オンライン診療のメリット・デメリット

医療経営・診療所経営 2023/01/30

オンライン診療は医師が患者の自宅などに訪問せず、患者さんが自宅にいながらにして医療サービスを受けられることを指します。現在、多くの医療機関で導入され始めており、今後ますます需要が高まるでしょう。

オンライン診療とは

オンライン診療とはインターネット回線を利用して、遠隔地にいる医師が診断や治療を行うことをいいます。対面での治療が難しい重症患者の症状改善に役立ち、より安全かつスピーディな在宅医療が実現できます。

自宅からネット回線を通じて診察を受けられるので、移動時間もかかりませんし、待ち時間なども必要ありません。移動の難しい患者さんや身支度を整えることが難しい患者さんにとっては特に大変便利です。

オンライン診療では画像付き通信機器を用いて、リアルタイムで顔を見ながら病状の説明ができます。これにより患者さんの不安を和らげたり、医師の専門知識を共有しやすくなりました。

医師は患者宅まで出向く必要がなく遠方の患者とも気軽に診察することが可能になります。オンライン診療を導入することによって、医師にかかる負担を大幅に減らすことができます。

ただしオンライン診療を行うにあたっては様々な条件をクリアする必要があり、すべての患者さんに対して利用できるわけではありません。オンライン診療を導入する前に、まずはどのような問題があるのかを知っておくべきでしょう。

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オンライン診療のメリット

オンライン診療の導入により最も恩恵を受けるのは、通院が困難な高齢者の方々だと思われがちですが、それだけではありません。

オンライン診療には次のメリットが挙げられます。

  • 通院の必要がなく、受診のハードルが下がる
  • 院内感染の心配がない
  • 通院負担の軽減により再診が増える
  • 居住地を問わず診療が可能
  • 患者さんの生活環境を把握できる
  • 会計やその時間が不要
  • 薬も自宅で受け取り可能

通院の必要がなく、受診のハードルが下がる

従来はクリニックまで通っていた患者さんが、オンライン診療に切り替えることでご自宅にいながら診察を受けられるようになります。

自宅から出ることが難しい患者さんにとって、通院しなくて良い点は大きなメリットとなるでしょう。

院内感染の心配がない

オンライン診療を活用する場合はクリニックに行く必要がないため、院内感染の心配がありません。新型コロナウイルスの感染防止につながります。

この他にも服薬指導についてもオンライン診療で可能となっており、通院をしなくてもいい場合が増えています。

通院負担の軽減により再診が増える

オンライン診療によって通院負担を軽減することができます。そのため再診の患者さんが増える可能性があります。病院までが遠い、または近くても仕事が忙しく時間がないなどの理由で通院できない人でも、オンラインであれば気軽に再診を受けやすくなるのです。

居住地を問わず診療が可能

例えば患者さんが遠方に引っ越した際、一般的には通院先を変更しますが、オンライン診療を導入していれば、自宅から診療を受けられますのでクリニックと自宅の距離は関係ありません。

また条件はありますが初診でもオンライン診療が可能となってきているため、遠方でもこの医師に診てほしいという患者さんも今後増えていくと予想されます。

患者さんの生活環境を把握できる

オンライン診療は自宅で受診することができるため、患者さんの生活環境を把握しやすい特徴があります。普段の体調や環境等の状態で医師に相談でき、家族が同席していい場合もあり、患者さんの生活環境をより理解しやすくなるのです。

会計やその時間が不要

オンライン診療ではクレジットカードやその他 Web上で支払いができるため、受付の工数削減になります。

また、会計の待ち時間をなくすことができるためその分患者満足度の向上が期待できます。

薬も自宅で受け取り可能

オンライン診療では薬の処方も可能で、薬を郵送して自宅で薬を受け取ることができます。薬を処方してもらうためだけに通院することが億劫になっている患者さんにとっては大変便利といえるでしょう。

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オンライン診療のデメリット

ここまでオンライン診療のメリットを説明してきましたが次のようなデメリットも挙げられます。

  • 通信トラブルによってスムーズに診察できないことがある
  • 診療点数が低い
  • オンライン診療に適さない疾患がある
  • 処方できる薬に限りがある
  • 初期費用・手数料がかかる
  • デジタル機器が苦手な高齢者が扱いづらい

通信トラブルによってスムーズに診察できないことがある

オンライン診療は通信状況によってはスムーズに診察を受けられない場合があります。患者さん側、クリニック側両方の通信状況がよくないと行えないうえ、通信においてなんらかのトラブルがあった時には診察できない場合があります。

診療点数が低い

オンライン診療は対面での診察と比べて診療点数が低い点がデメリットです。

初診・再診・外来診療料のオンライン診療における診療報酬は以下のように定められています。

(新)初診料(情報通信機器を用いた場合)251点
(新)再診料(情報通信機器を用いた場合)73点
(新)外来診療料(情報通信機器を用いた場合)73点

引用:4年度診療報酬改定の概要個別改定事項II情報通信機器を用いた診療(厚生労働省保険局医療課)

オンライン診療に適さない疾患がある

オンライン診療は生活習慣病をはじめとした継続治療や、軽度の治療に向いています。処置が必要な急性期症状が出ている場合や、レントゲンや聴診などの検査が必要はオンライン診療に適していません。

オンライン診療では対応できないと判断した場合には直接受診するよう案内しましょう。

処方できる薬に限りがある

オンライン診療では診察手段が限られることから、患者の心身の状態を正確に把握することや安全な処方が難しいとされる場合があり、処方できる薬に制限があります。

厚生労働省のオンライン診療の適切な実施に関する指針では「初診に以下の処方は行わないこと」として次のように記しています。

麻薬及び向精神薬の処方
基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する、特に安全管理が必要な薬品(診療報酬における薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤)の処方
基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する8日分以上の処方

引用:オンライン診療の適切な実施に関する指針(厚生労働省)

初期費用・手数料がかかる

オンライン診療の導入にあたり、初期費用や手数料がかかることが一般的です。初期費用無料のサービスもあれば月額数十万円かかる場合もあり、導入の際には機能や費用対効果を十分検討する必要があるでしょう。

デジタル機器が苦手な高齢者が扱いづらい

オンライン診療はスマートフォンを使うことが一般的ですが、高齢者などデジタル機器が苦手な方は扱いづらい場合があります。 また、病院やクリニックの担当者が操作できないこともあります。使い勝手はサービスによって異なるので、高齢の患者さんが多いクリニックはできるだけ高齢者でも使いやすいタイプを選ぶとよいでしょう。

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