【調査】医師が開業する平均年齢・勤務医との年収差
医師の開業年齢は平均41.3歳で、承継開業では若年層も増加しています。開業動機としては、理想の医療の追及や経営のやりがいなどが含まれます。勤務医の年収は約1,468万円、開業医は2,677万円と開業医の方が高く、特に精神科が高収入です。承継開業は資金を抑えながら集患しやすいため、若手医師にも適していると言えます。
本記事では、医師の開業年齢と開業後の年収について詳しく解説します。
クリニックを開業したときの平均年齢
日本医師会の過去のアンケート調査では、新規開業の場合の平均年齢は41.3歳という結果が報告されています*。また、日本政策金融公庫総合研究所が発表している「新規開業実態調査」の2022年度の結果では、全業種を含めた開業時の平均年齢は43.5歳となっています**。
ただし、近年注目を集めている承継開業では、20代や30代などの若手でも開業の道を選ぶ方が少なくないといわれています。
承継開業には、新規開業と比べて開業資金が抑えられたり、開業初月から集患が期待できたりするなどの特長があります。これらのメリットのために、新規開業と比べて、若手医師であっても開業しやすいことが考えられます。
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クリニックを新規開業したときの動機は?
先述の日本医師会のアンケート調査によると、開業時の主な動機として以下のような結果が明らかになっています。
- 理想の医療の追求(42.4%)
- 将来に限界を感じた(35.1%)
- 経営も含めたやりがい(26.3%)
- 精神的ストレスに疲弊(21.0%)
- 過重労働に疲弊(18.6%)
ある程度経験を積んだ後に、その経験を発揮するために開業を決意する医師が多いことが考えられます。
*日本医師会「開業動機と開業医(開設者)の 実情に関するアンケート調査」2009年
**日本政策金融公庫総合研究所『「2022年度新規開業実態調査」~アンケート結果の概要~』
勤務医と開業医の年収差
勤務医と開業医の年収に差はあるのでしょうか。「第23回医療経済実態調査結果報告」によると、勤務医の年収は、平均約1,468万円という調査結果が明らかになっています。
一方、個人診療所(入院収益なし)の報酬は、全体で平均約2,677万円です***。
このように、過去の調査結果からは、開業医の年収の方が勤務医と比べ1,200万円程高い結果になっています。
ただし、これはあくまで平均であり、実際には地域や診療科、クリニックの規模などによって年収には差があることが考えられます。
***中央社会保険医療協議会「第23回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」2021年
診療科別の開業医年収
それでは、診療科によってどれくらい開業医の年収は異なるのでしょうか。それぞれの診療科の平均年収を見ていきましょう。
内科クリニック:開業医の平均年収
内科の個人診療所(入院収益なし)の場合、年収の平均は約2,051万円となっており、全体の平均年収よりもやや低い結果になっています。
一般的に内科はほかの診療科と比べて集患しやすい診療科といわれていますが、1日にどれくらいの患者数に対応できるかによっても年収が異なることが考えられます。
対応できる患者数は、開業エリアやクリニックの規模、医師やスタッフ数によっても異なるでしょう。
整形外科クリニック:開業医の平均年収
整形外科の個人診療所(入院収益なし)の場合、年収の平均は約2,487万円となっており、ほかの診療科と比べて年収が高いことが分かります。
考えられる要因の1つは、リハビリスタッフが医師の指示でリハビリを実施する場合であっても、診療報酬算定の対象となるため、一度に診ることができる患者数が多くなる点です。
骨や関節などを扱う整形外科には、高齢の患者が少なくないと考えられます。高齢化の進行とともに、今後も患者数の大幅な減少はないと想定され、安定した収入が期待できる診療科といえるでしょう。
精神科クリニック:開業医の平均年収
精神科の個人診療所(入院収益なし)の場合、年収の平均は5,421万円となっており、平均よりも高い結果になっています。
精神科はほかの診療科と比べて大型の医療機器や検査機器が必要としないため、各種費用を抑えることが可能です。このため、売上が同じだったとしても、ほかの診療科と比べて所得が多くなる可能性が考えられます。
小児科クリニック:開業医の平均年収
小児科の個人診療所(入院収益なし)の場合、年収の平均は、2,192万円です。
2019年の「第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」では約3,068万円と平均を上回る結果でしたが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い減少傾向にあり、集患のための対策が重要といえるでしょう。
特に、子どもの多い地域で開業すれば高収入が期待できるでしょう。
在宅診療・訪問診療クリニック:開業医の平均年収
在宅診療・訪問診療クリニックの開業医の年収は、内科の平均年収よりも高額になることが多いといわれています。
超高齢化社会の到来とともに、今後も在宅診療や訪問診療に対応するクリニックには集患が期待できます。
往診を行うエリアや1日の訪問数などによっては大きな収益が期待できるケースもあるでしょう。
自由診療クリニック:開業医の平均年収
自由診療クリニックの開業医の年収は、保険診療をメインとするクリニックの開業医と比べて高額になることが考えられます。
美容皮膚科や美容形成外科など自由診療をメインとするクリニックでは、自由に料金や治療内容を決めることができるため、余裕を持った金額で料金を設定されているケースが多いといわれています。
承継開業も視野に入れて検討を
クリニックや医院の開業であれば、0から構築していく「新規開業」ではなく、既存のクリニックや医院を引き継ぐ「承継開業」という方法もあります。承継開業では新規開業と比べ資金を抑えて開業することが可能です。
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この記事の監修者
田中 宏典 <専門領域:医療経営>
株式会社エムステージマネジメントソリューションズ代表取締役。医療経営士1級。医業承継士。医療機器メーカー、楽天を経て株式会社エムステージ入社。医師紹介事業部の事業部長を経て現職。これまで、病院2件、診療所30件、介護施設2件の事業承継M&Aをサポートしてきた。エムステージグループ内のM&A戦略も推進している。