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診療所の開業相談できる機関まとめ!後悔や失敗しないコツも紹介

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診療所の開業相談できる機関まとめ!後悔や失敗しないコツも紹介
診療所の開業相談できる機関まとめ!後悔や失敗しないコツも紹介

診療所の開業は施設の準備だけでなく、行政への手続きや人材採用など多岐にわたる業務が必要です。

開業に関する手続きだけでも要項が複雑なため、相談先を探している医師の方も多いでしょう。

本記事では診療所の開業相談ができる主な機関を紹介するとともに、後悔や失敗を防ぐためのポイントもご説明します。

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診療所の開業相談ができる主な機関

診療所の開業に関する相談ができる、主な機関を5つ紹介します。

  • 医師会
  • 金融機関
  • 開業支援サービス
  • 医院開業コンサルタント
  • 医院継承専門の会社

診療所の開業を成功させるには、専門家によるサポートが欠かせません。

それぞれの機関で専門分野や特徴が異なるため、自身の開業に合った相談先を選びましょう。

医師会

各都道府県にある医師会なら、地域独自の規制や医療ニーズについて詳しくアドバイスすることが可能です。

開業場所の選定や行政手続きの進め方はもちろんのこと、税務関係についても提携事務所に相談できます。

特に診療所の開業に関する手続きは、地域によって異なる部分があるため注意しなければなりませんが、各地域に根付いた医師会なら、適切な手続きの方法や開業に関するサポートが受けられるでしょう。

金融機関

銀行などの金融機関は、融資だけでなく経営面においても開業相談が可能です。

特にメガバンクや地方銀行などの場合は医療機関のサポートを専門とした部署もあり、診療所の開業に関するさまざまなサポートを提供しています。

具体的には以下のようなサービスが受けられます。

  • 開業資金の融資相談
  • 事業計画の策定支援
  • 医療機器メーカーの紹介
  • 開業候補地域の市場調査

銀行によっては、医院継承による開業のサポートを行っているところもあります。

銀行は融資がメインの商材であるため、地域医療のリアルな収益モデルや医療需要など、より具体的なデータからサポートをしてもらえるでしょう。

開業支援サービス

クリニックを専門とした開業支援サービスは、開業準備から開業後まで一貫したサポートを提供する民間のサービスです。

主に、以下のようなサポートが行われます。

  • 事業計画書の作成支援
  • 医療機器や内装工事の選定や導入のアドバイス
  • 人材採用や教育研修のサポート
  • 広報活動や集患のためのマーケティング支援
  • 行政手続きのサポート
  • 開業後の経営コンサルティング

ドラッグストアと提携していたり、医療モールでの開業支援に特化していたりと、提供している企業によってサービス内容はさまざまです。

開業支援サービスを検討する際には複数社で比較をして、自身のニーズに合ったものを利用しましょう。

医院開業コンサルタント

医院開業のコンサルタントは、理想の開業に向けて全面的にサポートを行う専門家です。

主に、以下のようなサポートが行われます。

  • 事業計画の立案
  • 開業エリアの選定
  • 融資交渉のサポート
  • 地域の競合調査などの分析
  • 開業コンセプトの策定支援
  • スタッフの採用や育成のサポート
  • 集患なども含めた開業後の経営コンサルティング

開業支援サービスと似ている部分があるものの、サポートの方法に違いがあります。

開業支援サービスの場合は、ドラッグストアーやデベロッパーなどの特定の企業が提供しているケースがほとんどです。そのため、提供するサービスは提携企業の商品やサービスなどが多く、提供するサービス内容もパッケージ化されている傾向にあります。

一方で医院開業コンサルタントの場合は、相談内容によって費用やサービス内容を柔軟に設定できます。

それぞれのコンサルタント企業が持っているネットワークの中から、相談者の要望に応じて最適なサポートを行える点が大きな特徴です。

医院継承(医業承継)専門の会社

近年、診療所の開業相談先として需要が高まっているのは、医院継承を専門とした会社です。

医院継承の需要が高まっている背景には、医師の高齢化と後継者不足による売り手需要が高まっていることも大きくあります。

買い手にとっても、新規開業に比べてさまざまなメリットがあるのです。

  • 地域医療の維持に貢献できる
  • すでに集患できている状態での開業のため、開業直後の経営も安定している
  • 完成している診療所を引き継ぐため、新規開業に比べて初期費用を抑えられる

医院継承を専門とした会社に相談すれば、以下のようなサポートが行われます。

  • 売り手と買い手の要望に合ったマッチングの提供
  • 売り手の資産評価や経営状態の分析
  • 譲渡価格の交渉サポート
  • 継承開業に関する契約手続きのサポート
  • 継承後の経営に関するサポート

医院継承による開業を検討する際には、より自身の希望に合った診療所を見つけるためにも、ネットワークや実績が豊富な会社に相談することをおすすめします。

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【希望別】診療所の開業相談先の選び方

診療所の開業方法は新規で開業するだけでなく、既存の診療所を引き継ぐ「医院継承」による開業方法もあります。

たとえば理想の診療所を完成することが最優先の場合と、安定した経営が最優先の場合でも、最適な相談先は異なるのです。

ここでは、それぞれの最適な相談先を紹介します。

自分の理想を実現できる開業が希望

自分の理想とする診療所の完成が最優先の場合には、医院開業コンサルタントへの相談がおすすめです。

医院開業コンサルタントなら、医師の理想を実現するために必要なサポートをしてくれるのはもちろんのこと「どのようなコンセプトで開業すれば良いのかわからない」といった場合でも、これまでの実績から最適な提案を行ってくれます。

特に、下記のような方におすすめです。

  • 自分のビジョンに沿った医療を提供したい
  • 独自性のある診療スタイルを作り上げたい
  • 最新の医療設備を導入したい
  • 開業エリアにこだわりがある

医院開業コンサルタントに相談をすれば、医師の要望に対して中立的な立場からさまざまなサポートを行ってくれます。

コストを抑えて開業後の安定した集患が希望

開業時の初期費用を抑えつつ、開業後も安定した診療をスタートしたい場合には、医院継承(医業承継)専門の会社に相談することがおすすめです。

医院継承は新規開業に比べて費用が抑えられる以外にも、開業後の不安が軽減されるのも魅力です。主な医院継承のメリットとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 新規開業に比べて設備投資を抑えられる
  • すでに集患できている診療所を引き継げる
  • 地域での信頼関係も構築されている
  • 経験豊富なスタッフをそのまま継続雇用できる

新規開業の場合、初期費用が当初の予定よりも高額になってしまうことも少なくありません。開業後の運営資金が不足し、集患もうまくいかずに失敗してしまうケースもあります。

しかし、医院継承であれば、すでに何年も経営されている診療所を引き継ぐため、このような不安は軽減されます。

開業後の不安が大きい場合、新規開業だけではなく医院継承も視野に入れると良いでしょう。

医院継承による開業を成功するには、医療業界を専門としているM&A仲介業者のサポートを受けることも大切です。

エムステージマネジメントソリューションズでは医療機関のM&Aに特化した専門チームが、診療所の開業に向けてサポートいたします。

【私たちはこのようなサポートを行います】

  • 先生の希望条件に合った優良医院の紹介
  • 譲渡価格の適正評価と交渉サポート
  • 患者数や収益性など経営状況の詳細な分析と資料提供
  • 継承後の経営支援

まずは無料相談で、開業に関するご要望やご不安な点をお聞かせください。

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診療所を開設するには施設基準を満たす必要がある

診療所を開設する際は、安全で質の高い医療を提供するために、厚生労働大臣が定める施設基準を満たさなければなりません。

一部の保険診療では、施設基準を満たすことで初めて保険点数を算定できたり加算されたりします。

たとえば診療時間外にも対応できる体制が整っている場合には「時間外対応加算」が算定できます。ただし、時間外でも常時対応できる体制が、施設基準を満たしていなければなりません。

施設基準は診療科目によっても内容が異なりますので、自身が開業予定の診療所ではどのような施設基準を満たす必要があるのか、専門家に相談がおすすめです。

診療所の開設時に必要な手続きや届出

診療所を個人で開業する場合と医療法人を立ち上げて開業する場合には、それぞれ必要な手続きが異なります。

ここでは個人と医療法人の、おおまかな開業の手続きを紹介します。

なお、地域によっても手続きが異なる部分もあるため、あらかじめ開業予定の保健所にて確認も行ってください。

個人での開業の場合

個人で診療所を開業する場合に、主に必要となる届出書類や提出先は以下のとおりです。

1.保健所への届出診療所開設届エックス線装置備付届(レントゲン等を使用する場合)麻薬施用者免許申請書・麻薬管理者免許申請書(麻薬を使用する場合)
2.地方厚生局への手続き保険医療機関指定申請保険医登録申請
3.税務署への届出事業開始届青色申告承認申請書(青色申告を選択する場合)減価償却資産の償却方法の届出書
4.労働基準監督署への手続き雇用保険・労働保険の加入手続き労災保険指定医療機関指定申請
5.年金事務所での手続き従業員の社会保険加入手続き(スタッフを5人以上雇用する場合)

※提出書類や届出は一例です。

まずは保健所に届出を行い、そのあと地方厚生局や税務署などの手続きを行う必要があります。

ほかにも防火・防災管理者が必要だったり、地域によっては追加の届出が必要な場合もあります。

あらかじめ開業予定の保健所などで、必要な届出を確認しておくことがおすすめです。

医療法人での開業の場合

医療法人を立ち上げて診療所を開業する場合には、個人での開業手続きに加えて以下のような手続きも必要になります。

1.都道府県への手続き医療法人設立認可申請法人設立に関する各種届出
2.法務局での手続き法人設立登記
3.保健所への届出診療所開設許可申請書
4.税務署への届出法人設立届出書法人税の申告書・届出書

医療法人の場合は「医療法人の設立」に関する届出が完了してから「診療所の開業」の手続きを行います。

医療法人の設立に関する手続きの期限は各都道府県によって異なり、年2〜3回ほどの期間でしか行われません。

また、申し込みから審査、医療法人の設立認可が出るまでに、6か月ほどかかる場合もあります。

申し込みが遅れると開業のスケジュールも大幅な変更が必要になってしまうため、医療法人を立ち上げて診療所を開業する場合には、手続きのスケジュール管理が重要です。

診療所の開業で後悔や失敗しないためのポイント

診療所の開業で失敗しないためにも、開業前からさまざまな準備をする必要があります。

  • 届出や手続きのスケジュールを把握しておく
  • 地域の特色や競合などの調査を徹底する
  • 集患対策を行う
  • 開業後の十分な運転資金を確保しておく
  • 医療スタッフの教育を徹底する

開業後に「もっと早く知っておけばよかった」と後悔しないように、それぞれしっかりとチェックしておきましょう。

届出や手続きのスケジュールを把握しておく

診療所の開業に向けたさまざまな手続きには、それぞれ順番や提出期限などがあり複雑です。

期限が過ぎてしまうと開業までのスケジュールにも影響の出る可能性があるため、あらかじめ必要な手続きをスケジュール管理しておきましょう。

たとえば診療所の開業で必要な「開設届」は、診療所の開業後10日以内に届け出れば問題ありません。

臨床研修等修了医師、臨床研修等修了歯科医師又は助産師が診療所又は助産所を開設したときは、開設後10日以内に、診療所又は助産所の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。

出典:法令リード|医療法 第8条

しかし保険診療を行う場合には、開業後の提出では遅いため要注意です。

保険診療を行う場合には別途、厚生局に「保険医療機関指定申請」の提出が必要になり、これは「開設届」が受理された後ではないと提出できません。

さらに「保険医療機関指定申請」の提出期限は、都道府県によって各月10日〜20日に決められており、提出した翌月1日付けで保険医療機関の指定を受けます。

つまり保険診療を行う場合には、余裕を持って開業の2か月前までには開設届を提出する必要があります。

開業予定の地域や診療科目によっても異なる手続きがあるため、詳しくは保健所などに相談をしながら余裕を持った手続きのスケジュールを心がけましょう。

地域の特色や競合などの調査を徹底する

診療所が成功するかどうかは、開業場所で決まるといっても過言ではありません。

たとえば「慣れ親しんだ地元の医療に貢献したい」という理由も素晴らしいものですが、それだけでは集患できずに失敗してしまう可能性もあります。

診療圏の人口動態や交通アクセス、開業予定の診療科目に対するニーズはもちろんのこと、同エリアの競合の調査が欠かせません。

マーケティングには専門的な知識も重要なため、開業エリアの検討は専門家に相談をしながら行うのがおすすめです。

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集患対策を行う

開業予定の立地が良かったとしても、集患方法をしっかりと練っていないと患者は来てくれません。

開業予定の地域性や診療科目によっても、最適な集患方法は異なります。

ホームページをはじめ、インターネット広告やSNSなどといったデジタル媒体による集患方法が有効的な場合もあれば、地方の開業では町内会や自治会の参加、チラシのポスティングなどのほうが効果的な場合もあります。

どうしても開業前は手続きに追われてしまいがちですが、同時並行で集患対策も忘れないことが重要です。

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開業後の十分な運転資金を確保しておく

診療所開業後の運転資金不足は、多くの開業医が経験する要因です。

特に新規開業の場合は集患対策をしっかりしたとしても、開業直後から順調に患者が来院するとは限りません。開業後の人件費や経費などの持続的な支出に備えて、6か月から1年程度の運転資金の確保が必要です。

また、すでにある程度集患できていて、開業後の安定した経営が望める医院継承も検討してみると良いでしょう。

医療スタッフの教育を徹底する

医療スタッフの対応によっては診療所の評判を大きく下げてしまうため、開業までのスタッフ教育が重要です。

たとえば受付スタッフの不適切な対応によって患者が不快に感じたり、最悪の場合トラブルに発展するケースも少なくありません。

しっかりとした接遇マナーのマニュアルを作成し、開業前から十分に研修期間を設けるなどの対策が必要です。さらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

クリニックが成功するスタッフ教育とは?「やってはいけないこと」や重要なポイントを解説

診療所の開業相談でよくある質問

診療所の開業に関する手続きは非常に複雑で、多くの医師が悩まされます。

ここでは医師の方からよく聞かれる、開業に関する下記の質問に対して回答していきます。

  • 診療所を開設するにはどんな資格が必要ですか?
  • 診療所を開設するには誰の許可が必要ですか?
  • 診療所の開設許可はどこに出せばいいですか?

診療所を開設するにはどんな資格が必要ですか?

診療所の開設に必要な資格は、基本的に「医師免許」のみです。

ただし、医療モールなどのビル内のテナントや戸建ての収容人数によっては「防火管理者」の資格も必要になります。

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診療所を開設するには誰の許可が必要ですか?

医療法人として診療所を開設する際には、開設する地域の都道府県知事の許可を受けなければなりません。

これは医療法第7条によって定められています。

病院を開設しようとするとき、医師法第16条の6第1項の規定による登録を受けた者及び歯科医師法第16条の4第1項の規定による登録を受けた者でない者が診療所を開設しようとするとき、又は助産師でない者が助産所を開設しようとするときは、開設地の都道府県知事の許可を受けなければならない。

出典:法令リード|医療法 第7条 (括弧書きは省略)

上記を要約すると、臨床研修を修了した医師または歯科医師「ではない者」が診療所を開設しようとするときは、開設地の都道府県の許可を受けなければならないとされているので、医療法人は都道府県知事の許可が必要です。

一方で、個人の医師の場合には許可自体は必要なく、開設届のみで開設ができます。

診療所の開設許可はどこに出せばいいですか?

医療法人が診療所を開設する際に必要な開設許可の申請は、開設予定地を管轄している保健所に提出します。

また、開設許可を受けたあと、今度は保健所に「開設届」の届出も必要です。

開設届は医療法によって診療所の開業後10日以内の届出が定められていますが、実際には開業予定日よりも数か月前には申請を済ませます。

そのため医療法人が診療所を開設する際には、余裕をもって開設許可の申請をすることが大切です。

個人の医師が開設する場合には、開設届の届出のみ行います。

専門家に相談しながら診療所の開業を成功させましょう

診療所の開業ではさまざまな届出や手続きが必要となり、その一つでも抜け落ちると開業後の運営に大きな支障をきたす可能性があります。

開設届から保険医療機関指定申請、各種機関への届出など、それぞれに定められた期限や要件があり、これらを適切に管理することは容易ではありません。

開業に関する手続きは地域によっても異なるため、事前に管轄の保健所に相談し、必要な手続きを確認することが重要です。

また、診療所の開業を成功させるには、開業予定地のマーケティングや集患対策なども重要な要素です。

一人ですべてを行うのは困難なため、専門家に相談をしながら理想となる診療所の開業を実現させましょう。

この記事の監修者

田中 宏典 <専門領域:医療経営>

株式会社エムステージマネジメントソリューションズ代表取締役。医療経営士1級。医業承継士。医療機器メーカー、楽天を経て株式会社エムステージ入社。医師紹介事業部の事業部長を経て現職。これまで、病院2件、診療所30件、介護施設2件の事業承継M&Aをサポートしてきた。エムステージグループ内のM&A戦略も推進している。

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