M&Aアドバイザーとの関わりについて
M&Aアドバイザーとは、企業の買収や合併のプロセスをサポートする専門家です。M&Aに関する専門知識と経験を持ち、クライアントのニーズに合わせてM&Aの助言や実務サポートを提供します。M&Aは業界ごとに独自の事情や規制があり、特に医療業界では許認可や法規制、人事面の慣行などが厳格なため、経験や得意分野を確認してアドバイザーを選ぶことが重要です。
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M&Aアドバイザーは、専門性が重要
M&Aアドバイザーとは、M&Aの売り手と買い手に対して、M&Aプロセス全般についての助言や実務のサポートを行う専門家のことです。
具体的には、M&A仲介会社や金融機関などにM&Aの仲介を依頼した際に、仲介会社などの担当者としてついてくれるのがM&Aアドバイザーです。
実際に、M&Aアドバイザーのサポートを受ける際には、そのアドバイザーの実績・経験による得意分野や専門性をよく確認する必要があります。
なぜなら、どのような業界でも、その業界固有の事情――市場構造、ビジネスモデルや、商習慣、法規制など――があり、M&Aを成功させるためには、そういった 事情に通じていることが必要だからです。
特に 医療業界の場合、開院や運営に対しての許認可や規制が厳格に定められており、株式会社とは異なる法人制度や人事面での慣行などもあるため、M&Aアドバイザーがそれらを理解していないと、M&Aを適切にサポートすることはできません。
しかし実際には、どのような業種にも詳しいアドバイザーというのは、まず存在しません。なぜなら、M&Aは成約までに、通常で半年から1年程度の時間がかかる取引であり、一定の年数の中で1人のアドバイザーが成約できる件数には自ずと限りがあります。そのため、どうしても経験できる業界や業種の範囲が限られるのです。
また、M&Aアドバイザーは他業種を経て転職でその職に就く人も多いのですが、その場合には前職により得られた知識や経験も、得意分野に影響を与えます。例えば、人事分野に強い、会計に強い、不動産に強い、といった具合です。
つまりそれまでのキャリアにより、M&Aアドバイザーの専門分野や得意分野が決まってきます。
したがって、クリニックの院長や医療法人の理事長がM&A仲介を依頼する場合は、そのM&A仲介会社に 医療業界に詳しいアドバイザーがいるかどうかという点は、非常に重要です。
それを確認するには、実際にそのアドバイザーが過去に成約させたM&Aの実績を聞いてみるといいでしょう。同業界で何件かの実績があれば、まず安心です。逆に、M&Aの成約実績の総数は多くても、他業種での成約事例しかない場合は、慎重に考えたほうがいいかもしれません。
M&Aアドバイザーは、日々経営者やマネジメント層と接し、業界の動向に通じている
売り手や買い手の経営者は、その業界での成約経験が多いM&Aアドバイザーへの相談を求めます。そのため、特定業界での成約経験が多く専門的な知見のあるM&Aアドバイザーは、その業界での売り手候補および買い手候補からの相談を受けることが多くなります。
そのようなM&Aアドバイザーは多くの経営者と面談して会話をしているので、その業界内での売り手・買い手の経営者が抱える経営上の課題や困りごと、事業承継にあたって解決すべき問題、あるいは、求められる売り手・買い手の傾向など、多くの情報を獲得できます つまり、その業界でのM&A経験が豊富なM&Aアドバイザーは、最新のM&Aの動向や傾向により詳しくなっていくのです。
医療業界でいうなら、最近はこのような診療科のクリニックの譲り受けニーズが多いとか、このようなエリアには、このような売り手・買い手がいるといった譲渡のヒントになる情報です。
それ以外にも、クリニックや病院の収益改善や人材管理、地域連携など、様々な経営施策についても知見を得られます。
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優れたM&Aアドバイザーは、医院運営の選択肢を増やす
第三者承継を検討している医業経営者にとって、その成功のためには、医業に詳しいM&Aアドバイザーを選定し、サポートを依頼することが重要です。
しかし、それは必ずしも、M&Aを実行する決意が固まって、それをいつまでに実現したいといった具体的な工程をスタートさせる時点での相談である必要はありません。
それよりもっとも手前の、「まだM&Aをするかどうかはっきりしていないけれども、その可能性を含めて、将来に向けた医院経営のあり方を考えたい」といった段階から相談する方が、ベターであることが多いものです。
上述のように、優れたM&Aアドバイザーは、医院の経営施策についても知見を持っており、集患や医院の運営改善のコンサルティング的な相談にも乗ってくれます。そのことよって、医業経営者により良い選択肢の可能性を増やすためです。
例えば、収益状況が思わしくないとか、医師の採用ができないために、M&A譲渡を検討しているクリニックがあるとします。その場合、M&Aコンサルタントに相談することで、収益や人材採用を改善できれば、当面はM&Aを検討せずに、そのまま運営を続けるという選択肢も選べるようになるかもしれません。
あるいは、収益や財務の状況が芳しくないために、M&Aの実現可能性が低い(譲り受け希望者が現れる可能性が低い)クリニックであれば、そのまま運営を続けるか、あるいは廃業を選ぶしかないということもありえます。そういった状況のクリニックが、M&Aアドバイザーに相談することで経営状況を改善できれば、その後にはM&A譲渡で成約する可能性が高まるため、M&Aも選択肢に加えられるようになります。
このように、豊富な経験と知識を持ち、誠実なM&Aアドバイザーであれば、「M&Aありき」とか「すぐにM&A」と考えるのではなく、経営者にとってベストな選択肢を増やすための中長期的な視点に立ったアドバイスを与えてくれるはずです。
さらに、M&Aをすると決めている経営者にとっても、それまでに解決しなければならない経営上の課題は必ず出てきます。例えば、医師や看護師の雇用や待遇の問題、患者や地域への説明、個人で所有して医療法人に貸している不動産の処理、親族内での個人資産の贈与や相続の準備などの点です。
M&Aアドバイザーは、こういった一般的な医療経営や個人資産の運用などの点についても、きめ細やかに相談に乗ってくれます。
まとめ
医療経営者は、医師としての診療については、専門的な知識と技術を持っています。しかし、経営という面では、必ずしも専門的な知識や経験があるとは限りません。また、経営の悩みや迷いなどは、誰にでも相談できるものでもありません。
そこで必要になるのが、医療業界や医業経営に対する知見と最新の情報を持ち、客観的な立場からアドバイスをしてくれる存在です。そのような存在になりうるのが、優れたM&Aアドバイザーなのです。
M&Aアドバイザーは、一義的にはM&Aのサポートをすることが業務ですが、優れたM&Aアドバイザーは、より広い範囲の医業経営の相談相手にもなりうるものです。ぜひ積極的に、M&Aアドバイザーを活用なさってください。
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