【関東×内科】医業承継(医院継承)をきっかけにマネジメント面の改善を実現
【関東×内科】医業承継をきっかけにマネジメント面の改善を実現
エリア | 関東 |
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診療科目 | 内科 |
運営組織 | 医療法人 |
譲渡理由 | 事業整理 |
運営年数 | 5年 |
目次
【売り手側】マネジメント面を改善したい医療法人いとう会
譲渡を希望されたのは、内科を中心に複数のクリニックを経営している関東の医療法人です。経営しているクリニックのうち、おおき内科クリニック(仮称)のマネジメントが行き届いていないことが課題でした。とくに管理医師(院長職)のマネジメントができておらず、売り上げも少しずつ減少し始めていました。
医師と職員の関係性や、職員同士の関係性が良好ではなく、オペレーションを回すことが難しかったため、売却によって医師を交代することでマネジメントを立て直そうとしたのです。
このようなケースは医師自身がオーナーの場合はあまり見られませんが、管理医師(院長職)を雇用して運営している場合は、比較的起きやすい問題といわれています。
【買い手側】良好な経営状況の医療機関を引き継ぎたい加藤先生(40歳)
承継を希望されたのは、関東のクリニックに勤務している加藤先生(仮名)です。
加藤先生は循環器内科で熱心に仕事をしており、大学病院で教授を目指すか、開業医を目指すか悩んだ末に、開業医を選択するようになりました。
実は加藤先生の親族には医者が多く、開業医が身近な存在だったため、ご自身も幼い頃から「いつか開業するだろう」と考えながら仕事に取り組んできたそうです。
初めての病院経営だったため、経営状況の良い医療機関を承継したいとの思いで探されていました。
状態が悪くなった分院を売却し、医師を変更することで現場のマネジメントを改善
本件は、クリニックでの医師と職員の関係性は修復不能な状態に陥っていたため、医者か職員のいずれかを変更することを検討していました。
結果としては医師が残り、買い手の加藤先生と2名体制で診療を行うこととなりました。買い手の加藤先生がマネジメントをして、売り手側の医師が運営面でのアドバイスなどをする形です。元々残っても良いと仰っていた中で、実際に希望を伝えて残っていただくことになりました。
2名体制となったことで集客がしやすくなり、より多くの患者と接することができるようになりました。
一方で、医療事務や看護師は全員を新規で採用しました。
加藤先生の奥様が元CA(キャビンアテンダント)だった経験を活かし、元CAの知人にも声をかけ、接遇の良いクリニックを目指したのです。
しかし、医療事務のスキルが足りない部分があったため、前もって採用を進め、売り手の医療法人いとう会の本部で教育を受けさせ、オープンを迎える頃には現場で問題なく進められるように支援しました。
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本事例のポイント
管理医師(院長職)を中心としてクリニックを運営していると、人間関係のトラブルが起きやすい傾向がありますが、本件はそのような状況が実際にあったとしても、お互いに納得のいく形で承継を行うことができました。
そのポイントをいくつかご紹介します。
①承継開業への熱意があったこと
加藤先生が勤務医として働いていた医療機関とおおき内科クリニックは同地域にありました。病診連携も行っていたため、加藤先生は内科クリニックを経営する医療法人の理事長とも顔見知りで、同法人に対してもシステムや経営状況が良好という認識を持っていたそうです。
一方、譲渡側である医療法人の理事長は、自身が若くして開業されたこともあり「若くてやる気のある先生に経営を任せたい」と希望されていました。若手で開業への熱意のある加藤先生は、そんな理事長の希望にも合致しており成約に至ったのです。
現地視察とトップ面談の際には、既に面識があったこともあり加藤先生へ譲渡する前提で話が進みました。
②職員の引継ぎ・マネジメントの改善へのサポートを実施したこと
既存の職員の引き継ぎやマネジメント面は、丁寧なサポートにより改善しました。承継開業後に職員の退職が一部発生したため、業務の調整や引継ぎ期間の設定などにも対応し、承継開業を成功に導くよう支援しました。
承継開業後の体制に関してアドバイスした内容は、既存の医師との相性を重視して人材を採用することや、非常勤の医師が複数で勤務する体制を組むことなどです。複数勤務の体制を構築することで、職員間の不足が発生してもある程度は対応できるようになりました。さらに職員の教育プログラムも提供することで円滑な運営をサポートしています。
また、収益は少しずつ目減りしていたものの、承継を機に大きく収益を下げる問題点はなかったため、今後はマネジメントに注力する必要がある旨を説明しました。
懸念点としては、人件費もすでにある程度抑えていたものの、新しく職員を採用することで人件費が膨らむ可能性があったことです。そのため、損益分岐点がどれくらいになるかを説明した上で、職員の適切な給与設定を提案しながら進めていきました。
③良好な経営状況であったこと
本件はおおき内科クリニックの良好な経営状況が決め手となり、約8か月で成約となりました。
収益性が高いことから営業権も高く、承継の案件としての規模自体も大きいものだったため、候補者も多く集まりました。結果としては売り手側の希望通りの金額で成約したのです。
さらに、承継後の事業計画の見通しが立っていたこと、蓄財と親族の経済的なサポートがあったことから根拠のある数字を組み立てることができ、加藤先生は若い年齢にも関わらず1億円を超える融資を受けることができました。
本件のように、医院継承がきっかけでマネジメント面が改善するケースもあるため、もしマネジメント面で悩んでいる場合はぜひ一度ご相談ください。