社会的背景を踏まえた病院M&Aの動向【コンサルタント解説】

最新情報 2022/10/04

高齢化と2025年問題を背景に医師の引退が増え、特にコロナ禍の影響でその動きが加速しています。引退する医師の増加は後継者不足を招き、経済的な影響も大きいです。新規開業よりもリスクが少ない承継開業を希望する医師が増えており、第三者への承継が一般的になっています。オンライン診療の普及で集患競争が激化し、Webマーケティングが重要となる中、承継開業は売り上げが見込める点で人気です。

本記事では、最近の医業承継での売り手および買い手のニーズ、今ねらい目の案件などについて、株式会社エムステージマネジメントソリューションズ代表取締役である田中コンサルタントが解説します。

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高齢化を背景に、引退を考える医師が増加

▼世代別に見た高齢者人口の推移

出典:厚生労働省『今後の高齢化の進展 ~2025年の超高齢社会像~

「2025年問題」により、今後ますます医師の引退は増加すると考えられます。

上のグラフのように、2025年には約800万人の団塊世代が75歳以上の後期高齢者となります。日本は、国民の4人に1人が後期高齢者になる超高齢化社会を迎え、社会で生じるさまざまな影響のことを「2025年問題」といいます。

経済面で見てみると、医療機関を含む中小企業・小規模事業者のうち、70歳(平均引退年齢)を超える経営者は約245万人いるとされ、うち約半数の127万人の後継者が未定となっているのです。

このまま中小企業・小規模事業者の経営者が引退して廃業が急増すれば、2025年までの累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われるとの試算結果もあるほどです*。

このように団塊の世代が後期高齢者となりつつあり、医療機関でも経営が順調であるのにもかかわらず引退を考える院長が増えてきています。

*中小企業庁『中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題』

コロナ禍の受診控えによる医業収益の落ち込みも、引退の検討を後押ししています。

▼診療所の診療科別件数の前年同月比

※出典:経済産業省『経済解析室ひと言解説集 コロナ禍の影響を大きく受けた医療業;回復の動きにも差あり』

上のグラフのように、小児科や耳鼻いんこう科など受診要件に緊急性が比較的少ない科目を持つ診療所は、コロナ禍により外来患者数が大幅に減少しました。それに伴い医業収益も大幅に悪化し、引退を考える医師が増えています。

また、それ以外の科目であっても、いずれ承継をと考えていたような医師が、「自分も感染して死に至る可能性があるかもしれない」と感じ承継に取り組み始めた例も多く、コロナ禍は医師の引継ぎを加速させたと言えます。

オンライン診療を行う医療機関の増加により集患競争が激化し、マーケティングに疎いところは淘汰されるでしょう。

▼電話・オンライン診療に対応する医療機関数の推移

※出典:総務省『情報通信白書 令和3年度版 データで見るオンライン診療の状況』

上のグラフのように、オンライン診療を導入する医療機関は増加しています。これまでと診療圏が変わり、通院に1時間ほどかかるようなエリアであっても、良い医師であれば診て欲しいと考えるようになるでしょう。結果、今まで獲得できなかったような患者も獲得できる可能性もあります。

近隣在住でない新規患者の獲得には、WEB戦略が非常に重要になります。ホームページの作成はもちろん、リスティング広告の活用やSEO対策など、WEBマーケティングの知識を持ち、どんどん集患していける病院やクリニックが生き残るでしょう。

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医業承継(継承)という手法は、売り手も買い手もニーズが高まっている

後継者がいないため、「第三者に承継(継承)したい」という売り手が増えています。

近年、院長に医師の資格を持つ子どもがいなかったり、子どもが医師であっても自分のライフスタイルを優先し親の後を継がないようなケースが増加。そのため、承継相手は第三者(医業承継)である割合が高まっています。

新規開業よりも、リスクの少ない承継開業をしたいという買い手も増えています

新規開業よりも承継開業を考える医師が増えています。近年では医療機関の集患競争が激しくなり、自分で0から患者を集患しなければいけない新規開業よりも、患者を引継げる承継開業の方に人気が高まっています。

また、承継開業をご相談いただく医師の方の年齢に20代や30代が増え、以前より若くなっていると感じています。

すでに運営している病院やクリニックを引き継ぐので、承継開業した際の売上が算出しやすく、収支が赤字に陥るリスクが少ないです。さらに、自己資金も新規開業ほど準備する必要がありません。

都市部でのれん代なしに売るような案件は、買い手にとって狙い目

院長が高齢で引退したいため、売上が良いにもかかわらず安価で譲渡するケースも出てきています。

経営している病院やクリニックがかなり儲かっていても、「のれん代はいらないから自分の退職金ぐらいをもらえたら」と、比較的低価格で譲渡する方が一定数います。

首都圏など人口がある程度多い都市部で、のれん代を付けずに販売されているような案件は、買い手にとってかなり狙い目と言えるでしょう。開業コストがかなり抑えられます。

売り手に多様性が出てきて、セカンドキャリアに進むために譲渡する方もいます。

院長がまだ引退するほど高齢ではないのに、セカンドキャリアに進むために売却するような案件の場合には、なるべく高く売りたい意向が強いです。退職するとはいえ、院長はまだこの先の人生が長いため生活費もかかりますし、ある程度の資金を持って次の道に進みたいと考えているためです。

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まとめ

高齢化社会の到来により、引退を考える医師は増加しています。よって、今後はより一層、医業承継のニーズが拡大していくことが予想されます。

体調不良などで引退が必要になった際にいざ医業承継を始めようと思っても、譲渡成立までの時間に余裕がないと良い条件で交渉ができません。また、承継開業の場合も、勤務医を辞めてから案件を探そうと思っても、なかなかタイミングよく見つかるものではありません。

将来的に医業承継を考えていらっしゃる方は、まずは詳細な資料を確認してどのようなものかイメージしておくようにしましょう。

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