが多い診療科は「脳神経外科」、「産科婦人科」、「呼吸器科・消化器科・循環器科」でした。

病床数の少ない病院はオンコール数が少ない傾向

病床数の少ない病院ではオンコール数が少ない傾向でした。

一方、日直および宿直の回数でみると、「5回以上」と回答した医師が多かったのも病床数の少ない病院でした。

病床数100床未満の病院は、宿日直の回数が非常に多いか、ほとんどないかのどちらかに分かれる傾向にあります。

また、急性期病院であり救急指定病院の病院では日直宿直がある病院が多い結果でした。

※参照:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査

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負担が大きければオンコールのない環境への転職も

オンコール体制は負担が大きくなることも多いですが、診療科や勤務先によって避けて通れない制度です。

仕事にかかわる時間が長くなりすぎ、ストレスが強い時にはオンコールのない環境への転職も選択肢に入れてはいかがでしょうか。内科や精神科に転科したり、慢性期病院のうちオンコールや当直の少ない勤務先を選んだりすることができます。

開業や病院経営を仕事の主体とすることも、自分で裁量権を持つ働き方の一つです。オンコール制度で強いストレスを抱えている方は、検討してみてください。

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