医療経営士1級~3級の取得難易度と勉強方法
目次
医療経営士とは、病院やクリニックの経営に必要な医療と経営の知識を持ち、経営の課題を解決できる人材として認められる資格です。一般社団法人「日本医療経営実践協会」の試験に合格する必要があり、2026年6月の試験では3級の合格率が45.7%だったのに対し、2級は18.2%でした。
医療経営士の試験は、難易度が違えば必要な勉強量や対策も変わります。
そこで本記事では級ごとの合格率と受験資格、試験の形式、テキストの費用をまとめました。
医療経営士とは
医療経営士とは、医療機関の経営に必要とされる次の4資源を融合させることによって、経営課題を解決をすることをはじめとして実践的な経営能力をもった人材のことです。
- 人的資源
- 物的・サービス資源
- 財務的資源
- 知的・情報資源
履歴書に書く正式名称
医療経営士資格認定試験に合格した場合、例えば3級であれば「医療経営士資格認定試験3級」と記載します。
医療経営士の取得難易度
医療経営士の合格率は、級によって大きく異なります。直近3回の合格率は次のとおりです。
| 級 | 3回前 | 2回前 | 直近 |
|---|---|---|---|
| 3級 | 40.1%(第46回) | 49.4%(第47回) | 45.7%(第48回・2026年6月) |
| 2級 | 18.5%(第29回) | 18.7%(第30回) | 18.2%(第31回・2026年6月) |
| 1級 | 35.6%(第11回)一次44.4%・二次80.0% | 34.7%(第12回)一次44.9%・二次77.3% | 32.7%(第13回・2025年)一次45.5%・二次72.0% |
※1級は、一次試験の受験者のうち二次試験まで合格した人の割合です。
出典:3級受験者数の推移|日本医療経営実践協会 /2級受験者数の推移|日本医療経営実践協会 / 1級受験者数の推移|日本医療経営実践協会

3級の合格基準は、公式が6割程度と発表しています。医療の知識がない人でも教材を理解する程度で合格できる水準です。
2級は第29回(2025年6月)から、合格率が18%台に下がっています。試験は第1分野と第2分野の両方に合格する必要があり、病院会計や病院ファイナンスなど、企業経営で使う財務の知識まで問われます。合格基準は公表されていません。
1級は一次試験と二次試験があります。二次試験は口頭試問と個人面接で、合わせて20分です。第13回では一次試験を55名が受け、二次試験まで合格したのは18名でした。
医療経営士の資格を取得するメリット
医療経営士の資格を取ると一般社団法人「日本医療経営実践協会」の会員として登録できて、次のメリットがあります。
- 業務改善、リスクマネジメント、地域連携、DPCなど、テーマごとの研究会や勉強会に参加できる
- 協会が推薦するテキストを割引価格で購入できる
また2級の受験には会員登録が必要です。会員登録の流れは3級に合格したあと、合格証明書の交付日から6か月以内に入会・登録の手続きをします。この期限を過ぎると、登録の資格そのものが失われるので注意してください。
受験資格
受験資格は級ごとに決まっています。下の級から順に取る仕組みです。
| 級 | 受験資格 |
|---|---|
| 3級 | 年齢・学歴・国籍による制限なし |
| 2級 | 3級に合格し、個人正会員または法人正会員として登録していること |
| 1級 | 2級に合格し、2級正会員として登録していること |

1級は、2017年の第5回試験から資格認定審査が廃止され、医療機関での勤務経験が問われなくなりました。医療機関に勤めていない先生でも、2級まで取れば挑戦できます。
医療経営士の試験概要
医療経営士の試験概要は次のようになります。
試験方式
3級
出題形式は 五肢択一、マークシート記入が50問出題され、制限時間は80分です。
2級
2級は第1分野と第2分野があります。いずれも出題形式は五肢択一、マークシート記入であり、制限時間は80分です。そのため、両方受験する場合は160分となります。
1級
1級は第一次試験と第二次試験に分かれ、それぞれ別の日に行われます。第二次試験を受けられるのは、第一次試験の合格者だけです。第一次試験は筆記で、短文記述形式と論文記述形式の2部構成です。同じ日の午前に短文記述を10題・90分、午後に論文記述を2題・90分で解きます。
1次試験だけで合計180分かかる計算です。第二次試験は面接で、口頭試問(プレゼンテーション形式)と個人面接を合わせて20分です。
スケジュール
年間の実施回数は3級が3回、2級が2回、1級が1回です。1級だけ一次試験と二次試験に分かれ、一次が9月、二次が12月に行われます。
3級は、年3回のうち2月の回がIBTで実施されます。IBTとは、自宅などのパソコンから受ける試験です。会場へ行く必要がない代わりに、カメラ付きのパソコンとインターネット回線が要ります。
| 項目 | 会場試験 | IBT |
|---|---|---|
| 実施時期 | 6月・10月 | 2月 |
| 試験時間 | 80分 | 70分 |
| 出題問数 | 50問(五肢択一) | 50問(五肢択一) |
| 受験場所 | 指定の試験会場 | 自宅等のパソコン |
※IBTはカメラの接続が必須です。試験中は監視されるため、テキストを見ながらの受験は失格になります。
出典:第47回「医療経営士3級」(IBT)資格認定試験 受験申込ガイド|日本医療経営実践協会
日程は毎年変わるため、公式サイトの年間スケジュールで確認してください。
受験料
受験料は1級、2級(受験内容により異なる)、3級とそれぞれの級において異なります。
| 1級 | 50,000円(税込・払込手数料別途) | |
| 2級 | 分野受験 | 14,000円(税込・手数料別途) |
| 2級 | 両分野受験 | 16,000円(税込・手数料別途) |
| 3級 | 9,100円(税込・手数料・システム利用料別途) |
試験内容
試験は1〜3級によってそれぞれ異なります。3級は医療従事者や医療関連の企業に勤務している人やそれらを目指す学生、2級は医療関連においての中間管理職、1級は理事長や院長などの経営幹部が主な対象です。
医療経営士3級の試験内容
医療経営や医療に関する次のような基礎知識が求められます。
- 医療法規
- 医療行政
- 医療機関の構造
- 医療関連産業論
- 患者サービス論
- 倫理
主に医療分野の就職を目指している学生や一般の方が対象です。
主な出題科目は次の内容です。
1. 医療経営史
2. 日本の医療政策と地域医療システム
3. 日本の医療関連法規
4. 病院の仕組み/各種団体、学会の成り立ち
5. 診療科目の歴史と医療技術の進歩
6. 日本の医療関連サービス
7. 患者と医療サービス
8. 医療倫理と臨床倫理
9. 医療に関する最近の動向/時事
医療経営士2級の試験内容
医療経営に関連する課題解決能力や専門知識が求められます。中間管理職が必要とする医療経営知識や課題解決能力が合格には求められます。対象となるのは医療機関においての管理職者やコンサルタント、医療機器メーカーなどの管理職者、研究者などです。
出題範囲は第1分野と第2分野によって異なります。いずれかを合格した場合は分野合格として2年有効で、両分野合格してはじめて2級合格となり医療経営士2級として認定登録されます。
第1分野
1.医療経営概論
2.経営理念・ビジョン/経営戦略
3.医療マーケティングと地域医療
4.医療ICTシステム
5.組織管理/組織改革
6.人的資源管理
7.事務管理/物品管理
8.病院会計
9.病院ファイナンス
10.医療法務/医療の安全管理
11.医療に関する最近の動向/時事
第2分野
1.診療報酬制度と医業収益
2.広報・広告/ブランディング/マーケティング
3.管理会計
4.医療・介護の連携
5.経営手法の新戦略
6.多職種連携
7.業務改革・改善
8.チーム医療と現場力
9.医療サービスの多様化と実践
10.医療に関する最近の動向/時事
医療経営士1級の試験内容
医療経営に関して、高度な専門知識や能力、実践力などについて学ぶ必要があります。病院長や理事長に対して、意識決定をサポートできる能力が求められます。そのため、対象者となるのは理事長や院長、経営幹部候補者などです。
第一次試験の出題形式は記述式となっており、病院の経営戦略に関する論文とそのほかに次の議題について短文記述形式で回答します。
- 病院経営戦略論Ⅰ
- 病院経営戦略論Ⅱ
- 病院経営戦略論Ⅲ
試験対策方法
いずれの級も日本医療経営実践協会が推薦している「医療経営士テキストシリーズ」を使った対策がおすすめです。全国の書店か日本医療企画オンラインショップで購入できます。
テキストは級ごとにシリーズが分かれていて、費用は次のとおりです。
| 級 | シリーズ | 巻数 | 1巻あたり | セット合計 |
|---|---|---|---|---|
| 3級 | 初級 | 8巻 | 2,750円 | 22,000円 |
| 2級 | 中級 | 19巻 | 3,080円 | 58,520円 |
| 1級 | 上級 | 13巻 | 3,300円 | 42,900円 |
※いずれも税込価格です。
協会の正会員になると、このテキストを割引価格で購入できます。申し込みには14桁の認定登録番号が必要です。番号を書かずに注文すると定価での販売になるため、注文書に必ず記入しましょう。
テキストのほかに、医療経営士実践テキストシリーズの予想問題集やQ&Aもあります。
まとめ
医療経営士は、病院やクリニックの経営に必要な知識を持っていることを示す資格です。3級は教材を読み込めば合格を目指せますが、2級になると病院会計などの財務の知識も問われるようになり合格率は2割を下回ります。
医療経営士の試験で問われる診療報酬や医療法規、病院会計の知識は、日々の医院経営だけでなく、医院を引き継ぐ場面でも欠かせません。医院の価値を見積もり、承継の条件を話し合うには、医療と経営の両方がわかる相手に相談することが大切です。
私たちエムステージマネジメントソリューションズでは、社員全員が医療経営士資格(1級〜3級)を取得しています。(2026年3月時点)医療経営の知識をもとに医院継承をサポートしていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
医療経営士の活用事例として紹介されました
当社代表の田中宏典(医療経営士1級・医業承継士)は、一般社団法人 日本医療経営実践協会の「医療経営士 活用事例」に掲載されています。
掲載記事では、医業承継支援の現場で医療経営士の知識をどのように活かしているかを紹介しています。医療制度や診療報酬、地域医療、医院経営などを踏まえた実践的な支援の考え方や専門知識を活かした支援を行っている取り組みについてご紹介いただいています。
▼▽▼日本医療経営実践協会「活用事例」
医療のバトンをつなぐ支援に、「医療経営士」の学びを活かす
この記事の監修者

田中 宏典 <専門領域:医療経営>
株式会社エムステージマネジメントソリューションズ代表取締役。
医療経営士1級。医業承継士。
静岡県出身。幼少期をカリフォルニア州で過ごす。大学卒業後、医療機器メーカー、楽天を経て株式会社エムステージ入社。医師紹介事業部の事業部長を経て現職。
これまで、病院・診療所・介護施設等、累計70件以上の事業承継M&Aを支援。また、自社エムステージグループにおけるM&A戦略の推進にも従事している。
2025年3月にはプレジデント社より著書『“STORY”で学ぶ、M&A「医業承継」』を出版。医院承継の実務と現場知見をもとに、医療従事者・金融機関・支援機関等を対象とした講演・寄稿を多数行うとともに、ラジオ番組や各種メディアへの出演を通じた情報発信にも積極的に取り組んでいる。
医療機関の持続可能な経営と円滑な承継を支援する専門家として、幅広く活動している。
より詳しい実績は、メディア掲載・講演実績ページをご覧ください。
【免責事項】
本コラムは一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の取引や個別の状況に対する税務・法務・労務・行政手続き等の専門的なアドバイスを提供するものではありません。個別案件については必ず専門家にご相談ください。