【中部×内科】人口急減地域に病院を残すため、認定医療法人制度を活用して承継を実現

【中部×内科】人口急減地域に病院を残すため、認定医療法人制度を活用して承継を実現
エリア 中部圏
診療科目 内科、整形外科、小児科等
運営組織 医療法人
譲渡理由 後継者不在
運営年数 50年

今回ご紹介するのは、人口急減地域で住民に愛される病院を残すため、認定医療法人制度を活用してM&Aを実現した中部圏の病院の承継事例です。

地域人口の急減、後継者不在、病棟の老朽化、そして多額の純資産など、典型的な承継課題を抱えた病院が、数度の失敗を経て最終的にM&Aを実現できた理由をご紹介します。

【売り手側】人口5万人の地方都市にある小規模病院で、365日働き続けてきた70代の2代目理事長

今回、第三者承継での引き継ぎを希望されたのは、中部地方某県の人口5万人ほどのM市に所在している医療法人DZ会・D病院です。

D病院は、内科、整形外科、小児科などの診療科目があり、医療療養病棟と介護療養病棟、あわせて70床を有する比較的小規模な病院です。在宅療養支援病院の指定も受けており、高齢化の著しいM市地域において、なくてはならない病院として地元住民に頼られていました。

医療法人DZ会のD理事長は、70代前半。25年ほど前に、D病院の開業者であり先代理事長でもあった父から理事長・院長の地位を承継しました。D理事長の自宅は病院の敷地内にあり、診療や入院患者の主治医としてはもちろん、自ら当直の任も引き受け、365日24時間、病院のために働いてきたスーパードクターです。

しかし、70歳を超えて、さすがに体力的な衰えを感じ始めてきたことから、近いうちの承継を考えるようになりました。

将来の市場縮小、病棟老朽化、後継者不在など、典型的な承継課題が山積

D病院には、現在、日本各地にある小~中規模の民間病院の多くが抱えている事業承継課題が山積しており、典型的な“承継課題事例”でした。

その課題の1つめは、地域人口の急減が進行していることです。

日本の人口減少は全国で均一に進んでいるわけではなく、今も人口が増えている都市部もあれば、全国平均より急速に人口が減っている地域もあります。M市は、まさにその人口急減地域でした。

地元に根付いて長く診療を続けてきたため、ご相談いただいた時点では、まだ医業収益は黒字でしたが、医療圏内での医療市場が確実に縮小する10年後を見据えると、かなり厳しい状況になりそうです。

また、病棟の老朽化問題もありました。2棟ある病棟のうち、先代時代に建てられた旧棟の老朽化が進んでおり、建て替えを視野に入れなければなりません。しかし、今後の市場縮小を考えると多額の資金を投じて立て替えをするべきか、判断が難しいところです。

さらに、後継者不在もありました。D理事長には、長男長女の2人の子がおり、2人とも医師です。しかし、長男は東京で別の医療法人としてクリニック経営をしています。また、長女は嫁ぎ先の実家が経営する病院で働いています。2人とも地元に戻る意思はありません。

このように、現理事長の子が医師でも、病院経営を引き継ぐことを忌避するケースは、近年増加しています。

そのため、D理事長はM&Aを活用した第三者承継に頼ることとしました。

【買い手側】グループ力を活かして、地域医療の存続を支援する医療経営グループ

医療法人DZ会・D病院を引き継いだのは、東京にあるPSグループでした。PSグループは、病院、診療所、介護施設の他、医療人材の紹介・派遣会社、給食会社、医療備品販売会社など、医療周辺事業も含めて、幅広く事業展開している医療関連企業グループです。

このように広く医業関連ビジネスを展開していることにより、そのグループ力で地域医療の存続を支えるというのが、PSグループの理念でした。 例えば、病院単体で見ると存続が厳しいような状況でも、その病院を支えるグループ内の周辺事業とあわせて総合的に見た収益で考えることにより、病院の存続可能性を探る、といった考えで、事業展開を進めています。

グループ力を活かした経営が可能か買い手の能力が、成約の決め手

今回のM&A成功のポイントは、このグループ力で地域医療を支えるというPSグループの理念があったことです。

というのも、実はPSグループが名乗りを上げる前、2つの医療法人が買い手候補として手を挙げてくれて、いずれもある程度の段階までは話が進んだのです。

しかし、詳細な経営内容と収益構造が確認された段階で、2法人とも、現在はいいけれど、10~20年先には、地域の医療市場縮小によって経営が厳しくなるという理由で、手を引いてしまったのです。

D病院単体として考えると、将来の収益性の見込みは厳しいというのが、客観的な評価でした。しかし、PSグループは、D病院単体ではなく、グループ全体の収益性という観点で、十分にD病院を存続させられるという判断により、譲り受けを引き受けてくれたのです。

もちろんその背景には、地域の人に愛され、無くなったら困る病院であるという、存在意義が評価されたこともありました。

出資持分放棄のスキーム構築と、スムーズな認定医療法人化の実行でM&Aを支える

もう1点、今回のM&Aでポイントとなったのは、持分なしの医療法人への移行計画認定による、認定医療法人化がスムーズに進められたこともあります。

DZ会は、出資持ち分の定めのある医療法人であり、出資者は、(医療法上の)社員であるD理事長と、配偶者、2人の子の4名でした。

貸借対照表の中身については、DZ会には、貸借対照表上の純資産が10億円程度計上されていましたが、現預金は4億円程度でした。病院の土地はD理事長個人の所有で、それを医療法人が借りて、医療法人が所有する建物を建てていました。

また、D理事長への役員退職金は、退職金規定により4億円程度と見込まれました。仮に医療法人の現預金をすべて退職金で支払っても、なお6億円の純資産が残ります。しかし、現預金はゼロとなってしまいます。理事長一族が持つ出資持分を純資産に見合う価額でPSグループが買い取ることも、出資者に時価で払い戻すことも、困難でした。

そこで出資額面額(D理事長一族4名合計で1億円)については、M&Aの対価として、DZ会の借入により払い戻すとともに、時価評価での増加分の価額(≒退職金支払い後の純利益6億円-額面分の払い戻し額1億円=5億円)については、認定医療法人に移行の上で、持分放棄をしてもらうスキームを、私たちからD理事長に提案しました。

なお、あわせてD理事長が持つ病院土地も、PSグループで買い取ることとしました。

この提案の了承が得られたのち、私たちと連携している認定医療法人の認定取得コンサルタントと連携して、短期間での認定を取得することができました。

このスキームの構築と、認定取得がスムーズに進んだことも、今回のM&A成立のポイントでした。

出資持分放棄をする場合は認定医療法人化がほぼ必須

念のため、出資持分放棄に際して、なぜ認定医療人化が必要なのかを、簡単に確認しておきます。

持ち分あり医療法人において、出資者が3名(A,B,C)いるとします。出資者Aが自分の持分を放棄すれば、他の出資者B、Cの持分割合がその分だけ増えます。この増えた分はB,Cが「贈与を受けた」とみなされて、贈与税の課税対象とされます。

では、本事例のケースのように、出資者全員が持ち分を放棄した場合はどうなるかといえば、本来は払い戻すはずだった持分が消滅したことで、医療法人が利益を得たと考えられ、医療法人に贈与税が課されるのです。

贈与税は本来、個人の受贈者を対象としており、法人に贈与税が課されることは原則的にはありません。しかし、このケースでは例外的に、法人を個人とみなして贈与税を課すという税法上の例外規定があります。

ところが、認定医療法人の認定を受けている医療法人は、一定の要件のもとで、この贈与税の納税が免除されるのです。 そこで、医療法人の出資者が出資持分放棄をおこなう場合は、その前に認定医療法人化をしておくことがほぼ必須とされているのです。

本事例のポイント

最後に、本事例のポイントをまとめておきます。

①典型的な承継課題を抱える医療機関でも、適切な相手が見つかれば承継可能

今回の売り手であるDZ会のように、複数の医業承継課題を抱えている中小規模病院は、日本各地に数多く存在しています。そういった医療法人、病院は、たとえ現在の収益はプラスでも、将来を見越しておこなわれる投資であるM&Aにおいては、成約のハードルが高くなることがあります。中には、何回か断られて、あきらめてしまっている理事長もいるかもしれません。

しかし、今回のPSグループのように、収益力がさほど強くないと思われる病院でも、譲り受けて経営できる能力を持つ買い手は、必ず存在します。

②地域に求められる誠実な医療提供をおこなっていることこそ、もっとも大切

ただし、どんな病院でも必ず譲り受け手が表れるともいえません。今回のD病院の譲渡が成功したのも、地域に求められる誠実な医療提供をおこなっている病院だと、買い手に評価されたためです。経営数字の内容もさることながら、医療提供者としての本義を果たしていることは、M&Aにおいても、なにより大切なポイントとなることは、いうまでもありません。

②出資持分が、M&Aの障害となることもある点に注意

出資持分のある医療法人において、出資者(通常、医療法上の社員)が持つ出資持分は、財産権を表すものであり、譲渡の際にも価値を持ちます。しかし、医療法人の貸借対照表上の純資産に対して、現預金が少ない場合などは、その価値の大半が、実際の現預金と対応していない、いわば「書類の上だけのもの」ともなりかねません。そうすると、医療法人を譲り受ける側から見ると、多額の出資持分の価値が、譲り受けの障害となってきます。他方、出資持分を放棄しようとすると、今度は課税上の問題が生じます。

そこで、医業承継を意識しはじめたら、早期に出資持分の定めのない医療法人(その移行形態としての認定医療法人)に移行しておくことも、検討に値します。

※案件情報の秘匿のため一部改編しています

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