【首都圏×内科】美容皮膚科への転換で債務超過から再建を果たして譲渡に成功した事例

【首都圏×内科】美容皮膚科への転換で債務超過から再建を果たして譲渡に成功した事例
【首都圏×内科】美容皮膚科への転換で債務超過から再建を果たして譲渡に成功した事例
エリア 東京都
診療科目 内科、美容皮膚科
運営組織 医療法人
譲渡理由 働き方の変更
運営年数 20年

医院継承のきっかけは、一般的に後継者不足や高齢化による引退であることがほとんどです。

しかし、中には医師として現役で活躍できる年齢でも、譲渡を決断されることがあります。

本事例では、50代の院長が譲渡を決断された理由や背景をまとめました。また、私たちに譲渡の相談をいただいてから、たった2か月で成約が実現した経緯もご紹介します。

【売り手側】夢を諦めて借金1億円のクリニックを抱えた50代理事長

今回の医院継承の売り手となったのは、首都圏で内科クリニックを経営していた50代の院長の佐藤先生(仮名)です。

佐藤先生は以前、医局の整形外科医として9年間のキャリアを積んでいました。

多くの異動を経験する中で、圧倒的な外来対応やオペの数をこなし、論文も50編以上書き上げました。その結果、ついに医局長を任せてもらえるようになったそうです。

一方で、父親が自社ビル内で開設した内科クリニックの理事長も務めていました。

しかし、実際の診療は別の医師に任せていたことや、自社ビル内の高層階という目立たない場所に開業したこともあって、徐々にクリニックの経営状態は悪化していったそうです。

そのような中、父親から弟が突然の事故で亡くなったことを告げられます。

弟は教育事業の後継者として経営を学んでいたため父親のショックも大きく、教育事業の経営も不安な状況に陥ります。さらにクリニックも患者数が1日5人程度まで減少し、毎月100万円もの赤字を抱える深刻な状況でした。

佐藤先生は父親の借金を返済するために医局でのキャリアを諦め、約1億円もの負債のあるクリニックの再建に専念することを決意します。

美容皮膚科を主な診療科目としてクリニックの借金を完済

クリニックの再建に着手した佐藤先生は、まず集患対策としてブログによる情報発信を開始しました。

当時は医師がブログを執筆することが珍しかったこともあって大勢の方に記事が読まれ、全国から患者が訪れるようになったそうです。

しかし整形外科の特性上、症状が改善すると来院が途絶えてしまうため、継続的な収益性にはつながりませんでした。

そこで佐藤先生は大胆な転換を図ります。それはクリニックの標榜を内科から美容皮膚科へと変更することでした。

佐藤先生は美容皮膚科としての実績はもちろんのこと診療ノウハウもないため、美容皮膚科のセミナーやほかのクリニックでの研修を受け、施術スキルの習得に努めました。

整形外科医としての手技も活かしながら、中高年の女性をターゲットにシワ取り治療に特化したことで、徐々に固定客を獲得していきます。

また、デメリットとして捉えていたビルの上層階という立地は、美容皮膚科にしたことで逆に強みにもなりました。美容皮膚科の利用時に人目を気にする女性も多いため、目立たない立地は女性にとって安心感につながります。

そしてアンチエイジングの治療が功を奏してクリニックの収益は着実に改善していき、約10年の歳月をかけて、ついに1億円の負債を完済するまでに至りました。

自身のやりたいことを実現するためにクリニック売却を決意

債務を完済してクリニック経営も軌道に乗った佐藤先生でしたが「これまでの医療人生は、ただ借金を返済するためだけに診療をしてきたようなものだ」と思うようになりました。

完済できたことで、あらためて本当に自分がやりたい医療について考える時間ができたのです。

ちょうどその頃、大学病院時代の先輩が立ち上げた在宅診療クリニックに、非常勤として診療を手伝っていました。

整形外科医としての専門性を活かしつつ患者の生活に寄り添える在宅医療に、佐藤先生は新たなやりがいを見つけたのです。

そして、今度は自分自身のやりたいことを実現するために、私たちに医院継承によるクリニック売却のご相談をいただきました。

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【買い手側】医師兼実業家として美容クリニックの事業拡大を目指している医療法人

買い手となったのは、美容クリニックを運営する医療法人メディカルウェイ(仮称)の理事長である吉川先生(仮名)です。

吉川先生は医師でありながら、医師紹介や産業保健の事業を手掛ける実業家としても知られていています。奥様も医師で、吉川先生は奥様のクリニック開業も自ら行っていました。

また、私たちにご相談いただいたときには、すでに1つの美容クリニックを運営しており、次の事業展開として、都心で健診や美容(自費診療)分野での成長が見込めるクリニックを探していました。

佐藤先生が経営していたクリニックは都心に位置するものの、ビルの上層階にあるため一般的には集患しにくい環境と言えます。

そのためクリニック経営の実績がありマーケティング力と経営ノウハウ、そして医師としての専門性も兼ね備えた吉川先生は、理想的な買い手候補でした。

実業家でもある吉川先生は即断力もあったことから、契約はすぐに決まりました。

医療法人同士の医院継承スキーム

本件は医療法人から医療法人への承継になるため、一般的な医療法人の承継スキームに則って進められました。

具体的には、3つの手順で経営権の移転を行っています。

1つ目は医療法上の、社員の入替によるガバナンスの変更です。

医療法人では社員総会での議決権を持つ社員が、実質的な所有者となるため、院長である佐藤先生の社員としての地位を、買い手の吉川先生側に移転することで、医療法人の支配権が移行します。

2つ目は理事および理事長の変更です。

医療法人の業務執行を担う理事会のメンバーを入れ替えることで、実際の経営権を移転します。佐藤先生が務めていた理事長職が、吉川先生側に引き継がれることで新体制での運営が可能になります。

3つ目が出資持分の譲渡です。

医療法人の純資産に対する権利である出資持分を、売り手から買い手へと移転することで法人の経済的価値も含めた承継を行います。医療法人同士のスキームは、個人との承継に比べると複雑な手続きが必要となります。

本事例のポイント

本事例における大きなポイントとして、以下の3つが挙げられます。

  • 引退ではなく医師としての新たな目標を見据えた譲渡だった
  • マーケティング戦略に長けた買い手とのマッチングに成功した
  • 営業権を相場よりも安く設定していたためスピード契約が実現した

数あるマッチングの中でも、非常にスムーズかつ迅速に成約が完了した本事例のポイントを、それぞれ詳しく解説します。

引退ではなく医師としての新たな目標を見据えた譲渡

医院継承を利用する背景には、一般的に高齢化による体力的な限界や後継者不在によるものが多い傾向にあります。

一方で本事例の場合は売り手の佐藤先生が50代であり、医師としてまだまだ活躍できる年齢での譲渡が大きな特徴です。

医師の開業後のキャリアは、そのクリニックで引退まで診療を続けると考えられがちですが、開業後に自分の本当にやりたい医療やほかの事業が見えてくることもあります。

佐藤先生の場合は9年間にもおよぶ外回りの後、やっと整形外科の医局長としてキャリアを積み上げていけると思った矢先に身内に不幸があり、自身のキャリアは諦めるという決断をしました。

その後約10年以上も父親のクリニック再建に尽力したので、今度こそ自分のための医師人生を歩もうと決意をしたのです。

クリニックの譲渡は医師として引退するときに利用するだけではなく、本事例のように医師として新たなステージに進む際に利用するケースもあります。

マーケティング戦略に長けた買い手とのマッチングに成功

本事例の成功要因に、マーケティング力と経営のノウハウに長けていて、クリニックの課題が解決できるような買い手とマッチングできたことが挙げられます。

クリニックは都心に位置しているものの、ビルの高層部であることから集患が難しく、診療も3フロアに分かれていたため、導線があまり良くない構造でした。

また好立地なことから賃料も比較的高めでしたので、クリニックの立地条件だけで言うと一概に「好条件」とは言えません。

そこで買い手候補としては初めて開業される医師ではなく、開業実績があり集患のノウハウも持っている医師のほうが最適です。

吉川先生はすでに1つの美容クリニックを成功させていて、さらに医師紹介や産業保健事業などの事業を手掛けているため、理想的な買い手候補として挙がったのです。

結果的に本件のような集患が難しいと思われるクリニックでも、スムーズに契約まで至りました。

営業権を相場よりも安く設定していたためスピード契約が実現

本事例で特筆すべきポイントとして、通常なら半年〜1年程度かかる医療継承が、わずか2か月で成約になった点が挙げられます。

佐藤先生はすでに在宅診療への転職が決まっていたことから、早期の譲渡を望んでおられました。また、クリニックも借金返済を目的として経営していたことから、譲渡における営業権の価格もそこまでこだわっていませんでした。

一般的には自身が長年築き上げてきたクリニックは、できる限り価値あるものとして譲渡したいと考えられます。

そのため最終的な金額面で折り合いがつかず、マッチングはするものの契約にまでは結びつかないケースも多いのです。

しかし佐藤先生の場合、医師として本来やりたいことの実現が最優先であったため、営業権を相場よりも安く設定されました。

その結果、実業家であり理事長でもある吉川先生の即断力も相まって、わずか2か月という医院継承の中でも異例の早さで契約に至りました。

医院継承は、買い手と売り手の背景をしっかりと考慮した上でマッチングを行います。

本事例のように譲渡まで期間があまりないケースでも対応可能ですので、一度専門家に相談してみてください。

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