【関西×内科】購買力のある買い手候補を厳選することで高額の医院継承を実現
【関西×内科】購買力のある買い手候補を厳選することで高額のクリニック譲渡を実現
エリア | 関西圏 |
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診療科目 | 内科、皮膚科 |
運営組織 | 個人経営 |
譲渡理由 | 家庭の事情と健康上の理由 |
運営年数 | 17年 |
目次
高い業績を上げているクリニックは、時間をかければ相応に高い譲渡対価でのM&Aを実現できるでしょう。しかし、M&Aでは売り手の事情によって時間が限られているケースや、急いで承継したいケースもあります。本件は、そのような売り手の希望に添って早期の承継が実現できた事例をご紹介します。
【売り手側】糖尿病治療で広いエリアの患者に頼られるクリニック
豊島クリニック(仮称)は、関西圏の人口20万人ほどの某市で15年ほど前に開院しました。診療科目は内科と皮膚科を掲げています。
複数の診療科を掲げてはいるものの、実際には内科、特に糖尿病治療に力を入れており、地元の糖尿病患者には広く知られていました。市の中心部からやや外れた場所であったにもかかわらず、市内はもちろん周辺の市町村からも通う患者もいて、少ない日でも60~70名、多い日は1日に100名以上の患者が来院していました。
同院が糖尿病患者から広く支持されていた背景には、クリニックとしてはめずらしく、糖尿病の治験に非常に力を入れていたこともあります。SMO(治験施設支援機関)企業からの評価も高く、担当としてCRC(治験コーディネーター)が1名、常勤で毎日クリニックに通っていたほどです。
治験での実績が高い同院では糖尿病の新薬などの情報入手や利用も他院に先駆けて可能となります。それが患者からの評価にも繋がり、ますます患者が集まるという好循環を生んでいたのでした。
治験による高い業績
豊島クリニックは、平均で80~90名ほどの患者数があり、常勤医師が2~3名で診療していてもおかしくありませんでした。しかし、実際には院長の豊島先生(仮名)がほぼすべて行っていたのです。豊島先生以外の非常勤医師は週に1回、半日を担当しているだけで、医師以外のスタッフは看護師と検査技師が計5~6名でした。
毎年の売上は治験収入も合わせて2億円前後あり、コンスタントに1億円以上の利益を残すかなり優秀な業績です。
なお、クリニックの不動産に関して、土地は他人が所有で豊島先生が借地権者、建物は豊島先生の個人の保有でした。
複数の事情が重なり、クリニック売却へ
豊島先生は、いずれは県内外にクリニックを増やして経営拡大をしたいという希望をお持ちでした。
ところが、いくつかの事情が重なり、クリニック経営を続けることが難しくなってしまいます。それは、ご家族に関する事情と豊島先生の体調問題でした。
それぞれの問題だけであれば乗り越えられたかもしれませんが、2つの問題が同時期に発生してしまったことにより、クリニック経営を続けることが難しくなってしまったのです。
親族内にはクリニックを承継できる医師はいませんでしたが、多くの患者に頼られているクリニックを閉院するという選択肢は考えられません。そこで、なるべく急いで承継を実現したいというご意向で、私たちにご連絡いただきました。
【買い手側】クリニック譲り受けに実績のある事業法人
譲り受け手となったのは、西日本で給食事業やリネンサプライ事業、その他複数の事業を展開している株式会社ふたば(仮称)です。
株式会社ふたばは医療・介護の関連事業ということもあり、数年前にM&Aで医療法人を譲り受けた後、数院の病院、クリニックをM&Aで譲り受けて経営しています。医療機関以外にもM&Aの経験は豊富で、グループ全体として業績を大きく伸ばしている高成長企業です。
医療機関と周辺事業でのシナジーを活かしながら多角化展開で成長をしていますが、その事業展開の一環として高収益の豊島クリニックに強い関心を示されました。
高収益クリニックならではの留意点
私たちが譲り受け候補の探索をはじめるとすぐに多くの買い手候補が、譲り受けの意向を表明してくれました。
ただし、交渉のネックになりそうだったのが譲渡対価です。最初に述べたように豊島クリニックは収入、利益ともにかなり高い実績を上げていました。さらに本件は、クリニック不動産も豊島先生の個人所有であるため、その譲渡も含まれます。そうすると譲渡対価は1億円台後半~2億円近い金額になることが見込まれます。
一方で、豊島先生はなるべく早期の譲渡を望んでいました。そのため、2億円程度の資金の用意があり拠出が即断できることが買い手に求められます。融資を受けての譲り受けを考えている個人医師の買い手だとハードルが高くなります。また、買い手に取引上の様々な判断を早期に行ってもらうためには、過去にM&Aの経験があるほうがベターです。
それを踏まえて、資金力が豊富な法人(医療法人、事業法人)で、かつ過去に医療機関のM&A経験があることから、私たちは、ふたば社を最初にご紹介して面談していただきました。もちろん、面談前にふたば社の代表には売り手側の意向をしっかり伝え、対応の準備をしてもらっています。
そして、その最初の面談の場でふたば社の代表から、豊島先生がよければ提示された価格で譲り受けると明言されたことでスムーズに契約へと至る流れができたのです。他の買い手候補との面談も実施されましたが、もっとも即断力に優れていたふたば社が選ばれ、トップ面談から2か月に満たないうちに最終契約が締結されました。
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早期の承継を実現するため、一旦個人が譲り受けるスキーム
当初から、ふたば社はグループの医療法人で豊島クリニックを譲り受けることを考えていました。
しかし、その場合は医療法人の定款変更等の手続きが必要になります。それには1~2か月程度の時間がかかってしまいます。そこで、少し変則的な形ですが譲り受け後に院長になってもらう予定のふたば社グループの一員である医師が、ふたば社から融資を受けて、個人で豊島先生と譲渡契約を結んでクリニックを譲り受けるという形をとりました。
その後、タイミングを見て医療法人が院長から譲り受けることになります。このようなスキームもご提案することで、豊島先生が希望された早期の譲渡が実現したのでした。
本事例のポイント
最後に、本事例のポイントをまとめます。
①スピードを優先する売り手の事情を理解して、プロセス全体に配慮したこと
本件は、売り手の豊島先生のご事情から、スピード優先で進めることが求められました。M&Aは相手があることですから、迅速に取引を進めるためには相手方の協力も得なければなりません。
M&Aでは売り手と買い手の間に利害が対立する面もあるため、そこで取引が滞らないように、M&Aコンサルタントは問題になりそうなポイントをあらかじめ洗い出して先回りして双方に確認しておくといった点に特に強く配慮しました。また、買い主自身が行ったデュー・デリジェンスをできるだけ支援したことなどもスムーズな取引のためのポイントでした。
②実際に買える能力のある買い手を複数提案できたこと
本件では、売り手が急いでいるということに加えて、不動産も含めた譲渡対価がクリニックとしては比較的高額になりました。そのため、買い手候補の資金力や意思決定の速さも求められました。
単に譲り受けを希望するという買い手候補ではなく、資金面、意思決定面で実際に「すぐに買える能力」のある買い手を複数ご紹介できたこともポイントでした。
また、売り手が急いでいるからといって、その足下を見て買い手が自分だけに有利に交渉を進めるような素振りを見せれば、まとまるものもまとまりません。そのような買い手を紹介しないことも大切です。
③売り手の想いの面も承継できる買い手であったこと
医療機関のM&Aでは、譲渡対価などの条件面以外に、売り手の「想い」を引き継げる買い手かどうかも承継実現の重要な要素になります。
豊島先生は、従来多角的にクリニックを運営してより広範囲での医療貢献をしたいという想いを持たれていました。その想いに合致する事業を展開していたふたば社をご紹介できたことも、早期の承継成功のポイントとなりました。
お急ぎで承継を考えている場合、まずは専門家に相談することが大切です。気になる方はこちらからお問い合わせください。