「手術室付き施設を承継したい」買い手からの難しい要望通りの売り手を探してご紹介。首都圏・整形外科クリニックの承継事例

【売り手側】Sクリニック 院長Tさん（68） ：2つ経営しているクリニックを1つに絞り、経営効率化を図るため譲渡を希望

今回譲渡を希望されたのは、首都圏で整形外科の医療法人クリニックを2つ経営されている、60代の院長Tさんです。医師である息子さんに自分の経営するクリニックを引き継がせるにあたって、1つに集中させ効率的に経営したいと考えていました。

そこで、Sクリニックの方を譲渡しようと考えたのですが、ここはクリニックにも関わらず手術室やCTやMRIなど高額な医療機器があったりと、内装を工事して大規模に変更していたため、もし医療施設を運営しない方に譲渡する場合、原状復帰費用にかなりの金額がかかってしまうことが予想されます。したがって、承継する相手先として、今ある設備や機器ごと承継し、そのまま使ってクリニック経営を行ってくれる方を探されていました。

【買い手側】Y病院 勤務医Aさん（42）：首都圏にあり、施設内に手術室などの設備を持っている案件を希望

Y病院に医師として勤務されているAさんは、現在勤務医として手術を多く行っていて売上を上げていることもあり、独立して開業したいと考えていました。条件としては、首都圏にあり、手術室や医療機器も一緒に引き継げるような案件を探されていました。

成約の決め手は、なかなか無い買い手の条件にぴったり合った売り手の案件を、タイミングよく紹介できたこと

通常、なかなか手術室や医療機器付きの案件はないので、コンサルタントがお話を伺った際はマッチングが難しいと考えていたのですが、翌月に売り手であるSクリニックのお話をいただいたのです。

Sクリニックは首都圏にあり手術室や医療機器ごと引き継げる案件という、まさにAさんの要望にぴったりの案件だったことで、Aさんにお話したところ「進めてください！」と即答していただきました。Aさんにとっては、医療機器も含めて相場よりかなり破格で承継することができます。

また、売り手のTさんにとっても、そのままクリニックを閉鎖すれば、医療機器の廃棄費用など原状復帰に多額のお金がかかってしまったかもしれません。Aさんに承継すれば、施設を引き取ってもらえるだけでなく数千万円もの譲渡対価も手に入れられるので、まさに願ったり叶ったりです。

こうして、タイミングよく売り手と買い手双方の希望を叶えるマッチングをさせることができたのも、独自で有する医療機関ネットワークが1.5万件以上という、エムステージの案件の豊富さに由来するものでしょう。

仲介会社として、工夫したポイント

まず、今回の承継案件は、売り手である院長のTさんから「1カ月のうちにSクリニックの承継先を決めたい」というご要望とリミットがありました。スピード感を求められる案件だったため、コンサルタントは急ピッチで諸条件を整理して調整しながら契約書に落とし込みました。また、承継相手が決まりやすいよう、譲渡価格の設定などを売り手に提案しました。

税制面でも工夫をしており、今回だいぶ安い価格で医療機器付きの施設の譲渡価格を設定したため、“低廉譲渡”と見られてしまわないよう、税理士に相談し慎重に承継のスキームを構築したのです。

Aさんが承継するSクリニックは、施設も広かったため賃料も高額です。また、保守費用として年間に数千万円ものコストが発生します。さらに、売り手の院長Tさんが名の知れた先生だったので、承継して院長が変わると患者が離れてしまい経営難になるのではないかと見られ、金融機関からの融資はかなり難易度が高かったのです。

そこで、コンサルタントが買い手のAさんと一緒にシュミレーションしながら事業計画を練り、なぜ承継して開業するのかということをしっかり金融機関に説明しました。加えて、コンサルタントがAさんに借入金額を多くするようアドバイスしたこともあって、金融機関からの融資も降り、無事クリニックを承継することができたのです。