【首都圏×消化器外科】初回ヒアリング時の壁打ちでスムーズに継承開業できた事例
【首都圏×消化器外科】初回ヒアリング時の壁打ちでスムーズに継承開業できた事例
エリア | 首都圏 |
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診療科目 | 消化器外科 |
運営組織 | 個人経営 |
譲渡理由 | 定年 |
運営年数 | 25年 |
40代の勤務医はスキルや実績も積み上がっているので、開業には最適なタイミングといえます。しかし、具体的なイメージを掴めないまま承継開業を検討しても、良い案件にはなかなか巡り会えないものです。
今回開業をした40代半ばのB先生も、1年近く希望のクリニックが見つかっていませんでした。「良い案件が見つからなかった」と弊社にご相談いただきましたが、たった半年で理想のクリニックとの契約がまとまりました。
B先生がスムーズに理想のクリニックと出会えたのは、弊社のヒアリングで開業に対するビジョンが明確になったことがきっかけです。今回は、1年近く良い案件に巡り会えなかった売り手と買い手の両者が、スムーズにマッチングできた事例を紹介します。
【売り手側】60代前半の院長。定年を目前に譲渡を検討するが1年経過しても継承先が見つからず
売り手側のA院長は、首都圏の郊外で25年以上にわたりクリニックを経営してきました。専門は消化器外科で、運営しているクリニックは外来診療に加えて内視鏡検査、小児科、内科も対応しています。
A院長は年齢が60代前半になり、定年をひとつの区切りとしてクリニックの譲渡を検討します。お子さんも医師でしたが承継の意思はなかったため、第三者への継承に向けて動き出しました。
A院長のおもな譲渡条件は、「診療を継続してもらうこと」「現在の職員の雇用をそのまま維持してもらうこと」の2つです。
当初は他社のM&A仲介会社に依頼して譲渡先を探していました。しかし譲渡希望金額が若干高かったのか、1年近く経過しても良い譲渡先が見つからない状況が続き、ついに「良い買い手がなかなか見つからない」と、弊社にご相談をいただきました。
【買い手側】40代半ばの医師。エリアを限定して継承開業を検討していたが良い案件に巡り会えず
買い手となったB先生は、40代半ばの消化器外科医です。B先生は開業に対して強い想いがあり、その背景にはご両親が開業医だったことが大きく関係しています。
B先生は開業に向けて準備をするために、非常勤として複数の医療機関で4〜5年働いていました。非常勤勤務は収入こそ安定しないものの一般的な勤務体系よりも稼ぎやすく、必要に応じてすぐに辞められるため、開業を目指しているB先生には最適な働き方でした。
そしてB先生は当初、自宅から通える範囲で開業場所を探し始めます。また、消化器外科医としてのキャリアを活かして、開業後は内視鏡検査も行いたいと思っていました。
しかし開業先を探し始めて1年が経過しても、B先生が納得する案件には巡り会えず、弊社にご相談いただきます。
初回ヒアリング時の壁打ちで視野が広がった
B先生と私たちの初回ヒアリング時に、B先生にとって非常に重要な「気づき」がありました。それは、B先生の開業に対する具体的なビジョンです。
私たちはB先生から「良い案件が見つからなかった」とご相談いただいたので、まずは「B先生が求める良い案件とはどのようなものか」じっくりとヒアリングを行いました。
B先生が開業先を自宅付近に限定している理由や良い条件としているクリニックを深堀りしていくと、じつは開業に対して具体的なイメージをできていないことがわかったのです。
そこで私たちはB先生としっかり壁打ちを行い、開業してから本当に行いたいことや開業後の将来性について、さまざまな可能性を提案しました。具体的には、内視鏡検査のできるクリニックの希少性や競合の少ない地域での開業メリットなどです。
この壁打ちでB先生は開業のビジョンを明確にでき、エリアをそこまで限定する必要性がなかったと視野を広げられました。
初回ヒアリングでしっかりと壁打ちができたからこそ、B先生が開業してから本当に実現したいものを引き出し、より良い案件を見つける可能性が高められたといえます。
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手技を活かして内視鏡検査もできるクリニックを提案
初回のヒアリングでB先生と壁打ちを行った結果、消化器外科の専門だからこその手技を活かせるクリニックを探す方向性で提案を進めました。そこで候補として挙がったのが、内視鏡検査の環境が整っているA院長のクリニックです。
A院長のクリニックは、B先生がこだわっていた開業エリアとは外れた場所に位置しています。しかし、首都圏郊外の駅から徒歩数分と好条件の場所です。
また、内視鏡検査の設備が整っているという点で、手技を活かしたいB先生の希望に合致していました。このエリアは沿線の北側と南側で住環境が違い、クリニックの数が異なる特徴があります。
診療圏調査を行った結果、A院長のクリニックは沿線の南側に位置しており、競合になるクリニックが非常に少ないエリアでした。
今後、南側に新しい競合のクリニックが開業するとしても、それは人口増加も起きているため患者数の取り合いにはならないと予想できました。
つまり、A院長のクリニックは長期的な視点で見ても安定した経営が期待できる立地で、なおかつB先生の手技も活かせる最適な案件といえます。
B先生にA院長のクリニックを候補として提案したところ、ヒアリング時の壁打ちが大きく寄与し、当初の予定開業エリアから外れたA院長のクリニックに興味を持っていただけました。
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A院長との面談で意気投合
B先生にA院長のクリニックの案件を提案した後、弊社の担当を含めた3名で面談を設定しました。A院長は25年にもおよぶクリニック経営の知識を持っていて、なおかつB先生と同じ消化器外科が専門です。
またB先生は将来的に小児科を採り入れていきたいと思っていましたが、A院長のクリニックは小児科も受け入れていたため、多くのアドバイスを受けることができました。
面談のなかでA院長とB先生は、お互いのバックグラウンドが似ていることを認識し、非常に意気投合しました。面談時間は当初1時間予定でしたが、盛り上がった会話は尽きることなく、あっという間に3時間も経過していたほどです。
この面談でB先生は、A院長がこれまで築き上げてきた地域密着型の医療を引き継ぎ、さらに発展していく具体的な開業イメージを掴めたようです。A院長のクリニックを継承する、大きな決め手になったといえるでしょう。
またA院長に関しても、B先生の開業に対する熱意や将来性を感じ取り、自身のクリニックを託す相手として良い印象を持ったようです。
譲渡金額も当初の予定よりも低く成約できた
B先生との面談で意気投合をしたA院長は、「今回を逃してしまうと次はない」という意識を持っていました。このような背景から、私たちは価格交渉の余地があると判断します。
とはいえ、ただ単に交渉をするのではなく、まずはB先生がA院長に対して「A院長のクリニックに決めます」と強い意思を伝えることから始めていただくことを提案しました。
A院長のクリニックは買い手が1年近く見つかっていないこともあり、当初よりは譲渡価格が下がっています。
しかし、あらためてB先生の決意やクリニックの将来性をお伝えした結果、価格交渉に対しても柔軟に対応していただき、予定していた譲渡価格よりも低い金額で成約が成立しました。
今回スムーズに価格交渉を行えたのは、A院長にとって信頼できる後継者を見つけられたことが、非常に大きなポイントといえるでしょう。
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本事例のポイント
今回の事例は、買い手となるB先生のFA(ファイナンシャルアドバイザー)として携わりました。M&AにおけるFAとは、売り手または買い手に対して継承のサポートを行うことをいいます。
買い手側のFAで携わる場合は売り手との完全な中立の立場ではなく、買い手側の目標を達成できるようにサポートするのが大きな特徴です。
そのため今回はB先生のニーズを的確に把握し、適切なサポートを行ってスムーズな継承を実現しています。
今回の医業継承において、とくに重要となったポイントは次の2点です。
- 具体的な開業のビジョンを壁打ちすることで、より良い継承先が見つかった
- マッチング後も買い手側がスムーズに開業できるように、先回りしてサポートをした
それぞれのポイントを詳しく解説していきます。
①具体的な開業のビジョンを壁打ちすることで、より良い継承先が見つかった
今回の事例は買い手側のB先生からご相談いただいてから、約半年ほどで成約がまとまりました。たった半年という早い段階で医業継承が決まった大きな要因は、B先生としっかり壁打ちをできたことが挙げられます。
B先生は私たちに相談する前にも、M&Aの会社に何社か登録をしていたそうです。しかし十分な壁打ちを行えていなかったのか、B先生は開業に対する具体的なイメージを描けないままでした。
その結果、案件を紹介されても「なんだか違う」と感じ、1年近く良い案件と巡り会えずにいました。
私たちの場合は、まずは初回ヒアリングでしっかりと壁打ちを行い、お客様が求めているものを深堀りすることを大切にしています。B先生に関しても徹底的に壁打ちを行い、開業に際して本当に求めているものや将来的なクリニックの理想像などを明確化しました。
B先生はヒアリングのなかで開業のビジョンが具体的になり、エリアにこだわりすぎる必要性がなかったと考えをあらためました。条件に対する視野が広がり、B先生の理想に近いクリニックとマッチングが実現したのは、間違いなく念入りな壁打ちによるものといえます。
私たちはお客様からいただいた条件に対して案件を紹介するだけでなく、しっかりと対話して買い手の方が希望する開業のイメージを掴み、より満足度の高い医業継承をサポートしています。
②マッチング後も買い手側がスムーズに開業できるように、先回りしてサポートをした
B先生とA院長のマッチングが成立した後も、私たちはB先生がスムーズに開業できるように、さまざまな面で先回りしてサポートを実施しました。
たとえばB先生は開業するにあたり、駅看板の設置や電子カルテの導入を希望していました。そこで忙しいB先生に代わり、業者の選定や関係各所との連絡、調整などを行ったのです。
また、銀行に融資を受ける際には、業者の見積書なども必要になります。ミスや漏れのないように見積書を確認するなど、B先生とコミュニケーションを取りながら事業計画書の作成もサポートしました。
その結果、B先生は4行の銀行へ融資の依頼をして、3行から融資OKの回答を得られたのです。開業に向けた包括的なサポートにより、B先生は不安点や懸念点を早い段階で解消でき、スムーズな開業手続きを行えました。
※案件情報の秘匿のため一部改編しています