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医師を辞めたいと思う10個の理由と勤務医以外の道

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意思を辞めたいと思う10個の理由と勤務医以外の道

医師の辞めたい理由として、ワークライフバランスの欠如、体調不良、コロナ関連の負担、人命の重圧、治療の失敗、人間関係、訴訟リスク、医局人事、待遇不満、病院経営の困難が挙げられます。退職後は転職や非常勤勤務、産業医やメディカルドクターとしての働き方も考えられます。上司には早めに意思を伝え、ポジティブな退職理由にすることが大切です。

本記事では、医師を辞めたいと思う10の理由と病院での勤務以外での働き方を詳しく説明していきます。

医師が辞めたいと思う理由

医師が辞めたいと思う理由として、次のような内容が挙げられます。

  • ワークライフバランスがとれない
  • 体調不良
  • 新型コロナウイルス関連の問題
  • 人の命の重さ
  • 治療がうまくいかない
  • 人間関係
  • 訴訟リスク
  • 医局人事
  • 待遇面
  • 経営が難しい

ワークライフバランスがとれない

一般的に勤務医は拘束時間が長く、宿直であれば病院に泊まっている日もあります。さらには休日であっても突然出勤になるケースも少なくはなく、自分の時間が持てないことが少なくありません。そのためワークライフバランスがうまく取れず辞めていく医師は少なくありません。

体調不良

医師は実労働時間が長く休日であっても急に出勤する必要があることもあります。また患者の命を授かることからプレッシャーが大きく、体調を崩す医師は少なくありません。そのため体調不良は医師が辞めたいと思う大きな理由の一つです。

新型コロナウイルス関連の問題

新型コロナウイルスへの対応は医師にとって大きな負担となっています。あまりにも負担が大きすぎることから医療の現場から去りたいと思っている医師は少なくありません。新型コロナウイルスの影響は深刻でありさらに長期間続いていることから、医療従事者への負担は日に日に増している状況です。

また拘束時間のような身体的負担だけではなく、精神的な負担も少なくありません。 特に新型コロナウイルス患者を受け入れてる病院においては、離職をする人が多くなり人手不足から十分な対応ができず、患者から批判を受けることもあります。

人の命の重さ

医師は人の命を左右する仕事であり、そのプレッシャーに耐え切れずに辞めていくケースも少なくありません。医療現場においては小さなミスも許されないため、医師をはじめ医療関係者は常に気を張っている状態です。特に命に関わるような治療や手術をする場合のプレッシャーは計り知れないものがあります。
仮に正しい治療や出術をしたとしても、患者さんや家族から恨まれることもあります。そうした重圧とストレスに耐えられずに精神を病んでしまう人もいます。

治療がうまくいかない

善処していても治療がなかなか上手くいかないときもあるでしょう。患者さんを助けられず無力感を感じたり、失敗が続いて他の医師、看護師などに迷惑をかけていると感じたりすれば辞めたいと思っても不思議はないのです。

人間関係

患者や看護師、また他の人の人間関係がうまくいかず退職したいと考えている場合もあります。 業務内容にいくら満足してたとしても人間関係の悩みが大きければストレスを抱えやすい環境となってしまいます。また患者や看護師だけでなく病院の関係者との関係性が悪くなってしまうと、仕事以上に苦労している医師もいます。

特に大学病院では様々な科があり多くの医師がいるため、それぞれの科で派閥が出来てしまい他の科との交流を断っているところもあります。そうなると他の科の医者からは疎まれてしまうのです。そのため他の科の先生から嫌われていると自覚すると勤務を続けていくのが困難になってしまいます。

訴訟リスク

医師にとって医療訴訟は最も避けたいことの一つでしょう。一度医療訴訟が起こると、精神的や金銭的、その他にも医師に対する影響が大きな負担となります。

全力を尽くして治療にあたっても助けられないこともあるでしょう。ただでさえ悔しさを感じているなかでさらに訴訟まで起きてしまったら、とてもつらく感じるのも無理はありません。

医局人事

医局人事は専門的な知識や技術を持った医師を、それぞれの病院に配置することが目的です。知識や技術を持った医師が配属されることによって医局員を教育することが可能です。また一つの職場に同じ人が長くいることによってシステムや人間関係が偏りがちになります。そこで定期的に適度な移動をする必要があります。

しかし、頻繁に職場環境が変わるのは、医師にとって負担になることがあります。時には思いもしなかったような異動通知があることもあるでしょう。このようなケースにおいて辞めたいと思うこともあります。 

待遇面

医師の業務は当直で月に数回病院に泊まったり土日でも出勤することがあるなど拘束時間が長いのが特徴です。さらに休日でも呼ばれることがあり、自分の時間をほとんど取れない医師も少なくありません。
このような過酷な職場環境にありながら十分な待遇を受けてない場合もあります。仕事内容に対して待遇が見合っていないと辞める原因の一つとなります。

勤め先の経営が厳しい

自分自身は医師として続けたくても、勤めている病院の経営が厳しければやめざるを得ない場合があります。続けて勤務できる場合でも待遇面で下がってしまったりより厳しい勤務環境になったりなど結果的に続けられなくなることは少なくありません。

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やめたくなったとき思い出したいこと

医師を辞めたいと思ったときは下記のことを思い出してみましょう。医師という職業のポジティブな面を思い出すことができるかもしれません。

  • 担当してきた患者さんのこと
  • 高収入であること

担当してきた患者さんのこと

医師は患者の命を預かる重要な仕事です。プレッシャーにもなり得ますが、だからこそ患者が徐々に元気になっていく様子を見ることに大きな喜びを感じられるともいえるのではないでしょうか。また病気やケガから回復した患者や家族などから感謝されることによって、やりがいを感じる医師は少なくないでしょう。

高収入であること

医師の給与は働く病院や役職、診療科などによっても異なりますが第22回医療経済実態調査において2019年の医師の平均年収は1,169万円、また病院に勤務している医師の平均年収は1,491万円と報告されています。

あくまで目安にしかならないのですが、医師の平均年収は高めに設定されており生涯年収で考えると日本で最も稼げる職業の一つです。そのため医師を辞めたいと思っていても、高収入であることを理由に辞めないケースは少なくありません。 

やめたい気持ちを抱えたときは

医師が辞めたい気持ちを抱えたときは、次の方法で対処することがおすすめです。

  • 不満な点を上司に相談する
  • 仲の良い同期や先輩に相談する
  • ストレスを発散する

不満な点を上司に相談する

不満な点があって辞めたい気持ちがあるときは、直属の上司に相談する方法があります。内容によっては、上司が対処できたり話を聞いてもらうことで楽になったりすることがあるのです。ただし単に不平不満を話すようであれば、評価が落ちるかもしれないので注意をしましょう。

仲の良い同期や先輩に相談する

上司に相談しにくい、悩みの種が上司である場合は仲の良い同期や先輩に相談することも効果的です。話してすぐに解決することがなくても、思いを共有するだけで気持ちが楽になるものです。悩みの内容によっては同期や先輩がいいアドバイスをくれる可能性もあります。

職場で相談できる人がいない人は外で友人を作りましょう。同じ職場にいないからこそ気軽に相談できますし、仕事以外の話題も盛り上がりやすいはずです。

ストレスを発散する

日頃の業務においてストレスが貯まっている場合は、ストレスを発散することも重要です。同じことをしていても、ストレスを発散することで考え方や感じ方が変わることもあるでしょう。普段忙しい医師であっても、時間をかけずにストレスを発散する方法を持つことをおすすめします。

体を動かしてスポーツをしたり、ジムなどでトレーニングしたりすることは気分転換に最適です。適度な運動は自律神経のバランスを整えてストレスを軽減する効果もあります。

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環境を変える手段

医師を辞める場合、環境を変えるために次のような手段が挙げられます。

  • 転職する
  • 非常勤・スポット勤務にする
  • 産業医として働く
  • 介護老人保健施設で働く
  • メディカルドクターになる
  • 開業する

転職する

環境を変える手段としてまず挙げられるのが転職をすることです。勤務先の病院を変えることで、ワークライフバランスや待遇、人間関係など現在抱えている問題を解決できます。辞めたいと思う原因を整理して、解決できるような病院を探すことが大切です。

非常勤・スポット勤務にする

常勤は安定した勤務や収入を得られますが、激務になりやすいという問題もあります。常勤医師を辞め非常勤やスポット勤務にする方法があります。基本的に業務内容が同じであり、拘束時間を始め負担を減らすことは可能です。

非常勤はアルバイトやパートに該当する働き方であり、勤務時間や働く曜日をある程度自分で設定することが可能です。スポット勤務は日雇いに該当する働き方であり、人手不足の場合に呼ばれる可能性が高いです。

中には複数の病院に非常勤やスポット勤務として働いている医師もいます。また自分で開業しておいて空いた時間にスポット勤務に出ることも可能です。医師は、自分のライフスタイルに合わせて就業形態を選ぶことができます。

産業医として働く

産業医とは、健康診断や面接指導など労働者の健康の保持増進を図るために多くの企業が設定している職務のことです。 業務内容は医師と変わりありませんが、医師の対象者が患者であるのに対して産業医の対象者は勤めている企業の労働者になります。 医師の目的は病院に訪れた患者の治療が主ですが、産業医は労働者の健康管理が大きな目的です。

そのため、労働者の心身の状態だけでなく職場環境もチェックします。ストレス度をチェックして、メンタルヘルス不調者が出た場合はその原因を探り対策を考えなくてはなりません。また、産業医は企業から依頼を受けて、その会社の社員が抱えている問題を一緒になって考え解決へと導くことも仕事に含まれています。

産業医には「専属」と「嘱託」の二種類が存在します。
専属の場合、契約した期間のみ働くことができます。契約期間が満了したら次の会社と契約を更新していくことになります。
嘱託の場合は一定の条件を満たしていれば複数の企業と契約することが可能で、一つの企業で働く期間は最長でも三年以内となります。

介護老人保健施設で働く

介護老人保健施設は介護が必要な人たちの在宅復帰を支援するのが目的です。復帰をするためのリハビリが主な目的であり、リハビリ専門職の配置が充実しています。介護老人保健施設で働く医師は施設長として統括していることが一般的です。つまり医師として働く他に管理職者になります。

介護保険法において入所者100名に対して常勤医師を配置することが必要であり、 医師の需要が下がることはありません。責任ある仕事ですが当直や休日出勤がほとんどないことから、比較的負担は軽くできるでしょう。

メディカルドクターになる

メディカルドクターとは製薬会社に属している医師のことです。主な業務内容としては臨床開発や安全性評価、その他にも市販後の調査を行うこともあります。

臨床開発とは、新薬開発部において厚生労働省をはじめとして行政機関へ申請するために必要なデータを分析してレビューをします。安全性評価とは、新薬が安全に服用されているかを調査します。臨床試験では見つからなかった副作用が見つかる可能性もあり、重要なプロセスです。
市販後の調査とはメディカルアフェアーズともいわれ、自社の薬が市場においてどれほどのシェアを伸ばせるか、どのように評価されているかといった内容を調査していきます。きわめて専門性が高い業務であり、医師のように経験豊富な人でないと勤まらない業務です。

これらのように、メディカルドクターは患者に対して対応するのではなく、研究開発に没頭することが求められます。そのため、研究職に進みたい医師にはおすすめの仕事です。メディカルドクターに必要な資格は医師免許だけであり、医師が他に資格を取得する必要はありません。

開業する

思い切って開業するという手段もあります。特に承継開業であれば比較的初期投資も少なく開業できます。開業して自分の好きなように治療方針を決められるので、医師としてのやりがいを強く感じられるようになるかもしれません。

もし経営に失敗してしまえば多額の借金を抱えることにもなりかねませんし、最悪の場合廃業に追い込まれることもあるかもしれません。
リスクはありますが、開業することで自分の意思で診療ができ、現在悩んでいることも自分の力次第で解決できる可能性があります。これまで休めなかった医師にとっても、自分で休みの日を設定することができるので、ワークライフバランスに力を入れることも可能です。

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退職する際のマナー

退職を決めた場合、次のようなマナーに気を付けることが重要です。

  • 退職の意思はなるべく早めに伝える
  • 直属の上司に個別の時間をもらい伝えること
  • ポジティブな退職理由にする

退職の意思はなるべく早めに伝える

退職をする場合病院側は他の医師を探す必要があります。高齢化社会や少子化が進む現在の日本において人材確保が難しくなっており、出来るだけ早めに退職の意思を伝えることが重要です。

直属の上司に個別の時間をもらい伝えること

どれほど人間関係で悩んでいたとしても、これまでお世話になってきた直属の上司に個別の時間をもらって退職の意思を伝えましょう。今後どのような縁で現在の上司に会うことがあるかわかりません。嫌な関係のまま退職をしないことが重要です。

ポジティブな退職理由にする

現在の職場においてどれほど悩んでいたとしても、決してネガティブな要素を退職理由にしないようにしましょう。例えば「開業するために退職をしたい」といったポジティブな要素であれば病院側も納得して応援してくれる可能性があります。これまでお世話になっていた病院に対して、跡を濁すような退職の仕方はお勧めできません。 

まとめ

医師は勤務時間が長く病院で泊まる必要がある場合や、休みの日であっても急な出勤になることもあります。また、患者の命を預かる職務でありプレッシャーが大きく、様々な面において辞めたいと思うことは全くおかしいことではありません。

しかし、一般職と比べて高収入であることや患者からのお礼の言葉などから辞めたいと思っても踏みとどまる医師は決して少なくありません。

医師が病院を辞める場合、開業したり介護老人保健施設で働いたり、産業医になったりするなど様々な転職先や働き方が挙げられます。体調に影響が出ていたり限界を感じるようであれば無理に続けず、転職や働き方を変えることを検討してみましょう。

いずれの場合においても直属の上司に前もって相談をしたり退職の意思を早めに伝えたりするなどマナーを守るようにしましょう。

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この記事の監修者

田中 宏典 <専門領域:医療経営>

株式会社エムステージマネジメントソリューションズ代表取締役。医療経営士1級。医業承継士。医療機器メーカー、楽天を経て株式会社エムステージ入社。医師紹介事業部の事業部長を経て現職。これまで、病院2件、診療所30件、介護施設2件の事業承継M&Aをサポートしてきた。エムステージグループ内のM&A戦略も推進している。

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