〈行政書士の解説〉後編「初めての譲渡契約を成功させるポイント」

買収 2022/02/10

前回に引き続き、株式会社エムステージマネージメントソリューションズのコンサルタントと医業承継に取り組む行政書士・K先生に、病院やクリニックの譲渡契約についてお話を伺いました。

後編の今回は、「初めての譲渡契約を成功させるポイント」をご紹介します。

▼前編の記事もチェック!

行政書士・K先生

医業を専門とする行政書士。神奈川県行政書士会所属。医療法人の設立やクリニック・歯科医院の開業、診療所の移転、分院の開設、定款の変更、議事録作成などの仕事を手掛ける。これまでの仕事で警察官、医業M&A専門コンサルタントを経ているという異色の経歴の持ち主。

個人営業のクリニック(医院)を譲渡契約する際の注意点

出典:関東信越厚生局『保険医療機関・保険薬局の指定申請手続きの流れ』

つづいて、個人営業のクリニック(医院)などを譲渡契約する時に気をつけるべき点としては、どのようなことがあるのでしょうか。

個人のクリニック(医院)の譲渡契約では、保険請求の「遡求(そきゅう)申請」ができるように承継を行わなければなりません。

個人のクリニック(医院)から個人へ承継する場合は、基本的には事業譲渡契約となり、旧クリニックや医院の廃止届提出後に、承継した新院長が開設届を提出します。

新たに医療機関が保険診療を行うためには、保険医療機関指定申請書を提出し指定を受けなくてはなりません*。承継した院長は開設届を届け出た後に保険医療機関指定申請書を提出します*が、保険医療機関指定が行われるまでに通常1カ月間程度の時間がかかるうえ、締切日に気を付ける必要があります。

そのため、通常は保険医療機関指定申請書と同時に「遡求申請」も行います。遡求申請が認められると開設日にさかのぼって診療報酬の請求をすることができ、承継開業後も切れ目なく保険診療を行うことができるのです*。

この「遡求申請」が厚生局に認められるためには、気をつけなければいけない点があります。

第三者承継(医業承継)の場合には、承継前に買い手の先生が承継する医療機関に常勤か非常勤で勤務、もしくは売り手の先生が承継後も常勤か非常勤で勤務していなければ、そのクリニック(医院)で切れ目なく診療が続いているとされず、遡求申請が認められなくなってしまいます。

遡求申請をしたい場合には、事前に「今回クリニック(医院)を引き継ぐので遡求申請をしたい」と厚生局に相談に行くと、必要なものなどいろいろ教えてもらえるでしょう。

*関東信越厚生局『保険医療機関・保険薬局の指定申請

そのほか、個人のクリニック(医院)の譲渡契約の際に、注意すべき点はありますか。

2箇所以上の医療施設の管理者に同じ医師を指定すると、開設が認められません。

医療法により、個人運営のクリニック(医院)において既に医療施設の管理者になっている者は、別の医療機関の管理者を兼務することはできないと定められています。

そのため、もし2箇所以上のクリニック(医院)を運営したい場合には、医療法人を作って自分が理事長になり、ほかの管理者を採用する必要があります。

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病院やクリニック(医院)の廃止や開設などの行政手続きは、医療に知見のある行政書士に依頼することが重要

行政書士のような専門家に依頼せず、医療機関の開設における行政手続きをご自身で行う方もいるのでしょうか。

自分で行おうとすると、医療法の知識などが足りずに挫折する方が多いです。

はじめに私の事務所に医療承継の相談にいらっしゃってから、「自分で行政手続きをしてみます」とおっしゃる方も実は結構多いです。

しかし、「行政手続き時にアレンジしてお使いください」と申請書のひな形をお渡ししても、「やはり自分ではできませんでした…」と結局こちらに戻って来られる方が多いです。

承継開業における行政手続きは書類も結構複雑なうえ、ちゃんと時系列に沿って物事を整理する必要もありますし、医療法を分かっていない方がやると上手くいかなかったり事故になったりしてしまうこともあります。

やはり、行政手続きの際には行政書士を入れて、全体をコントロールして進めることは重要だと思います。

行政手続きをよく知らずに顧問税理士に丸投げしてしまったりすると、「役員変更手続きは簡単な手続きだからやるか」などと、税理士の先生も医療法の知識が無いままやってしまう場合があります。

すると、必要な要件が揃っていない状態になりえるため、事業譲渡の際に手続きができないこともあるのです。

医療のM&A専門でなくても良いので、医業承継の知見がある行政書士に依頼しなければ、承継開業時の行政手続きはうまくいかないでしょう。

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譲渡契約の初心者は、医業承継を並走してくれる仲介会社に依頼を

最後に、医業承継は初めて行う方が多いと思うのですが、譲渡契約が成功する秘訣があれば教えてください。

しっかり医業承継をやってくれる、仲介会社を探すというのが成功の1番の肝です。

初めてやる方が多いと思うので、医業承継のプロセスを進めてくれ医療への知見がある会社を探すというのが大切です。

医業承継を進めていく上で、承継相手となる候補者の信用調査などを個人で行うことはなかなか難しいでしょう。よって、エムステージマネージメントソリューションズのような、これまでずっと医業専門で運営されてきた仲介会社に依頼されるのが安心だと思います。

エムステージマネージメントソリューションズとはこの医業承継サポートで協業しておりますが、コンサルタントがすごく丁寧にお仕事をされているイメージを持っています。

かつ、エムステージグループは医療系の人材業を長く行っていらっしゃることもあって、紹介する候補者たちは基本的にお医者様でしっかりした身元の方々ばかりというところも、非常に大きな強みだと思います。 病院やクリニックを買収する方も安心して譲渡契約できますし、ちゃんとした方が承継してくれているということで売却する方も先々までの自分たちの名誉を守ることにもなり、お互いに非常に大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

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