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優先交渉権とは?独占交渉権との違いや法的拘束力を徹底解説

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優先交渉権とは?独占交渉権との違いや法的拘束力を徹底解説

M&Aにおいて「優先交渉権」は、買い手候補と具体的な条件交渉を進める際に活用される重要な取り決めの一つです。売り手と買い手の双方にとって、その後の交渉をスムーズかつ安心して進められるメリットがあります。

しかし仕組みを正しく理解していないと、思わぬ機会損失やトラブルにつながるリスクもあるので注意しなければなりません。そこで本記事では、クリニックのM&A(医院継承)における優先交渉権の基礎知識から、独占交渉権との違い、設定するメリット・デメリット、具体的な手順や注意点までを徹底的に解説します。

納得のいく承継を実現するために、ぜひ参考にしてください。

優先交渉権とは特定の買い手を優先して交渉する仕組み

優先交渉権の付与イメージ

優先交渉権とは、M&Aにおいて売り手側が特定の買い手候補に対して、ほかの候補者よりも優先的に交渉を進める権利を付与することです。クリニックの医院継承(M&A)では、複数の医師が同じクリニックの承継を希望されるケースも多いです。

このような状況で、売り手側が「この先生と優先的に話を進めたい」と考えた場合に、優先交渉権を設定します。優先交渉権を付与された買い手候補者は一定期間、ほかの候補者に先駆けて条件交渉やデューデリジェンス(買収前の詳細調査)を実施できます。

ただし、優先交渉権を得たからといって、必ずM&Aが成立するわけではありません。あくまで「優先的に交渉できる」という権利であり、最終的な契約は双方の合意が必要です。

優先交渉権のタイミングは基本合意書の締結時

優先交渉権は、一般的に基本合意書を締結するタイミングで設定されます。
医院継承のおおまかな流れは以下の通りです。

  1. 初期的な面談・条件のすり合わせ
  2. 意向表明書の提出(買い手から売り手へ)
  3. 基本合意書の締結(優先交渉権の設定)
  4. デューデリジェンスの実施
  5. 最終契約の締結
  6. クロージング(引き継ぎ)

基本合意書とは、M&Aの基本的な条件について売り手と買い手が合意した内容を文書化したものです。この段階で優先交渉権を設定することで、買い手は安心してデューデリジェンスに着手でき、売り手は真剣度の高い候補者と集中的に交渉を進められます。

関連記事:医業承継(医院継承)における「基本合意書」の役割・注意点

優先交渉権には法的拘束力の付与も可能

優先交渉権そのものには、原則として法的拘束力はありません。つまり優先交渉権を付与したからといって、売り手側は必ず付与した買い手候補者と最終契約を結ぶ義務があるわけではなく、また買い手側も必ず契約する必要(義務)もありません。

そこで基本合意書の中で違反した場合のペナルティや違約金を明記することで、法的拘束力をもたせることも可能です。
たとえば、以下のような条項を設けるケースがあります。

  • 優先交渉期間中に売り手がほかの候補者と交渉した場合の違約金
  • 買い手が正当な理由なく交渉を打ち切った場合のペナルティ

法的拘束力をもたせるかどうかは、売り手と買い手の双方が納得した上で決定します。

優先交渉権の期間は一般的に1〜3か月

優先交渉権の期間は一般的に1〜3か月程度で、クリニックの規模や取引の複雑さによっても異なります。

  • 小規模なクリニックの場合:1〜2か月程度
  • 複数の医療機関を運営する医療法人の場合:2〜3か月程度

この期間内に買い手候補者はデューデリジェンスを実施し、最終的な契約条件を詰めていきます。期間が短すぎると買い手候補者が十分な調査を行えず、リスクの見落としにつながってしまいます。

逆に期間が長すぎると、売り手側は万が一その交渉が破談になった際に、ほかの買い手候補を探す時間が遅れるなど機会損失になるわけです。そのため、双方が納得できる適切な期間の設定が重要です。また、双方の合意があれば期間を延長できる旨を盛り込んでおけば、柔軟な対応が可能になります。

独占交渉権とは他の買い手との交渉を禁止する権利

優先交渉権と似た言葉に「独占交渉権」があります。独占交渉権とは、売り手が特定の買い手候補とだけ交渉を行い、ほかの候補者とは一切交渉しないことを約束する権利です。

売り手側は独占交渉権を設定すると、その期間中ほかの買い手候補との面談や情報提供は一切できません。買い手候補者にとっては、競合がいない状態で落ち着いて交渉を進められるメリットがあります。ただし、独占交渉権は売り手側にとってリスクも大きい仕組みです。

優先交渉権のリスクと同様に、万が一独占交渉権を付与した買い手候補者との交渉が決裂した場合、その期間中にほかの有力な候補者を逃してしまう可能性があるためです。

優先交渉権と独占交渉権との違い

優先交渉権と独占交渉権との違い

優先交渉権は売り手側が柔軟性を保ちつつ、有力な候補者と優先的に交渉を進めたい場合に適しています。

一方で独占交渉権は、買い手候補者が時間をかけて詳細な調査を行いたい場合や、競合がいない状態で落ち着いて条件交渉をしたい場合に活用されることが多いです。

クリニックのM&Aにおける優先交渉権のメリット

優先交渉権には、売り手と買い手の双方にメリットがあります。それぞれの立場から見たメリットを詳しく解説します。

買い手側のメリット

買い手にとって、優先交渉権を獲得することは非常に大きな意味を持ちます。

【買い手側が優先交渉権を得るメリット】

  • 他の候補者より優先的に交渉できる安心感
  • じっくりデューデリジェンスを実施できる
  • 交渉に集中できる

それぞれ詳しく解説します。

他の候補者より優先的に交渉できる安心感

最大のメリットは、ほかの買い手候補者に横取りされるリスクが少なくなる点です。クリニックの承継開業を希望する医師にとって、希望のクリニックを見つけることは簡単ではないため、特に好立地で経営状態の良いクリニックには、複数の買い手候補者が現れることも多いです。

そこで優先交渉権を獲得できれば「自分が第一候補として選ばれている」という確信を持って、デューデリジェンスや条件交渉に臨めます。また、ほかの候補者に先を越される心配が減るため、精神的な負担も軽減されます。

じっくりデューデリジェンスを実施できる

買い手候補者は優先交渉権の期間中、焦ることなくデューデリジェンスを実施できるのがメリットです。デューデリジェンスでは財務状況や法的リスク、患者数の推移、スタッフの雇用状況など、クリニックのあらゆる側面を詳細に調査します。

これには公認会計士や弁護士などの専門家への依頼費用も発生しますし、院内の資料を確認するための手間と時間もかかります。もし優先交渉権がなく、いつ破談になるかわからない状態であれば、買い手候補者は高額な費用がかかるデューデリジェンスの実施を躊躇してしまうでしょう。

期間が確保されることで安心して調査ができ、納得した上で最終契約へと進めます。

交渉に集中できる

優先交渉権を得た買い手候補者は、ほかの案件探しを一時的に中断し、目の前のクリニック承継に集中できます。複数の案件を同時に検討していると、それぞれの条件を比較したり面談の日程を調整したりする手間が発生します。

優先交渉権を得ることで「このクリニックの承継に全力を尽くす」という決断ができるため、結果的に効率的に交渉が進むのがメリットです。

売り手側のメリット

一見すると買い手側に有利に見える優先交渉権ですが、売り手側にとっても重要なメリットがあります。

【売り手側が優先交渉権を付与するメリット】

  • 真剣度の高い買い手候補を見極められる
  • 買い手候補者により好条件を引き出せる可能性がある

それぞれ詳しく解説します。

真剣度の高い買い手候補を見極められる

優先交渉権を求める買い手候補者は、それだけそのクリニックの承継に対して本気であると言えます。基本合意書を締結し、コストをかけてデューデリジェンスを行う意思表示をしているからです。

情報収集目的の候補者を排除して、真剣に承継を考えてくれている相手とだけ向き合えるため、時間の無駄も減り精神的な負担も軽減されます。

逆に優先交渉権を求めない買い手候補者は、複数の案件を比較検討している段階かもしれません。売り手側としては、真剣度の高い候補者を優先することで、M&Aの成功確率を高められます。

買い手候補者により好条件を引き出せる可能性がある

複数の買い手候補がいる場合、売り手側は「ほかにも興味を示している医師がいる」ことを伝えることで、買い手候補者からより好条件を引き出せる可能性があります。

たとえば譲渡価格の交渉において、買い手候補者が「ほかの候補者に取られたくない」という心理から、売り手側の希望に近い条件を受け入れる可能性もあるでしょう。もちろん誠実な対応が前提ですが、適度な競争環境を作ることは売り手側の利益につながります。

クリニックのM&Aにおける優先交渉権のデメリット

メリットの多い優先交渉権ですが、設定することによるデメリットやリスクも存在します。これらを理解せずに安易に契約を結んでしまうと、後悔することになりかねません。
双方の視点からデメリットを確認しておきましょう。

買い手側のデメリット

買い手にとっては、とくに期限がある点や、ほかの選択肢を制限されることが主な懸念点です。
それぞれ詳しく解説します。

期間内に結論を出すプレッシャー

優先交渉権には「有効期間」があります。この期間内にデューデリジェンスを完了させ、最終契約の内容を詰め、資金調達の目処をつけなければなりません。特にクリニックの繁忙期と重なったり、予想外の問題が見つかったりした場合、スケジュールが非常にタイトになる可能性があります。

「期間内に決めなければ権利を失うかもしれない」というプレッシャーの中で、冷静かつ迅速に判断しなければなりません。

ほかの案件探しが制限される

優先交渉権を得てデューデリジェンスに入ると、その案件にかかりきりになることが一般的です。人的リソースや資金的リソースがその案件に拘束されるため、もし期間中に他にもっと魅力的なクリニックの譲渡案件が出てきたとしても、並行して検討することが難しくなります。

万が一、交渉中の案件が破談になった場合、他のチャンスも逃してしまっているという「機会損失」のリスクがあります。

売り手側のデメリット

売り手にとってのデメリットは、より良い買い手候補者に対応できなかったり、最終の交渉が思わぬ方向に進んだりする可能性がある点です。
それぞれ詳しく解説します。

より良い条件の買い手候補が現れても対応しにくい

優先交渉権を付与した後に、より好条件を提示する買い手候補が現れても、売り手は簡単に対応できません。法的拘束力のない優先交渉権であれば、理論上はほかの候補者と交渉することも可能です。

しかし、優先交渉権を付与した買い手候補者の信頼を裏切ることになり、交渉が決裂するリスクが高まります。また、仲介会社の信用も損なわれる可能性があります。

このデメリットを避けるためには、優先交渉権を付与する前に、複数の候補者と十分に面談し、慎重に選定することが重要です。

最終的に譲渡価格の交渉をされる可能性がある

買い手候補者が優先交渉権の期間中にデューデリジェンスを実施した結果、当初想定していなかった問題が見つかることがあります。このような場合、買い手候補者から譲渡価格の引き下げを求められる場合もあります。

たとえば、以下のようなケースです。

  • 医療機器の老朽化が予想以上に進んでいた
  • 未払いの税金や債務が発見された
  • 患者数の減少傾向が明らかになった

デューデリジェンスで重大な問題が見つかった場合、買い手側の価格交渉は正当なものといえます。売り手側としても「すでに優先交渉権を付与してしまったので、ほかの候補者に切り替えにくい」というジレンマに陥る可能性があります。

このリスクを軽減するためには、優先交渉権を付与する前に、売り手側でも財務状況や法的リスクを正確に整理しておくことが大切です。

優先交渉権の手順と記載のポイント

ここでは優先交渉権を適切に設定するための手順と、基本合意書に記載すべきポイントを解説します。

意向表明書のタイミングで買い手側が希望を出す

優先交渉権の設定は、買い手候補者が売り手側に対して「意向表明書」の提出をするタイミングで希望を伝えることから始まります。意向表明書とは、買い手候補者が売り手側に対して「このクリニックを承継したい」という意向を正式に表明する文書で、以下のような内容を記載します。

  • 承継を希望する理由
  • 希望する譲渡価格の目安
  • 譲渡スキーム(事業譲渡、出資持分譲渡など)
  • 優先交渉権または独占交渉権の希望

買い手候補者が優先交渉権を希望する場合は、意向表明書に「優先交渉権の付与を希望」と明記します。売り手側は、複数の買い手候補から提出された意向表明書を比較検討し、優先交渉権を付与する相手を選定します。

関連記事:医業承継(医院継承)における意向表明書とは?売り手・買い手のポイント

基本合意書に優先交渉権を盛り込む

売り手側が優先交渉権の付与を決定したら、基本合意書にその内容を明記します。基本合意書に記載すべき主なポイントは以下の通りです。

1. 期間の明確化

優先交渉権の開始日と終了日を明確に記載します。

例「本基本合意書の締結日(2025年11月15日)から3か月間(2026年2月14日まで)を優先交渉期間とする」

2. 法的拘束力の有無

優先交渉権に法的拘束力をもたせるかどうかを明記します。

例「本優先交渉権には法的拘束力を付与し、売り手が期間中にほかの候補者と交渉した場合は、違約金として◯◯万円を支払うものとする」

3. 期間延長の可否

双方の合意により期間を延長できる場合は、その旨を記載します。

例「双方の書面による合意があれば、優先交渉期間を1か月延長することができる」

4. 解除条件

正当な理由がある場合の解除条件を明記します。

例「デューデリジェンスの結果、重大な虚偽または事実と異なる情報が判明した場合、買い手は優先交渉権を解除できる」

これらのポイントを明確にすることで、双方が安心して交渉を進められます。

先手の優先交渉で希望のクリニックを承継できた実例

優先交渉権の効果を示す実例として、59歳の医大教授が希望のクリニックを承継されたケースをご紹介します。

この事例では最終的に承継先となった医大教授の内村先生(仮名)以外に、40代前半の若い先生も同じクリニックの承継を希望していました。そして売り手側の坂本先生は当初、長期的な将来性から若い先生のほうが適任と考えていました。

しかし、最終的に内村先生との契約に至った決め手は、意思決定の速さです。

内村先生は最初の面談で「すぐにでも契約して承継します」と明確な意向を伝え、譲渡価格も坂本先生の提示をそのまま受け入れました。

一方で若い先生は「家族や勤務先に相談してから決めたい」と決定を留保しました。

そこで坂本先生は内村先生の即断即決を評価し、実質的に優先交渉の相手として選定、面談から最終契約まで2か月もかからずに承継が実現したのです。

複数の候補者が競合する場合、明確な意思表示と迅速な決断が優先交渉権獲得の鍵となります。

関連記事:【首都圏×内科】定年を数年後に控えた教授が大学を辞め、医院継承により開業した事例

優先交渉権に関する注意点やポイント

優先交渉権を設定する際には、いくつかの注意点があります。ここでは売り手と買い手の双方が理解しておくべきポイントを解説します。

優先交渉権の途中解除はリスクやペナルティがある

デューデリジェンスで重大な問題が判明したなど正当な理由がある場合は、ペナルティなく解除できることが一般的です。基本合意書に解除条件を明記しておくことで、このような事態に適切に対応できます。

一方で正当な理由なく途中で解除することは、双方にリスクやペナルティをもたらします。

【買い手側のリスク】

買い手候補者が正当な理由なく優先交渉を打ち切った場合、それまでに費やしたデューデリジェンスの費用が無駄になります。またM&A仲介会社や売り手側からの信用を失い、今後の案件紹介に影響が出るでしょう。

基本合意書に違約金条項が設けられている場合は、金銭的なペナルティも発生します。

【売り手側のリスク】

売り手側が正当な理由もなく、ほかの候補者と交渉を始めた場合、優先交渉権を付与した買い手候補者からの信用を失います。また、ほかの候補者からも「約束を守らない売り手」と見なされ、交渉が難航する可能性があります。

複数の買い手候補がいる場合は対応方法に注意

複数の買い手候補がいる場合、売り手は対応方法に注意が必要です。特に優先交渉権を付与する前の段階では、すべての候補者に対して公平に情報を開示することが重要です。

特定の候補者だけに詳しい情報を提供すると、ほかの候補者から不信感を抱かれる可能性があります。また優先交渉権を付与したら、ほかの候補者にもその旨を伝えましょう。

「他の方と基本合意に至り、優先的な交渉期間に入りました」と明確に伝えることが重要です。

曖昧な状態で待たせておくと、ほかの買い手候補者も次の行動に移れませんし、もし今回の交渉が破談になって再度声をかけることになった際にも心証が悪くなってしまいます。「今回はご縁がなかったが、もし状況が変わればまた連絡する可能性がある」といった旨を丁寧に伝えておきましょう。

専門家を活用する

優先交渉権や独占交渉権を含む基本合意書は、法的な文書です。用語の定義や期間、解除条件、法的拘束力の範囲など細かな文言一つで効力が変わってきます。

インターネット上の雛形をそのまま使うのではなく、M&Aに詳しい弁護士や医院継承を専門とした仲介会社のアドバイザーなどの専門家に作成・リーガルチェックを依頼することを強くおすすめします。

優先交渉権に関するよくある質問

優先交渉権に関して、私たちエムステージコミュニケーションズへよく寄せられる質問にお答えします。

優先交渉権と独占交渉権はどちらを選ぶべきですか?

売り手側は、買い手候補の本気度を見極めてから判断すべきです。真剣度が高く、信頼できる候補者であれば優先交渉権で十分でしょう。

一方で買い手が大規模な調査を必要としており、独占交渉権を強く希望する場合は、期間を短めに設定した上で応じることも選択肢です。買い手側は、デューデリジェンスにかかる時間を考慮して選びます。

小規模なクリニックで調査が1〜2か月で完了する場合は優先交渉権で問題ありません。複数の医療機関を運営する医療法人など、調査に3か月以上かかる場合は独占交渉権が有利です。

専門家のアドバイスや判断も参考にしましょう。

優先交渉権を設定しないでM&Aを進めることは可能ですか?

可能ですが、買い手候補が不安を感じる可能性があります。優先交渉権がない状態では、買い手側はデューデリジェンスに費用と時間を投資しても、最終的にほかの候補者に取られるリスクがあるためです。

このため真剣度の高い買い手ほど、優先交渉権を希望する傾向にあります。売り手側としても優先交渉権を設定することで、買い手の本気度を確認し、スムーズな交渉を実現できます。

優先交渉権が設定されたら必ず契約しなければなりませんか?

法的拘束力がない限り、契約義務はありません。優先交渉権は「優先的に交渉する」権利であり、必ず契約を結ぶ義務ではありません。

デューデリジェンスの結果、重大な問題が判明した場合や、条件面で折り合いがつかない場合は、交渉を打ち切ることも可能です。ただし、誠実な交渉姿勢は求められます。

最初から契約する気がないのに優先交渉権を得ることは、売り手や仲介会社の信頼を損なう行為ですので避けましょう。

まとめ|優先交渉権は希望のクリニック承継実現のために重要な要素

優先交渉権は、クリニックのM&Aにおいて売り手と買い手の双方にメリットをもたらす重要な仕組みです。買い手側にとっては、ほかの候補者より優先的に交渉できる安心感を得られ、じっくりデューデリジェンスを実施できます。

売り手側にとっても真剣度の高い買い手候補を見極め、集中的に交渉を進められます。優先交渉権を効果的に活用するためには、適切な期間設定や基本合意書への明確な記載が重要です。

特にクリニックのM&Aは、医療業界特有の専門的な知識や経験が求められる複雑な取引ですので、私たちエムステージコミュニケーションズのような、医院継承を専門とした仲介会社に相談することをおすすめします。

医療経営士の資格をもったアドバイザーが、先生の想いに寄り添って最適な承継をサポートします。

医院継承・医業承継(M&A)のご相談は、エムステージ医業承継

この記事の監修者

田中 宏典 <専門領域:医療経営>

株式会社エムステージマネジメントソリューションズ代表取締役。
医療経営士1級。医業承継士。
静岡県出身。幼少期をカリフォルニア州で過ごす。大学卒業後、医療機器メーカー、楽天を経て株式会社エムステージ入社。医師紹介事業部の事業部長を経て現職。
これまで、病院・診療所・介護施設等、累計50件以上の事業承継M&Aを支援。また、自社エムステージグループにおけるM&A戦略の推進にも従事している。
2025年3月にはプレジデント社より著書『“STORY”で学ぶ、M&A「医業承継」』を出版。医院承継の実務と現場知見をもとに、医療従事者・金融機関・支援機関等を対象とした講演・寄稿を多数行うとともに、ラジオ番組や各種メディアへの出演を通じた情報発信にも積極的に取り組んでいる。
医療機関の持続可能な経営と円滑な承継を支援する専門家として、幅広く活動している。
より詳しい実績は、メディア掲載・講演実績ページをご覧ください。

【免責事項】
本コラムは一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の取引や個別の状況に対する税務・法務・労務・行政手続き等の専門的なアドバイスを提供するものではありません。個別案件については必ず専門家にご相談ください。

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