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病院が潰れる3つの前兆とは?潰れる原因と対策を解説!

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病院が潰れる3つの前兆とは?潰れる原因と対策を解説!
病院が潰れる3つの前兆とは?潰れる原因と対策を解説!

「病院の経営が厳しい」「患者数が減ってきた」そんな不安を抱えていませんか。

医療機関の倒産件数は年々増加しており、少子高齢化や診療報酬の改定など、外部環境の変化によって経営の継続が難しくなるケースも増えているため、病院経営者にとっては自院が潰れないための対策を常に考える必要があります。

本記事では、病院が潰れる3つの前兆、潰れる原因と対策を詳しく解説します。「うちの病院は大丈夫だろうか?」と少しでも不安を感じた方は、ぜひ最後までお読みください。

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医療機関の倒産件数の推移

医療機関の倒産件数は増加傾向にあります。2022年には41件だった医療機関の倒産件数が、2024年には64件に急増しました。これは、高齢化社会が進み医療機関の需要が高まる一方で、経営環境の厳しさが増していることを示しています。

医療機関の倒産が増加する背景には、収入の減少、感染回避のために通院を控える受診者、コロナ関連補助金の削減などがあります。経営者の高齢化も進んでおり、後継者不足が深刻な問題です。その結果、事業承継が難しくなり、やむを得ず廃業や倒産に追い込まれるケースが増えています。

今後も倒産件数の増加が続く可能性があり、医療機関の持続的な運営には、経営改善の取り組みや後継者育成、M&Aなどの選択肢を積極的に検討することが重要です。

出典:医療機関の倒産・休廃業解散動向調査(2024年)|帝国データバンク

病院が潰れる3つの前兆

病院が潰れる前兆として3つ挙げられます。

  • 患者数が減少している
  • 悪い口コミや評判が増えている
  • 資金繰りが悪化している

詳しく解説します。

患者数が減少している

病院の収益は診療報酬によって成り立っているため、患者が減少すると売上が低下し、経営悪化は避けられません。特に固定費の高い医療機関では、即座に経営の圧迫につながります。

患者数の推移は、新患率や再診率などの指標を用いて評価可能です。新患率の低下は、新規の患者が来なくなったことを示し、再診率の低下は、既存の患者が継続して来院しなくなったことを意味します。これらの数値が悪化すると、安定した経営が厳しくなるでしょう。

このような状況を打開するためには、他院との差別化と患者の信頼獲得が不可欠です。医療の質を向上させるのはもちろん、地域のニーズに合った診療科の提供や、オンライン診療の導入など、利便性を高める取り組みが大切です。患者が「この病院なら安心できる」と感じる環境を整えることが、経営の安定につながるでしょう。

悪い口コミや評判が増えている

病院が経営不振に陥る前兆として、診療の質やスタッフの対応に対する悪い評判の増加が挙げられます。具体的には待ち時間の長さ、医師や看護師の態度、診断の曖昧さなどが多く、悪評が増えると新規の患者も減り、経営が厳しくなるケースが少なくありません。

現代ではインターネットの普及により、口コミが瞬時に拡散される時代となりました。一度悪い評判が広がると、それを払拭するのは容易ではなく、信頼回復に長い時間と労力が必要です。GoogleマップのレビューやSNS上での投稿は、多くの人が病院選びの参考にするため、経営に影響を及ぼします。

こうしたリスクを回避するためには、サービスの質を向上させ、患者満足度を高めるのが不可欠です。良い口コミが増えれば病院の評判が向上し、安定した経営につながるでしょう。

資金繰りが悪化している

病院が経営難に陥る主な要因の一つが資金繰りの悪化です。収益の減少や余分なコストの増加が続くと、手元の資金が不足し、経営が立ち行かなくなります。たとえば、患者数の減少や診療報酬の削減により収入が減る一方で、人件費や医療材料費の高騰が負担となるケースがあります。また、不採算部門の継続や過剰な設備投資も資金を圧迫し、経営リスクを高める要因です。

資金繰りの悪化を防ぐためには、設備投資を慎重に行い、不要なコストの見直しを進める必要があります。また、人件費の適正化を図り、無駄な支出を抑えることも重要です。さらに、診療報酬の早期回収を徹底し、未回収金の発生を防ぐと資金の流動性を確保できます。

資金繰りの悪化は病院経営の危機に直結するため、常に収支バランスを意識し、適切な経営管理を行いましょう。

病院が潰れる4つの原因

病院が潰れる原因として、以下の4つが挙げられます。

  • 利便性が悪い地域に開業している
  • スタッフの離職率が高い
  • 資金繰りが上手くいっていない
  • 医師の知識・技術が不足している

それぞれ詳しく解説します。

利便性が悪い地域に開業している

病院経営で立地の重要性は高いです。利便性が良くない場所は通院しづらく、収益の減少につながりやすいです。また、駐車場がない場合も、高齢者や車で通う患者にとっては通院が困難になるでしょう。

医院継承を考える際には、開業地のアクセスの良し悪しを慎重に見極めることが重要です。既存の病院を引き継ぐ場合でも、患者の通院しやすさを確認し、必要に応じて送迎サービスの導入や駐車場の拡張も検討しましょう。

スタッフの離職率が高い

病院経営ではスタッフの離職率の高さは深刻な問題です。離職が続くと、経験豊富なスタッフが減少し、新人の教育が追いつかず、サービスの質が低下します。また、患者対応の遅れやミスも発生しやすくなり、患者の満足度が下がります。

患者の満足度低下は、口コミや評判にも悪影響を及ぼします。ネガティブな口コミは広がるスピードが速く、一度評判が下がると集客の低下を招きます。患者数が減少すれば、病院の収益も悪化し、経営の継続が難しくなるケースも少なくありません。

こうした問題を防ぐためには、スタッフが定着しやすい職場環境を整えることが重要です。医院継承する際には、スタッフの教育体制や働きやすい環境の整備が求められます。離職を防ぎ、安定した運営を続けると、患者からの信頼を得られ、病院経営の成功につながります。

資金繰りが上手くいっていない

病院経営が行き詰まる要因の一つが資金繰りの悪化です。診療報酬の引き下げや、固定費の増加、過剰な設備投資などにより収入と支出のバランスが崩れると、経営は急速に悪化します。たとえば、最新の医療機器に投資した分が期待した収益を生まない場合、資金繰りの負担が大きくなり経営難に陥る要因となります。

多くの病院では医師自身が経営を担っていますが、経営スキルが不足しているケースが少なくありません。資金計画や収支の管理を適切に行わなければ、収入が安定していても経営破綻に陥る可能性があります。したがって、経営の基礎知識を身につけることが重要です。

医院継承の際には、適切な経営戦略を立案することが大切です。診療方針や地域のニーズに合わせた運営方針を見直し、効率的な経営を行うと、病院の持続的な経営が可能になります。

医師の知識・技術不足

病院が経営難に陥る原因の一つに、医師の知識や技術の不足が挙げられます。医療の質が低下すれば、患者は適切な診断や治療を受けられず、不満を抱くでしょう。その結果、病院への信頼を失い、より質の高い医療を求めて他の医療機関へと流れてしまいます。

そのため、医師は常に最新の医療情報や技術を学び続ける必要があります。継続的な学習を怠れば、治療の質が時代遅れとなり、結果的に病院全体の評価が下がるでしょう。

また、医師だけでなく、看護師や医療スタッフにも同様に最新の知識や技術を習得してもらう仕組みが必要です。スタッフのスキル向上は医療の質を支え、患者満足度の向上にもつながります。

病院を潰さないための6つの対策方法

病院を潰さないためには以下の6つを実践するのが大切です。

  • 開業時に事業計画書を詳細に立てる
  • 開業地を詳しく調査する
  • スタッフの育成に力を入れる
  • 医院を広める活動を行う
  • 後継者を育成する
  • 医院継承を活用する

それぞれ解説します。

開業時に事業計画書を詳細に立てる

事業計画書を詳細に作成すると、将来的な経営の方向性を明確にでき、金銭面のリスクを最小限に抑えられます。

具体的には、市場調査を通じてターゲットとなる患者層や地域の医療ニーズを把握し、それに基づいた経営戦略を計画することが重要です。また、設備投資や人件費、運営コスト、リスク管理などを考慮した収支計画を作成し、黒字経営を維持できるかを検討することも必要でしょう。

医院継承の際にも事業計画書を詳細に作成することが大切です。承継時の計画が明確であれば、経営の引き継ぎがスムーズに進み、後継者も安心して運営を続けられます。また、金融機関からの融資を受ける際にも、事業計画書が審査に含まれるため、しっかりと準備しておきましょう。

開業地を詳しく調査する

病院経営の安定は、集患できるかどうかがにかかっているため、立地条件は重要なポイントです。

まず、開業予定地の人口動態や医療ニーズを分析します。年齢層の分布や人口の増減を把握すると、ターゲットとなる患者層を見極めやすいです。また、地域における疾患の傾向や診療科の需要を調査し、提供する医療サービスとの適合性を確認しましょう。

医院継承では事前に開業地の選定基準を明確にしておくことが重要です。たとえば、公共交通機関や駐車場の有無などのアクセス面、診療科目との適合性、地域住民の医療ニーズに対応できるかなどを総合的に判断する必要があります。

関連記事:診療圏調査の手順や注意点・簡易診断できるサービス紹介

スタッフの育成に力を入れる

病院経営を安定させるためには、スタッフの育成が欠かせません。医師や看護師、事務スタッフのスキル向上は、患者満足度の向上に直結します。スタッフの能力や技術が高まると、患者からの信頼も厚くなり、リピーターの増加や口コミによる新規患者の獲得につながるでしょう。

スタッフ教育では、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)や外部研修の活用が効果的です。OJTでは、実務を通じて経験を積ませると実践的なスキルが身につきます。一方、外部研修では最新の医療知識や接遇スキルを学ぶ機会を提供でき、専門性の向上につながります。

病院の広報活動を行う

病院を経営していく上では、地域住民に医院の存在を認知してもらうことが重要であるため、ホームページやSNSの活用、広告の配信などで特徴や診療内容の積極的な発信が必要です。

具体的には、SEOを意識したホームページの運用や定期的なSNSの投稿、MEO対策があります。くわえて、健康教室や無料相談会などのイベントを開催すると、地域住民との接点を増やしやすくなります。たとえば、高血圧や糖尿病などの生活習慣病予防教室の開催は、来院のきっかけにつながるでしょう。

後継者を育成する

病院を潰さないためには、後継者の育成も大切です。開業医の多くは後継者不足に悩んでおり、診療所で働く医師の平均年齢は60.4歳と高齢化が進んでいます。そのため、早期の後継者育成が大切です。

しかし、後継者不足の要因として「子供がいない」「親族がいない」開業医は半分以上の割合を占めます。そのため、後継者がいない開業医は医院継承を検討することをおすすめします。

出典:令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況|厚生労働省

医院継承を活用する

医院継承を活用すると後継者を見つけることができ、病院を存続できます。

譲渡により一定の資金を得られるため、リタイア後の生活資金を確保する手段としても有効です。一方で承継には時間がかかるため、計画的な準備が必要です。主に、譲渡金額の交渉や契約手続き、後継者との引き継ぎ業務があります。早期に準備を始めると、スムーズに移行が可能です。

さらに、スタッフの雇用継続や患者の診療の継続ができる点は、病院経営者だけでなく、働くスタッフや通院する患者にとっても大きなメリットになるでしょう。

医院継承の活用を検討している方は、ぜひ「エムステージ」にご相談ください。

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よくある質問

よくある質問として以下の2点を紹介します。

  • 今後の病院経営の状況はどうなる?
  • 医院の課題解決が難しい時はどうしたらいい?

疑問を解決して病院経営に役立てましょう

今後の病院経営の状況はどうなる?

医療機関の倒産や休廃業・解散が増加傾向にあり、2024年には倒産が64件、休廃業・解散が722件と過去最多です。 背景には、経営者の高齢化や後継者不足、物価や人件費の上昇に対する診療報酬の対応不足などが挙げられます。 

このような状況下で医療機関が生き残るためには、オンライン診療やデジタル化の導入が大切です。 コストを抑えつつ質の高い医療を提供するのが、経営の安定化につながります。

出典:医療機関の倒産・休廃業解散動向調査(2024年)|帝国データバンク

医院の課題解決が難しい時はどうしたらいい?

医院の経営課題が複雑で解決が難しい場合、専門家に相談するのが効果的です。経営コンサルタントは、経営の問題に対してデータ分析や市場調査を基に具体的な施策を立案し、実行までサポートします。

病院が潰れる前兆を把握して安定した経営を目指しましょう

病院の経営が悪化し、最終的に閉院に追い込まれるケースにはいくつかの前兆があります。たとえば、患者数の減少や資金繰りの悪化、医師やスタッフの離職率の増加などです。

そのため、患者離れが進む原因や収益が低下している要因を正しく分析し、適切な対応を取ることが必要です。マーケティングの強化や診療体制の見直し、経費削減など、病院ごとに最適な解決策を見つけて安定した経営を行いましょう。

経営課題の特定や解決策の実行が難しい場合には、エムステージのコンサルタントにご相談ください。豊富な知見と実績をもとに医院経営をサポートします。

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この記事の監修者

田中 宏典 <専門領域:医療経営>

株式会社エムステージマネジメントソリューションズ代表取締役。医療経営士1級。医業承継士。医療機器メーカー、楽天を経て株式会社エムステージ入社。医師紹介事業部の事業部長を経て現職。これまで、病院2件、診療所30件、介護施設2件の事業承継M&Aをサポートしてきた。エムステージグループ内のM&A戦略も推進している。プレジデント社より著書『”STORY”で学ぶ、М&A「医業承継」』を上梓。

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