【関西×内科】30代の若手医師が理想の開業を達成できた事例

【関西×内科】30代の若手医師が理想の開業を達成できた事例
【関西×内科】30代の若手医師が理想の開業を達成できた事例
エリア 関西
診療科目 内科
運営組織 医療法人
譲渡理由 健康問題・働き方の変更
運営年数 30年

本件で紹介するのは、大阪府の郊外にある人気居住エリアで30年の歴史を持つ内科クリニックが、30代の若手医師に承継された事例です。

単なる収益性だけでなく、買い手の将来のビジョンとクリニックのポテンシャルを総合的に考慮した結果、最適なマッチングが実現しました。一般的には、若手医師とベテラン医師が書いて候補者に挙がると、売り手としては「安心して任せたい」という思いから、ベテラン医師を選ぶ傾向にあります。

しかし本事例のように、若手医師でも開業への明確なビジョンと迅速な意思決定があれば、理想的な医院継承が可能です。今回はそのポイントをご紹介します。

【売り手側】関西の人気居住エリアで内科クリニックを経営していた60代の理事

今回クリニックの承継を決意されたのは、大阪府郊外で約30年「山中クリニック(仮称)」を運営されていた元理事長の奥様です。

山中クリニックの主な診療科目は内科で、訪問診療も採り入れて地元に根付いた診療を積極的に行っていました。居住地としても人気の高いエリアだったことから、人口動態も落ち着いており、安定した経営状態を維持できていたのです。

クリニック開設当初から当時の理事長の山中先生(仮名)と、今回の依頼者である奥様も理事として経営に携わり、二人三脚でクリニックの運営に取り組んでおられました。

理事長が認知症を患い経営状況が一変

山中クリニックは開業以降、安定した運営を維持できていたのですが、数年前に大きな転機を迎えることとなりました。

それが、当時の理事長となる山中先生の認知症の発症です。

理事長の山中先生は診療が難しくなったため、理事の奥様は急遽、実弟を理事長として専任し、実際の診療は新たに採用した院長に行ってもらい、診療体制を維持することにしました。診療日や診療時間は縮小せざるを得ませんでしたが、理事の奥様の迅速な判断によって、クリニックの経営は維持することに成功したのです。

しかし、理事の奥様にとっては認知症を患った元理事長の山中先生の介護も必要なため、次第にクリニック運営との両立に大きな負担を感じるようになっていたとのことです。

こうした状況から、理事の奥様はクリニックの承継を決断され、私たちにご相談をいただきました。

【買い手側】開業を見据えてキャリアを積んできた経営者視点の30代の先生

今回の承継で買い手となったのは、関西出身で医師の北川先生(仮名)です。

医師の北川先生は医師免許を取得してから7年と、医師業界では比較的若いキャリアの方でした。

父親が開業医だった影響もあり、勤務医よりもクリニックの経営者側に興味を持ち、将来の開業に対するビジョンを明確に持っておられた先生です。

クリニックの運営では訪問診療も採り入れたいと思っていたため、幅広い診療に対応できるよう総合診療科の専門医も取得していました。また、いつでも開業ができるように、非常勤として実家のクリニックや他府県の医療機関で、訪問診療を含めた経験も数多く積まれていました。

医師の北川先生はキャリアとしてはお若い方でしたが、着実に開業へと準備をされていたのです。

複数の案件から山中クリニックとマッチング

医師の北川先生からご相談いただいた当初、候補として3件のクリニックが挙がっていました。

比較検討した際に、医師の北川先生は最初、山中クリニック以外の案件に興味を示されていました。現状の売上高などの数字を見比べた際に「収益性」という面においては、山中クリニック以外の案件のほうが魅力的に見えたためです。

しかし私たちがおすすめしたのは、当初あまり興味を持たれていなかった「山中クリニック」でした。

その理由は、以下の通りです。

  • 売上増収の見込みがあること
  • 院長が残留される可能性があること
  • 居住地として人気のエリアだったこと
  • 複数施設の運営もスムーズに行えること

山中クリニックは確かに数字だけで見ると、ほかの案件に比べてやや見劣りはしました。

しかし売上などが低くなっていた要因は、元理事長の引退による診療日数や診療時間の縮小が大きかったため、診療日数や訪問診療の拡大だけでも売上が増収する見込みがありました。

また山中クリニックでは、医院継承後も院長はそのまま残留される可能性が高かったのです。

医師の北川先生の「経営者としてクリニックの運営を行っていきたい」という展望を実現するには、経営者としての時間も必要です。院長が診療を継続してくれたほうが、経営者としての時間を確保しやすくなります。

さらに、山中クリニックの周辺地域は人口動態も安定しており、居住地として人気のあるエリアです。

このような好立地にあるクリニックの案件は、時間の経過とともにほかの買い手候補も増えていく傾向にあるので、早期の決断も重要です。

加えて、山中クリニックは医療法人としての承継であるため、医師の北川先生が将来的に描いていた複数施設の経営展開もスムーズに行える点も大きなメリットでした。

これらの要素を丁寧に説明した結果、最初こそ山中クリニックに乗り気ではなかった医師の北川先生でしたが、ご自身の将来の計画との相性の良さにご理解いただき、山中クリニックの承継を希望されました。

本事例のポイント

本事例では、買い手の将来のビジョンと案件の特性を適切にマッチングすることで、双方が満足できる形での成約を実現いたしました。

ここでは、本事例の重要な承継ポイントを4つご紹介します。

複数展開を検討している場合は管理医師の残留もポイント

管理医師が残留する医院継承では、買い手の先生と既存の医師との相性によって障壁が生じることもあります。

しかし医師の北川先生は経営者としての視点を強く持っていて、将来的に複数の医療施設を運営したいという展望も持っていたことから、管理医師が残留することはむしろメリットです。

管理医師が診療を継続することで、医師の北川先生は新たなクリニックの展開など、経営者としての時間を確保できます。管理医師も30代半ばと比較的若い医師で、医師の北川先生と年齢的に近かったことも良好な関係構築につながりました。

今回の事例のように、買い手の将来的なビジョンによっては、通常ならデメリットになりうる可能性のある要素も大きなメリットになります。

事前に営業権の交渉範囲を擦り合わせたことで円滑な承継が実現

医業承継における重要な交渉ポイントの一つが営業権の価格です。

今回の事例においても、買い手となる医師の北川先生から減額の要望がありましたが、この交渉もスムーズに進みました。

その理由は売り手となる山中クリニックの理事の奥様と、あらかじめ営業権に関するお話をしていたためです。山中クリニックが当初提示していた営業権の設定額には、コロナ禍という特殊な環境下での一時的な収益の増収なども含まれていました。

私たちはこうした特殊要因を除いた適正価格について、山中クリニックの税理士の先生も交えて事前に協議し、将来的には減額交渉の可能性があることを理事の奥様と共有していました。

そのため、実際に医師の北川先生から減額の提案があった際も、双方が納得する形でスムーズに対応できたのです。

関係者との連携が承継手続きもスムーズに進行

医院継承にはさまざまな専門家との連携が欠かせません。

本事例においても顧問税理士や行政書士、不動産仲介会社などの関係者と入念に連絡を取り合い「何を誰がいつまでに行うか」を明確にすることで、トラブルなく承継手続きが実現しました。

特に今回は北川先生の事業計画が明確だったことも幸いし、銀行との融資交渉もスムーズにできた事例です。

人気エリアの案件は意思決定のスピードも承継成功のカギ

居住地として人気の高いエリアの医院継承では、意思決定の早さが重要になることもあります。時間の経過とともにほかの買い手候補が増えていく傾向にあり、マッチングにいたらない可能性が出てくるためです。

特に今回のように比較的キャリアの浅い先生の場合、ほかの買い手候補が出てくると不利になる可能性が高くなります。売り手側としては、経験豊富なベテラン医師に承継してもらいたいという心理が働くためです。

私たちはこうした状況も踏まえて、医師の北川先生に「早期決断」の重要性もお伝えさせていただきました。

結果として、ほかの買い手候補者が出てくる前に売り手となる理事の奥様と具体的な承継のお話もできて、好条件での成約へとつながりました。

まとめ:買い手の目的に応じた提案で最適なマッチングが実現

本事例では表面的な数字だけでなく、医師の北川先生の将来的な計画とクリニックのポテンシャルを総合的に考慮したご提案が承継のカギとなりました。

私たちは、医療法人として複数施設の展開がしやすい点や管理医師の残留で時間の確保をしやすい点など、医師の北川先生の経営者としての将来的なビジョンには、山中クリニックが最適であることを説明させていただきました。

その結果、当初はほかのクリニックに興味を持たれていた医師の北川先生も、山中クリニックの承継を決断されたのです。

また、営業権の適正価格への調整や人気エリアでの迅速な意思決定の重要性など、医院継承において考慮すべきさまざまな要素を、買い手側と売り手側それぞれに伝えられたことも成功要因でした。

案件ごとの数字上の良し悪しだけではなく、買い手の目的や状況、ビジョンなどもしっかりと考慮したご提案によって、買い手側の本来の目的が達成できる承継開業を実現できた事例です。

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