管理医師とは?雇われ院長と開業医の違い
目次
管理医師は医療機関を管理する医師で、雇われ院長とも呼ばれ、初期投資なしで経験を積むことができます。しかし、行政上の管理責任を負い、中間管理職としての業務も多いです。開業医は自分の裁量で経営でき、定年がなく自由度が高い一方、多額の資金が必要で経営知識も求められます。開業医を目指す場合、管理医師経験は有益ですが、経営全体を学ぶわけではないため、メリット・デメリットを理解して選択することが重要です。
管理医師とは?
管理医師とは医療機関の管理をしている医師のことを指し、一般的には院長が管理医師を担います。雇われ院長という呼ばれ方もします。
管理医師は院長であったとしても、開業医とは働き方が大幅に異なります。開業医と比べて初期投資が不要で経営の経験ができる点が大きなメリットです。しかし、行政上の管理責任が発生するため経営破綻などの影響を受けます。
なお2026年4月以降に保険診療を行う医療機関の管理者(院長)になるには、次の2つの要件を満たす必要があります。
- 保険医であること
- 臨床研修の期間を含めて、病院または診療所で3年以上、保険診療などの業務に従事した経験があること
2026年4月1日の時点で臨床研修を終えていない先生は、臨床研修のあとに病院で3年以上、保険診療に従事した経験が必要です。2026年4月1日の時点で管理者を務めている先生は、同じ医療機関の管理者である限り、2029年3月31日まで続けられます。
出典:保険医療機関の管理者(院長)になるためには、要件を満たすことが必要になります|厚生労働省
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管理医師(雇われ院長)と開業医の違い

管理医師はあくまで雇われている立場です。勤務日はきっちり働き、決められた給与を支払われます。院長ではありますが、経営方針など経営者に従う必要があります。また、中間管理職としての業務も求められます。
対して開業医は自分の裁量で全てを決められますが、開業費用が高額である他経営能力も求められます。
| 項目 | 管理医師(雇われ院長) | 開業医 |
|---|---|---|
| 立場 | 雇われている | 自分で開業している |
| 収入 | 決められた給与 | クリニックの利益 |
| 開業費用 | 不要 | 自分で用意する |
| 経営方針 | 経営者の方針に従う | 自分で決める |
管理医師(雇われ院長)になるメリット
管理医師には次のメリットが挙げられます。
- 開業費用が不要で医院経営を学べる
- 勤務医より高い給与を得られる可能性が高い
開業費用が不要で医院経営を学べる
管理医師のメリットとして、開業費用が不要で経営の経験を積める点が挙げられます。自身で開業する場合、新規開業であれば7,000万前後、承継開業であれば3,000万程度の資金が必要です。

管理医師はこのような資金がなくとも院長として医院経営を学べます。医院経営に必要なスキルは医療行為だけではなく、集患やスタッフマネジメントなど多岐にわたります。いずれ開業を目標としている医師にとっては良い経験を積めるでしょう。
関連記事:医院継承の相場はどれくらい?コンサルタントが開業費用や譲渡価格について解説!
勤務医より高い給与を得られる可能性が高い
一般的に勤務医よりも、管理医師のほうが給与が高くなる可能性は高いです。管理医師の求人では年収1,500万~2,000万円程度が多く、勤務医の平均年収1,000万~1,500万円と比べると高いことがわかります。

厚生労働省の「第25回医療経済実態調査」では、勤務医の平均年収は診療所で1,099万円、一般病院で1,485万円でした。
管理医師(雇われ院長)のデメリット
管理医師には次のようなデメリットが挙げられます。
- 診療以外の負担が増える可能性がある
- 行政上の管理責任が発生する
- 人事権をはじめ権限がない要素がある
診療以外の負担が増える可能性がある
管理医師は中間管理職としての業務が勤務医よりも多くなります。雇用する側の方針にもよりますが、スタッフ採用や機器の導入なども任される場合、面接や業者との商談が業務に加わります。
行政上の管理責任が発生する
管理医師は安全管理体制確保義務や従業者監督義務といった行政上の管理責任が発生します。2026年4月からは、診療報酬の請求やカルテの管理に関する監督責任も院長が負うようになりました。
管理者が故意または重大な過失で責務を怠り、不正な診療報酬の請求などが行われた場合は、管理者本人の保険医の資格が取り消されることがあります。
出典:保険医療機関の管理者(院長)になるためには、要件を満たすことが必要になります|厚生労働省
人事権をはじめ権限がない要素がある
管理医師として勤めた医療機関の経営方針にもよりますが、人事権や経営などにおいて権限がない場合があります。裁量権をもって働きたいと考えている場合は雇用の前に経営方針をよく理解しておくことが必要です。
開業医のメリット
開業医には次の2点のメリットが挙げられます。
- 自分の裁量で経営ができる
- 定年がない
自分の裁量で経営ができる
管理医師は経営者の意向に合わせる必要がありますが、開業医は自分の裁量で経営ができる点が大きな特徴です。どのようなコンセプトのクリニックにして、どのような設備を導入し、どのような治療に力を入れていくのかなど、すべてを自身で決めることができます。
定年がない
開業医には定年がありません。自分の意思に合わせて年齢に関係なく医院運営を続けられます。診療時間や診療日も決められるため、自分の体力や貯蓄と相談をしながら運営を続けられる点が、開業医の大きなメリットです。
開業医のデメリット
開業医には次の2点のデメリットが挙げられます。
- 資金繰りが容易ではない
- 経営の知識が求められる
資金繰りが容易ではない
クリニックを開業するためには、医療器具やテナントの賃料などで多額の資金が必要になります。ほとんどは審査を受けて銀行から融資を受けて開業します。開業してまもなくは赤字であることがほとんどです。
関連記事:クリニックの開業資金はいくら必要?診療科目別でわかる費用や調達方法を紹介
経営の知識が求められる
開業をするためには、医療知識だけでなく経営の知識が求められます。事業計画を作成したり採用活動やホームページなどの運営、それらに関わる法律的な知識が必要です。税理士や行政書士を雇うケースが一般的ですが、ある程度は自身でも理解し頭にいれておく必要があるでしょう。
関連記事:開業医が失敗する理由と経営に必要な視点
管理医師と開業医の違いを理解して働き方を選ぶ
開業を考えている医師にとって、管理医師を経験すると診療以外に視野を広げる良い機会になりますが、経営のすべてを体験できるわけではありません。
管理医師として働くことにも自分で開業することにもメリット・デメリットがあります。それぞれ理解した上で納得のいく道を選ぶと良いでしょう。
クリニックや医院の開業であれば、0から構築していく「新規開業」ではなく、既存のクリニックや医院を引き継ぐ「承継開業」という方法もあります。
エムステージマネジメントソリューションズのコンサルタントは医療経営士の資格を保持しているため、経営に関するアドバイスなどのサポートも行います。また、「事業計画書の作成」や「資金調達コンサルティング及び金融機関等との融資交渉」なども開業支援の業務内なので、安心して依頼できるでしょう。
▶医院継承・医業承継(M&A)のご相談は、エムステージ医業承継サポートにお問い合わせください。
この記事の監修者

田中 宏典 <専門領域:医療経営>
株式会社エムステージマネジメントソリューションズ代表取締役。
医療経営士1級。医業承継士。
静岡県出身。幼少期をカリフォルニア州で過ごす。大学卒業後、医療機器メーカー、楽天を経て株式会社エムステージ入社。医師紹介事業部の事業部長を経て現職。
これまで、病院・診療所・介護施設等、累計70件以上の事業承継M&Aを支援。また、自社エムステージグループにおけるM&A戦略の推進にも従事している。
2025年3月にはプレジデント社より著書『“STORY”で学ぶ、M&A「医業承継」』を出版。医院承継の実務と現場知見をもとに、医療従事者・金融機関・支援機関等を対象とした講演・寄稿を多数行うとともに、ラジオ番組や各種メディアへの出演を通じた情報発信にも積極的に取り組んでいる。
医療機関の持続可能な経営と円滑な承継を支援する専門家として、幅広く活動している。
より詳しい実績は、メディア掲載・講演実績ページをご覧ください。
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本コラムは一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の取引や個別の状況に対する税務・法務・労務・行政手続き等の専門的なアドバイスを提供するものではありません。個別案件については必ず専門家にご相談ください。