病院やクリニックを閉院したい!閉院までの流れやメリットデメリットは?

お役立ち 2021/10/28

高齢化や後継者不足といった病院業界の近年の傾向に加え、コロナ禍による収益悪化などの問題が重なり、当社には病院やクリニックの閉院に関する相談が相次いでいます。

閉院はどのように進めれば良いのでしょうか。閉院までの流れとともに、メリットやデメリットもご紹介します。

医療法人を解散するときの流れ

医療法人が運営する病院を閉院する際にはただ経営を終了すれば良いわけではなく、必要な手続きや提出しなければならない書類などがあります。

医療法人が運営する病院と個人が運営するクリニックや診療所では閉院の流れが異なりますので、それぞれの場合を確認しておきましょう。

まず、医療法人を閉院(解散)する場合。医療法人は、医療法第55条*に定められている通り、解散する理由によって提出書類や手続きが異なります。

医療法第55条 社団たる医療法人は、次の理由によって解散する。

一 定款をもつて定めた解散事由の発生
二 目的たる業務の成功の不能
三 社員総会の決議
四 他の医療法人との合併(合併により当該医療法人が消滅する場合に限る。次条第一項及び第五十六条の三において同じ。)
五 社員の欠亡
六 破産手続開始の決定
七 設立認可の取消し

引用:厚生労働省『医療法( 昭和23年07月30日法律第205号)』

解散認可申請が必要な場合

医療法第55条における「二 目的たる業務の成功の不能」と、「三 社員総会の決議」の場合、解散認可申請が必要になります。

解散認可申請に必要な書類

  • 解散の理由書
  • 解散を決議した社員総会または理事会および評議委員会の議事録
  • 財産目録および貸借対照表
  • 残余財産の処分方法を記載した書類
  • 解散及び清算人就任を登記した登記事項証明書(履歴事項全部証明書)原本

解散届の提出が必要な場合

医療法第55条における「一 定款をもつて定めた解散事由の発生」と、「五 社員の欠亡」の場合、解散届を提出する必要があります。

社員の欠乏なくほかに医師がいた場合でも、病院を承継する医師がいない場合には、社員総会による決議を経て解散認可申請を行う必要があります。

解散届の提出に必要な書類

  • 医療法人解散届
  • 解散を決議した社員総会または理事会および評議委員会の議事録
  • 財産目録および貸借対照表
  • 残余財産の処分方法を記載した書類
  • 解散及び清算人就任を登記した登記事項証明書(履歴事項全部証明書)原本

解散認可申請や解散届の提出後に必要な手続き

  1. 解散の登記(合併、破産手続き開始の決定以外のみ必要)
  2. 精算人就任の登記
  3. 医療法人解散登記完了届
  4. 清算人の就任登記届の届出
  5. 清算手続き(2か月以内に3回以上の公告を官報に記載)
  6. 清算結了の登記
  7. 清算結了届の届け出

このほか、出資持分の払い戻しなどの対応も必要になります。

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個人経営のクリニックや診療所を閉院するときの流れ

医業承継‗閉院病院画像

個人が運営するクリニックや個人診療所の閉院する際の流れは、医療法人の病院の閉院のときの流れとは異なります。施設のある管轄の保健所や厚生局などの各窓口へ必要書類を提出する必要があります。

必要書類と提出先

個人経営のクリニックや診療所を閉院する際に必要な手続きは、以下になります。

各都道府県によって異なる場合があるので、閉院が決まったら各都道府県の病院・医療機関向け公式ページでも確認しましょう。

  • 保健所ー診療所廃止届または開設者死亡(失踪)届、エックス線廃止届
  • 厚生局ー保健医療機関廃止届
  • 各都道府県ー麻薬施用者業務廃止届
  • 福祉事務所ー生活保護法指定医療機関廃止届
  • 医師会ー退会届
  • 税務署ー個人事業廃止届
  • 各都道府県税事務所ー個人事業廃止届
  • 医師国民健康保険組合ー資格喪失届
  • 年金事務所ー適用事業所全喪届 、被保険者資格喪失届
  • 労働基準監督署ー確定保険料申告書

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病院やクリニックを閉院するときの注意点

病院やクリニックを閉院するには、各関係機関へ手続を行って終了というわけではありません。

勤務するスタッフや通院患者への対応、賃貸物件の場合には解約手続きや内装工事、機器の廃棄なども行う必要があるので、閉院が決まったらスケジュールを立てて漏れなく対応するようにしましょう。

スタッフや通院患者には、閉院3カ月前までには告知を

少なくても閉院予定日の3カ月前までには勤務するスタッフに閉院する旨を伝え、通院患者への説明を協力してもらわなければなりません。

規定があれば退職金の支払いや、退職する際の社会保険手続きなども行う必要があります。通院患者にも閉院の2~3カ月前までにはほかの病院を探し、引継ぎを行うなどの配慮をするようにしましょう。

閉院後も続く、診療データの保管義務

病院には閉院後も、患者の診療データを一定期間保管しておく義務があります。

・カルテ(5年)

患者のカルテの保管期限は過去5年分**ですが、民法に基づく患者とトラブルがあった際の実賠償請求の期限は10年なので、念のため過去10年分を保存している病院もあります。

**厚生労働省『医師法( 昭和23年07月30日法律第201号』

・レントゲンフィルム(3年)

レントゲンフィルムは、診察終了から3年間の保存***が義務づけられています。これ以外にも病院の閉院後も保管しなければならない物品があるので、うっかり廃棄したりしてしまわないようよく確認する必要があります。

***厚生労働省『医療法施行規則第30条』

閉院時に気をつけたい、機器や医薬品の処分方法

X線機器を廃棄するときは、廃棄証明書取が必要になります。また、残った医薬品も返品が可能かを調べ、返品できない場合は自分で処分しなければなりません。

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病院やクリニックを閉院するメリット

医業承継‗メリットデメリット画像

このように、煩雑な手続きや注意すべき点が多いことの多い病院やクリニックの閉院。閉院する前には、「本当に閉院すべきか」をよく考えるようにしましょう。

その際に判断材料となる、病院を閉院するメリットとデメリットを見てみましょう。

閉院するメリット①自分のタイミングで引退や転職できる

後継者がいなくても自分が希望する時期に引退できたり、違う職種や開業医から勤務医への転職などをすることができます。

閉院するメリット②後継者問題や経営に煩わされない

後継者がなかなか決まらず家族も一緒に悩んでいたり、経営不振に悩む病院やクリニックは多いですが、閉院してしまえばそのような悩みも解消されます。

病院やクリニックを閉院するデメリット

一方、病院やクリニックを閉院することによるデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

閉院するデメリット①通院患者がかかりつけ医を失う

経営者自身のデメリットではありませんが、閉院するということは通院の患者は継続治療が難しくなり、ほかの病院やクリニックに移ってもらわなければならなくなります。

また、地域医療が失われることにも繋がります。

閉院するデメリット②勤務スタッフが職を失う

これも経営者自身のデメリットではありませんが、自身が雇用している病院やクリニック勤務のスタッフが離職しなくてはならなくなります。

閉院デメリット③閉院するために多くのコストがかかる

一番大きなデメリットとして、病院やクリニックを閉院するには以下のようなコストがかかってしまうことが挙げられます。

  • 建物の原状回復又は取り壊しの費用
  • 借入金の残債の清算
  • 医療機器などの処分費用
  • 医療機器、医薬品などの医療廃棄物の処分費用
  • 規定がある場合は、従業員の退職金
  • 登記や法手続きに関する費用

これらの閉院にかかるコストはかなり大きな金額で、弊社のコンサルタントによると病院によっては1,000万円以上かかってしまうということもあるそうです。

まとめ

このように、病院やクリニックの閉院には煩雑な手続きとともに、メリットだけでなくデメリットも多いのが実情です。閉院を考えている方は、合わせて病院やクリニックの売却も検討されてみてはいかがでしょうか。

閉院の手間やコストがかからず、むしろ譲渡益が得られるケースも多くあります。病院やクリニックなど医療機関の売却は専門知識や実務経験の有無が非常に影響があるので、専門家に相談するようにしましょう。

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