【関東×内科】将来を見据えた情報収集が最適なマッチングを実現した事例

【関東×内科】将来を見据えた情報収集が最適なマッチングを実現した事例
エリア | 関東 |
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診療科目 | 内科 |
運営組織 | 医療法人 |
譲渡理由 | 働き方の変更 |
運営年数 | 70年 |
医院継承を成功させるには、売り手と買い手の条件や相性の一致はもちろんのこと「事前の情報収集」も重要な要素です。
本事例では、買い手の先生は東北の人口減少や子どもの教育環境から関東への移住を決断し、産業医の経験も活かせるエリアをご自身でも入念に調査していました。
一方で売り手の先生は、父親の急逝によって予期せずクリニックを継承し、経営マネジメントに苦しみワークライフバランスの改善を望まれていました。
本事例では買い手の先生による事前の情報収集の重要性と、双方にとって最適なマッチングが実現できたポイントを紹介します。
【売り手側】関東の都市部で約70年もの歴史を持つ内科
売り手となった林クリニック(仮称)は、関東の都市部でさらに駅チカという好立地なオフィスビルの一角にあります。
1950年代に開業した林クリニックは内科・消化器内科を専門とし、産業医としての業務も行いながら地域医療に貢献してきました。
都市部ゆえに、周辺には自由診療をメインとしたクリニックが数多くあります。
その中で林クリニックは保険診療をメインに行い、周辺企業と産業医としての契約も持っていたことから、競合の多い地域でありながらも安定した経営を長年続けてきました。
2代目院長の急死により息子がクリニックを継承
林クリニックの2代目院長は、体調面において多少の不調はあったものの、特に重篤な病気などを患ったわけではなく、そのまま順調に診療を継続されていました。
しかしある日突然、病気で亡くなられてしまいます。
突然の出来事だったことから、クリニックの引き継ぎなどは十全に行えない状態でした。
そこで急遽、2代目院長の息子となる林先生(仮名)が、3代目院長としてクリニックを継承することになったのです。
しかし、3代目院長となった林先生は元々開業医になりたかったわけではなく、継承当時も別の病院で勤務医として働いていたため、クリニックの経営は大きなプレッシャーや負担となりました。
クリニックの経営に集中するべく、趣味に割く時間は少なくなり、家族との時間も十分に取れない状況が続きます。
継承から約8年が経過してクリニックの経営は安定していましたが、仕事とプライベートとのバランスが取れない生活スタイルに、ストレスを抱えていたのです。
このような状況から、院長の林先生は自身のライフワークバランスを考え、クリニックの売却を検討されます。
買い手候補者が見つかるものの契約直前で破談に
私たちにご相談いただく前に、院長の林先生は別の買い手と交渉を進められていました。
一度は契約締結の直前まで進んだものの、以下の理由から最終的に破談してしまいます。
- ・現場の医師の意向を考慮せず経営マネジメントを優先する傾向にあった
- ・そもそも経営者が医師ではなくクリニックの経営実績も無かった
- ・院長の林先生が勤務医として残る場合の条件(主に勤務時間)が厳しかった
- ・最終的な金額面でも折り合いがつかなかった
特に院長の林先生は「家族や自分の時間をしっかりと取りたい」という思いから、クリニックの売却を検討されました。
しかし、クリニック承継後に勤務医として残る場合、売上に関するノルマが課せられたり勤務時間も現状とあまり変わらなかったりなど、厳しい条件を要求されたのです。
これではクリニックを手放したとしても「プライベートもしっかりと充実した生活スタイル」は実現できないと判断し、院長の林先生は契約を見送ることにしました。
最初のマッチングでこのような経験をしてしまったことから、林先生は医院継承そのものに対して不信感を抱くようになり「また同じような展開になるのではないか」と、承継に対して後ろ向きな気持ちになっていました。
【買い手側】東北で内科・消化器内科を経営している50代前半の理事
林クリニックの買い手となったのは、50代前半で理事兼院長の佐々木先生(仮名)です。
佐々木先生は父親が創設した医療法人で、理事兼院長として約7年間「佐々木クリニック(仮称)」の経営に携わってきました。
内科・消化器内科を専門とし、産業医としても豊富な経験を持つ佐々木先生は、東北での事業拡大を検討していたことから、以前より私たち「エムステージマネジメントソリューションズ」に登録をしていただいていました。
しかし、一方で東北の人口が減少傾向にある為、東北で事業拡大を図る事が正解なのかどうか考えるようになり、将来の経営環境に不安を覚えるようになります。
クリニック運営の将来性や家族の環境を考慮して関東への移住を決意
理事の佐々木先生には3人のお子さんがおり、一番上のお子さんが中学進学を迎えるタイミングで教育環境についても深く考えるようになりました。
高校や大学の進学、その後の就職先など子どもの将来性を考えた場合に、関東の都市部に移住したほうが良いと考えたのです。
さらには東北の人口減少も今後の経営における大きな不安材料となり、関東への移住を後押ししたわけです。
そこで私たちにも「状況が変わりまして、関東で承継開業できるクリニックを探したい」と、すぐに連絡をくださいました。
理事の佐々木先生から連絡をいただいたタイミングで、私たちはちょうど林クリニックからも売却の相談を受けていたのです。
面談から約3か月という早さで成約が実現
私たちが理事の佐々木先生から関東での承継開業のご相談を受けた際、すぐに林クリニックが頭に浮かびました。
両医師の専門分野(内科・消化器内科、産業医経験)や状況の類似性から、相性が良いと確信したのです。
初回の面談でも両医師はすぐに意気投合し、買い手側となる理事の佐々木先生の産業医としての豊富な経験やノウハウは、院長の林先生にとっても非常に参考になるものでした。
また、お互いの人柄も本当に素晴らしかったため、信頼関係もすぐにできていました。
結果として、今回のマッチングは面談から約3か月という早さで成約成立となっています。
本事例のポイント
医院継承の成功にはさまざまな要素が影響しますが、本事例は特に「買い手の先生の事前準備」と「両医師の相性」によって最適なマッチングを実現しました。
ここでは、最適なマッチングを実現した本事例のポイントを3つ解説します。
売り手側の承継に対するネガティブな状態を払拭
売り手となる院長の林先生は、過去の破談経験によって医院継承に対して消極的な状態でした。
私たちはそのような状態を払拭するためにも、本事例の買い手は「診療をしていて現場も良く理解されている先生」が最適だと判断し、タイミングも相まって理事の佐々木先生をご案内しました。
両医師はさまざまな点において共通点があり、さらには理事の佐々木先生は人柄も大変良かったためです。
主に以下のポイントによって、院長の林先生も本事例の承継に前向きになったと考えられます。
【専門分野の共通性】
買い手となった理事の佐々木先生は、院長の林先生と同じく内視鏡検査も行えて産業医としても活躍していた。
【お互いに価値のある関係性】
理事の佐々木先生の産業医としての実績は、院長の林先生にとっても学びの機会となった。
【医師同士の理解】
同じ医師として、現場で診療しながらクリニック経営をしていた。
【誠実な人柄】
理事の佐々木先生の経営者としての実績や人柄が非常に良かった。
売り手側はライフワークバランスを実現
売り手となった院長の林先生は、理事の佐々木先生の人柄も良かったことから、クリニックに安心して残留でき、当初の希望通りのワークライフバランスを実現しました。
【本事例の売り手側のメリット】
- ・1週間あたりの勤務日数の軽減
- ・経営マネジメントからの解放
- ・趣味のバドミントンや家族との時間を確保できた
また買い手となった理事の佐々木先生も、2人体制になることで週7日の診療体制も可能になり、患者サービスや売上の向上が見込めます。
売り手と買い手の共通点が多く、医師としても経営者としても苦労を理解し合えるからこそ、お互いに最適な承継を実現できたと言えます。
買い手側の徹底した事前調査が最適なマッチングを実現
買い手となった理事の佐々木先生が、東北から関東へと承継開業の状況が変化したにもかかわらず最適なマッチングを現した背景には、事前の緻密な情報収集も大きく関係しています。
理事の佐々木先生は内科医として、また産業医としての専門性を活かせる関東のエリアを自主的に調査されていました。
特に産業医としての経験も活かすため、企業が集中しているエリアを重点的に調査していたのです。
また、私たち「エムステージマネジメントソリューションズ」にも早くから登録され、新しく入った案件情報はしっかりと目を通し、気になる案件には積極的に質問もされていました。
理事の佐々木先生から積極的に担当アドバイザーとコミュニケーションを取っていたこともあり「林クリニックの売却の相談」が来た際にも、すぐにご案内ができました。
そして買い手候補者が複数いる中で、理事の佐々木先生の即断即決の姿勢も最終的な決め手となったのです。
このように、承継開業を検討している先生自身が積極的に情報収集することで、決断すべき機会が訪れた際にも躊躇なく意思決定ができます。
本事例は、買い手側の先生があらかじめ入念に情報収集を行い「見逃してはいけないタイミング(案件)」を理解していたことも、最適なマッチングを実現した大きな要因と言えます。